双極症は、生涯にわたる治療を必要とする慢性精神疾患である。イタリア・University School of Medicine of Naples Federico IIのMichele Fornaro氏らは、双極症の維持療法における薬物療法の有効性と安全性を、年齢層別の用量効果を考慮して比較検討するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2026年8月15日号の報告。
PubMed/MEDLINE、Embase、Web of Science、Scopusより創刊から2026年1月12日までに公表された研究を、システマティックに検索した。双極症の維持療法における薬物療法の比較またはプラセボとの比較を行ったランダム化比較試験(RCT)を対象としてネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムは、再発率(すべての気分極性の急性エピソードの再発)および忍容性(副作用による治療中止)とした。副次的アウトカムは、特定の気分極性(うつ病、躁病、混合極性など)のエピソードの再発、受容性(すべての原因による治療中止)、特定の有害事象の発生率とした。ネットワークメタ解析の信頼性も評価した。
主な結果は以下のとおり。
・23種類の異なる治療の組み合わせを含む44件のRCTを解析に含めた(1万867例)。
・バイアスリスクの低い研究のみを残し、効果修飾因子の可能性のある外れ値を除外した感度分析の結果、プラセボよりも優れていることが示された治療および用量は、次のとおりであった。
アセナピン:20mg/日
アリピプラゾール:20mg/日、30mg/日
クエチアピン:300mg/日、600mg/日、550mg/日
リチウム:800mg/日
ルラシドン:80mg/日
カルバマゼピン:400mg/日、650mg/日
バルプロ酸:71~125μg/mL
オランザピン:20mg/日
アリピプラゾール持続性注射製剤:400mg/4週間
リスペリドン持続性注射製剤:25mg/2週間
アリピプラゾール(30mg/日)とラモトリギン(200mg/日)の併用
・対象患者の平均年齢、女性の割合、双極症I/II型患者の割合、躁病/うつ病のベースライン重症度、試験期間といった点で外れ値として浮上したものの、ほかにも有効性が示唆される薬剤がいくつか存在した。
著者らは「本研究の結果は、これまでのネットワークメタ解析および現行のガイドラインと一致する。しかし、異なる薬剤、用量、年齢層を同時に評価することで、既存の知見を拡張するものである」としている。
(鷹野 敦夫)