医療一般|page:1

抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化には反対/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、1月7日に定例の記者会見を開催した。会見では、松本氏の年頭あいさつのほか、抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化に関するパブリックコメントへの意見、赤ひげ大賞の受賞者発表などが行われた。  松本氏は年頭のあいさつとして干支の「午」に触れ、自身が年男であることから「地域医療を守るという強い決意のもと、情熱的でかつエネルギッシュな1年としたい」と語った。また、箱根駅伝の青山学院大学の連覇を例に「選手への指導体制や人材育成、サポートなどが連覇に大切であり、これは医療にもつながる」と述べた。

抗コリン薬負荷と認知症リスクの評価に有用な予測ツールを検証

 抗コリン薬の使用は、認知機能低下などの副作用と関連している。英国・リバプール大学のInnocent Gerald Asiimwe氏らは、ベースライン時の抗コリン薬の投与量と認知症リスクとの関連性を調査し、抗コリン薬投与指数(ACMI)の外部検証を行った。Age and Ageing誌2025年10月30日号の報告。 2つの大規模前向きコホートであるUKバイオバンク(UKB、研究期間:2000〜15年、参加者:12万5,260例)および米国All of Us(AoU、研究期間:2000〜22年、参加者:9万2,047例)のデータを分析した。臨床的および遺伝的共変量を調整し、死亡を競合リスクとしてCox比例ハザードモデルを用いて、ACMIで算出されたベースライン時の年間抗コリン薬投与量と認知症リスクとの関連性を評価した。

歯のエナメル質を修復・再生するバイオジェルを開発

 歯科治療は近い将来、より楽で痛みの少ないものになるかもしれない。歯を守る硬い表層であるエナメル質を修復・再生できる革新的なジェルの開発に関する研究結果が報告された。エナメル質は、いったん失われると自然には再生しないため、この新素材は、歯の長期的な保護や損傷時の修復方法を大きく変える可能性を秘めている。米国では、歯のエナメル質を強化するミネラルであるフッ化物(フッ素)の経口摂取が議論を呼んでいることから、この研究成果は注目を集めている。英ノッティンガム大学のAbshar Hasan氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Communications」に11月4日掲載された。

HPVワクチン、導入からの17年間で集団レベルでの高い有効性と集団免疫を確認

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが初めて導入された2006年から17年が経過した2023年までの調査を解析した結果、性交渉の経験がある若年女性においても、1回でも接種していれば、集団レベルでの高い有効性と明確な集団免疫が認められることが、「JAMA Pediatrics」に9月29日掲載された研究で明らかにされた。  米シンシナティ小児病院医療センターのAislinn DeSieghardt氏らは、2006年から2023年までに実施された6回の横断的な調査のデータを用いて、性交渉経験のある13〜26歳の若年女性2,335人(平均年齢18.9歳)を対象に、ワクチンの有効性および集団免疫について評価した。これら6回の調査は、2006〜2007年、2009〜2010年、2013〜2014年、2016〜2017年、2018〜2021年、および2021〜2023年に実施された。16および/または18型の感染を2価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18型のうち1種類以上の感染を4価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18・31・33・45・52・58型の1種類以上の感染を9価ワクチンのタイプの感染とそれぞれ見なし、接種者(1回以上接種)を未接種者と比較することでワクチンの有効性と集団免疫を評価した。各調査回の参加者の背景の違いは、傾向スコアによる逆確率重み付けを用いて調整した。

インターネットは高齢介護者の孤独感の緩和に役立つ

 高齢者における孤独感の問題は、世界的な課題として浮上しつつある。特に、家族などの介護をしている人は、介護という責任重大な仕事の性質上、孤独感がいっそう強まりやすい傾向がある。こうした人の孤独感は、インターネットの使用により緩和され得ることが、新たな研究から明らかになった。インターネットを通じて他者や社会とのつながりを保つことは、高齢介護者の孤独感やそれが健康に及ぼす悪影響の軽減に役立つ可能性が示されたという。米ニューヨーク大学(NYU)ローリー・マイヤーズ看護学部のXiang Qi氏らによるこの研究結果は、「JMIR Aging」に11月27日掲載された。 本研究の背景情報によると、高齢介護者の約15%が孤独を感じており、認知症患者の介護者は、他の介護者に比べて孤独感を経験する可能性が1.62倍高いという。

