指の動きを測定することで認知症の重症度が評価可能な可能性あり

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/04/22

 

 藤田医科大学の鈴村 彰太氏らは、アルツハイマー病患者の手の指の動きと認知機能との関連を推定するため、本研究を実施した。Brain and Behavior誌2025年3月号の報告。

 国立長寿医療研究センターのもの忘れセンター外来でアルツハイマー病と診断された患者を対象に、15秒間の両手交互タップ課題を行い、手の指の動きを測定した。その後、アルツハイマー病の重症度により軽度または中等度に分類し、手の指の動きを比較した。両群間のパラメーターの比較には、マンホイットニーU検定およびエフェクトサイズを用い、算出されたp値をボンフェローニ法で補正した。手の指の動きと認知機能との関連を評価するため、スピアマン順位相関係数を用いた。認知機能は、ミニメンタルステート検査(MMSE)により評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・アルツハイマー病患者163例のデータを分析した。
・重症度別の内訳は、軽度アルツハイマー病患者64例、中等度アルツハイマー病患者99例。
・中等度群は、軽度群よりも指のタップ回数が少なく(p=0.005、r=0.22)、親指と人差し指でのタップ間隔が長かった(p=0.007、r=0.21)。
・MMSEスコアと手の指の機能との相関は、タップ回数については弱い正の相関、タップ間隔の平均値については弱い負の相関が認められた。

 著者らは「これらのパラメーターは、認知症の進行段階に伴う手の指の機能低下を反映しており、アルツハイマー病の重症度評価に役立つ可能性がある。さらに、これらの知見は、アルツハイマー病の重症度を評価するうえで、臨床的に有用であり、進行段階の分類精度向上につながる可能性がある」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)