女性の体型は膣内の微生物叢で変わるか/北里大

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/15

 

 腸内の微生物叢がさまざまな疾患などに関連することが、近年の研究で判明している。では、女性の膣内の微生物叢は、健康な女性では、その体型に関連するのであろうか。この課題に対し、北里大学薬学部の伊藤 雅洋氏らの研究グループは、日本人の健康な女性24人の膣液を採取、分析し、菌種を特定するとともにBMIが生菌総数および膣内pHに影響を及ぼすことを明らかにした。この結果は、Frontiers in Cellular and Infection Microbiology誌2025年2月4日号に公開された。

膣内微生物叢は大きく4種類に分類できる

 研究グループは、健康な女性の膣内微生物叢に影響を及ぼす宿主因子を同定することを目的に、日本人成人女性24人の膣液を採取し、分析を行った。膣液のpHは携帯型pHメーターを用いて測定し、膣液からDNAを抽出。V3~V4領域の16SリボソームRNA遺伝子配列を解析し、細菌種を同定した。さらに、膣液を4種類の選択寒天培地プレートで培養し、増殖したコロニー中の優勢な菌種をコロニーポリメラーゼ連鎖反応で同定するとともにコロニーを集計した。

 主な結果は以下のとおり。

・膣内細菌叢は、優勢な細菌集団の特徴に基づいてラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・イナース(Lactobacillus iners)、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、および多様性グループの4つのカテゴリーに分類された。
・優勢菌種は各検査法で一貫していたが、腟内生菌数は個人間で大きく異なった。
・BMIは生菌総数および膣内pHに有意な影響を及ぼしたが、年齢は膣内pHのみに影響を及ぼした。

 研究グループでは、この結果から「健康な日本人女性の膣マイクロバイオームが非常に多様であるだけでなく、膣内の生菌はBMIや年齢などの宿主因子の影響を受けている」と示唆している。

(ケアネット 稲川 進)