拡張型心筋症患者に対する早期心リハの有用性、傾向スコアマッチングを用いた全国規模解析

 拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM)は、心臓の筋肉が弱まり、心臓が拡張して十分に血液を送り出せなくなる病気で、心不全の主要な原因の一つとされる。このDCM患者に対し、入院早期から心臓リハビリテーション(心リハ)を開始すると、90日死亡率が有意に低下することが、日本の全国入院データベースを用いた研究で明らかになった。解析では、早期に心リハを始めた患者群では早期から心リハを受けなかった群と比べて90日以内の死亡リスクが低く、退院時の日常生活動作(ADL)もやや高値であったという。研究は大阪大学/奈良県立医科大学の安福祐一氏らによるもので、詳細は10月24日付で「Scientific Reports」に掲載された。 DCMは、心筋の収縮低下と左室拡張を特徴とし、一部の患者は慢性心不全や急性増悪を繰り返す進行性心筋疾患である。

新しい糖尿病治療薬、高コストも合併症リスクは従来薬と変わらず

 2型糖尿病の治療では、血糖コントロールと合併症予防のために経口薬が用いられる。比較的新しく登場したSGLT2阻害薬は近年広く使われるようになったが、最新の日本の大規模データを用いた研究で、初期治療においてSGLT2阻害薬は従来のビグアナイド系薬剤(メトホルミン塩酸塩やブホルミン塩酸塩)と比べて、心血管イベントや糖尿病合併症の抑制効果に明確な差がないことが示された。一方で、薬剤費は約50%高く、臨床現場での薬剤選択や医療費の観点から重要な知見となる。研究は、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らによるもので、詳細は11月6日付で「PLOS One」に掲載された。

再発・難治性多発性骨髄腫へのiberdomide+低用量シクロホスファミド+デキサメタゾンの第II相試験(ICON)/Lancet Haematol

 2~4ラインの治療歴のある再発・難治性多発性骨髄腫に対するiberdomide+低用量シクロホスファミド+デキサメタゾン(IberCd)の現在進行中の前向き単群第II相非盲検試験(ICON試験)において、追跡期間25.4ヵ月で無増悪生存期間(PFS)中央値が17.6ヵ月と良好であったことを、オランダ・アムステルダム自由大学のCharlotte L. B. M. Korst氏らが報告した。Lancet Haematology誌2026年1月号に掲載。  iberdomideは、経口セレブロンE3リガーゼモジュレーターであり、レナリドミドやポマリドミドとは薬理学的に異なりセレブロンとの親和性が高いため、直接的な抗腫瘍効果と免疫刺激効果をもたらすことが示されている。

日本人末期がん患者のせん妄、その発生率と薬理学的介入の現状

 末期がん患者では、疼痛やせん妄の発生が少なくない。しかし、疼痛管理のために投与されるオピオイドは、患者のせん妄を悪化させる可能性がある。名古屋市立大学病院の長谷川 貴昭氏らは、がん性疼痛とせん妄を有する末期がん患者において、実際の症状経過とオピオイドおよび抗精神病薬を含む薬理学的介入との関連を調査するため、多施設共同プロスペクティブ観察研究の2次解析を実施した。Palliative Medicine Reports誌2025年10月24日号の報告。 対象は、日本のホスピスまたは緩和ケア病棟に入院している成人患者のうち、Palliative Performance Scale(PPS)が20点以下に低下した時点(1日目、死亡直前)で、がん性疼痛(Integrated Palliative care Outcome Scale[IPOS]の疼痛スコア2以上)およびせん妄を有していた患者。薬理学的治療戦略、疼痛レベル(IPOSに基づく)、せん妄症状(Memorial Delirium Assessment Scale[MDAS]の9項目に基づく)を測定した。

呼吸器系ウイルス検査陽性の市中肺炎、抗菌薬投与は必要?

 米国胸部学会(ATS)が2025年に発表した最新の市中肺炎(CAP)ガイドラインでは、呼吸器系ウイルス検査陽性となった入院CAP患者全例に対して、抗菌薬を投与することを条件付きで推奨している。しかし米国感染症学会(IDSA)は非重症患者に対するこの推奨に同意せず、非重症患者では重複感染の可能性を検討するために多少の時間をかけることによるリスクはほとんどなく、抗菌薬を開始するかおよびいつ開始するかについては臨床医の裁量の余地があるとしている。米国・ペンシルベニア大学のBrett Biebelberg氏らはこれらの患者集団における抗菌薬投与の頻度・期間と転帰を評価する目的で、大規模な多施設共同の傾向スコア重み付け解析を実施。結果をClinical Infectious Diseases誌オンライン版2025年12月11日号で報告した。

腰痛時の日常動作、症状を悪化させるのか?

 腰痛患者を対象に、身体活動の短期的および長期的な影響を調査した結果、持ち上げる、曲げる、押す/引く、ねじる、しゃがむなどの一部の日常動作は短期的な腰痛増悪と関連していたものの、長期的な機能障害とは関連しなかったことを、米国・Veterans Affairs(VA) Puget Sound Health Care SystemのPradeep Suri氏らが明らかにした。  身体活動は、腰痛に対して有害な影響と有益な影響の両方を有すると考えられている。研究グループは、10種類の一般的な動作について、短期的(24時間以内)な腰痛増悪リスクと長期的(累積的)な機能障害との関連をそれぞれ評価するため、前向きコホート研究の中にケースクロスオーバー解析を組み込んだ研究を実施した。

15分で判定可能なC型肝炎ウイルス迅速PCR検査を開発

 米ノースウェスタン大学が開発した迅速検査のおかげで、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているかどうかを15分以内に判定できるようになった。この検査により、医師は診察中に感染症を診断し、その場で治療を開始できるようになる。ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部グローバルヘルス研究所・グローバル感染症および新興感染症センターのClaudia Hawkins氏らが開発したこの検査に関する詳細は、「The Journal of Infectious Diseases」に12月10日掲載された。  Hawkins氏は、「この検査は、診断を劇的に改善し、治療の普及を加速させ、より多くの人に対するより早期の治癒を可能にすることで、米国および世界のHCV治療に革命をもたらす可能性がある」とニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「遅延を減らし、検査に至るまでの流れを簡素化することで、未治療のHCVによる壊滅的な肝臓関連の合併症から何百万人もの命を救う可能性がある」と付け加えている。

退職後でも認知機能が維持される人の特徴は?

 多くの先進国において、公的年金の受給年齢の引き上げが行われている。これは、退職を遅らせることで認知機能の老化に影響を与える可能性がある。しかし、退職が認知機能に及ぼす影響は個人や状況によって異なる可能性が高いと考えられる。慶應義塾大学の佐藤 豪竜氏らは、退職と認知機能の異質性について、その関連性を調査した。International Journal of Epidemiology誌2025年10月14日号の報告。  米国、英国、欧州で行われた3つの縦断研究(Health and Retirement Study、English Longitudinal Study on Ageing、Survey of Health, Ageing and Retirement in Europe)より得られたデータを統合し、分析した。本データセットは、2014〜19年に19ヵ国で実施された3つのwave調査を網羅している。

腹囲の大きさでフレイルを予測できるか/大阪公立大

 腹囲の大きさは、フレイルの進行に何らかの影響を与えるのであろうか。この課題について大阪公立大学研究推進機構都市健康・スポーツ研究センター教授の横山 久代氏は、スマートフォン(スマホ)の健康アプリを用いたウェブ調査を行った。その結果、腹部肥満は将来のフレイルに関係する可能性があることが示唆された。この結果はGeriatrics誌2025年11月8日号に掲載された。自覚、運動習慣、プレフレイルがフレイルの予測因子になる可能性 フレイルリスクの高い人を特定し、適切な介入を実施することは、健康寿命の延伸に極めて重要である。本研究は、後ろ向きコホート研究として、大阪府在住の30~79歳の成人2,962人を対象に、腹部肥満が1年間のフレイル進行を予測するかどうかを検討した。

ナーシングホームでの感染症対策に関する新ガイダンスが公表される

 高齢者や病気からの回復期にある人、あるいは長期的な健康問題を抱えて暮らす人が多いナーシングホームでは、感染症が大きな懸念事項となっている。薬剤耐性菌、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどは、このような環境では急速に広がり、入居者の命を脅かす可能性がある。 こうした中、2008年に発行された、ナーシングホームにおける感染予防・管理(IPC)に関する国の推奨事項に代わるものとして、米国医療疫学学会(SHEA)や米国感染症学会(IDSA)など5つの主要学会や専門団体が共同で作成・承認した新しいガイダンスが、「Infection Control & Hospital Epidemiology」に10月28日公表された。

MASLD患者における死亡リスクを最も高める3つの心血管代謝リスク因子を特定

 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の患者では、高血圧、耐糖能異常、低HDLコレステロール(HDL-C)といった心血管代謝のリスク因子(CMRF)が最も死亡リスクを高めるという研究結果が、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に9月17日掲載された。  米南カリフォルニア大学ケック医学部のMatthew Dukewich氏らは、MASLDを有する米国成人における個々のCMRFと全死亡率との関連を調査した。本研究では、脂肪肝指数(Fatty Liver Index;FLI)が60を超え、かつ少なくとも1つのCMRFを有する20歳以上の成人2万1,872人が対象となった。

大気汚染は運動の健康効果を損なう

 大気汚染は、定期的な運動によって得られると期待している健康効果の一部を損なう可能性のあることが、新たな研究で示唆された。運動がもたらすはずの死亡リスクの低減効果は、大気汚染のひどい地域に住む人では半減することが示されたという。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)心理学・疫学教授のAndrew Steptoe氏らによるこの研究結果は、「BMC Medicine」に11月28日掲載された。  Steptoe氏は、「われわれの研究は、大気汚染が運動の効果をある程度弱めることを示しているが、完全に打ち消すわけではない」とニュースリリースの中で述べている。同氏は、「今回の結果は、微小粒子状物質(PM2.5)による健康被害を改めて示すものだ。健康的な老化にはきれいな空気と身体活動の両方が重要と考えられ、健康を害する汚染レベルを下げる努力を強化する必要がある」と話している。

医師数公表、人口当たり医師数が最も多い県・少ない県/厚労省

 厚生労働省は、2025年12月23日に令和6(2024)年12月31日現在における医師数を公表した。報告によると全国の届出「医師数」は34万7,772人で、「男性」は26万2,801人(75.6%)、「女性」は8万4,971人(24.4%)だった。令和4(2022)年と比べると4,497人(1.3%)増加していた。また、人口10万人当たりの医師数は280.9で、前回に比べ6.2増加していた。  年齢階級別では「30~39歳」が6万7,729人(20.5%)と最も多く、次いで「50~59歳」が6万5,939人(19.9%)、「40~49歳」が6万5,264人(19.7%)の順で多かった。

日本における統合失調症患者の退院後の治療失敗と関連する因子は?

 統合失調症スペクトラム症は、社会機能障害を引き起こす最も重篤な精神疾患の1つである。統合失調症スペクトラム症患者は再発しやすく、入院を必要とする患者では、より再発リスクが高いため、退院後の治療失敗を予防することが不可欠である。北里大学の斉藤 善貴氏らは、精神科入院による治療を行った統合失調症スペクトラム症患者における退院後の治療失敗に関連する因子を明らかにするため、レトロスペクティブ研究を実施した。PCN Reports誌2025年10月7日号の報告。 対象は、2014年1月〜2021年12月に北里大学病院および北里大学東病院の精神科に入院した統合失調症スペクトラム症およびその他の精神病性障害と診断された859例。治療失敗の定義は、退院後1年以内の外来治療中止、精神科入院、死亡とした。

生活保護受給者、糖尿病の受診動向と転帰は?/筑波大学ら

 日本において生活保護受給者は医療費が免除されているが、医療費無償化の健康アウトカムに対する効果はどの程度なのか。糖尿病患者を対象に、生活保護受給者と国民健康保険加入者の治療と転帰の違いを調査した研究が行われた。筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野の山岡 巧弥氏らによる本研究は、Journal of Diabetes Investigation誌オンライン版2025年12月4日号に掲載された。  本研究は後ろ向き観察研究で、2017年4月〜2022年3月につくば市で収集された基本住民台帳・生活保護調査・医療保険請求データを用いた。対象は20〜68歳で2型糖尿病と診断され、糖尿病薬を使用している患者だった。主な評価項目は「年次の眼科検診受診」「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の使用率」「医療費(総額・外来・入院)」「健康アウトカム(低血糖および入院発生率)」であり、多変量回帰モデルにより治療プロセスの差と転帰のリスク比や発生率比を推定した。