腎デナベーションの国内治療成績と期待されること/メドトロニック

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/26

 

 昨夏に発刊された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』での治療に関するClinical Questionに対し、作成委員の合意率100%のもとで盛り込まれた腎デナベーション。2026年2月には『腎デナベーションシステムの適正使用指針』が各関連学会を通じて公表され、翌3月にはその治療システムが国内初の保険適用を取得、2社より同時発売された**。高血圧症治療における唯一の侵襲的治療であることからも、現時点での実施可能施設や施行可能医師は限定的であるが、治療の個別最適化が求められる今、このシステムがどのように活用されていくべきなのだろう―。
*CQ16「治療抵抗性高血圧の治療において、腎デナベーションは推奨されるか?」(推奨の強さ2、エビデンスの強さB)
**日本メドトロニックの「Symplicity SpyralTM腎デナベーションシステム」、大塚メディカルデバイスの「ParadiseTM 超音波式腎デナベーションシステム」

 2026年5月15日、『Symplicity SpyralTM腎デナベーションシステム』の製造販売元である日本メドトロニックが主催するメディアセミナーが開催され、苅尾 七臣氏(自治医科大学循環器内科学部門 教授/日本高血圧学会 理事長)が「治療抵抗性高血圧における治療選択肢の進展―腎デナベーションがもたらす高血圧治療の新たな選択肢」と題し、現時点での治療成績、本治療が適する患者像について解説した。

薬剤が到達しない領域の治療に貢献

 前述のガイドラインでは、合併症を考慮しながらも“全年齢で130/80mmHg未満”の降圧目標が設定されたが、現状は140/90mmHgでさえも高血圧有病者の27%しか達成できていない。この目標未達者のうち、“真の治療抵抗性高血圧”患者を救い出すためにも腎デナベーション(Renal Denervation:RDN)の保険適応は大きな前進といえる。苅尾氏は「高血圧有病者4,300万人のうち、3ヵ月以上多剤服用を続けていても降圧しない治療抵抗性高血圧患者は約10%(400万人)と推定される」と潜在患者について触れた。また、治療抵抗性高血圧への介入の必要性について、「2007~17年に実施されたJ-HOP研究(日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究)1)からも治療抵抗性高血圧患者では10年間で3人に1人が循環器疾患を発症していたことが明らかになっている」とコメントした。

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<RDNの適応となる“真の治療抵抗性高血圧”>

◆治療抵抗性高血圧の定義:利尿薬を含むクラスの異なる3剤の降圧薬を用いても血圧が目標値まで下がらないもの

・診察室血圧140/90mmHg以上 かつ
・診察室外血圧 
自由行動下血圧測定(ABPM):24時間130/80mmHg以上、昼間135/85mmHg以上、夜間120/70mmHg以上 いずれかに該当
 家庭血圧:朝/晩 135/85mmHg以上、夜間 120/70mmHg以上 いずれかに該当
・eGFR40mL/分/1.73m2未満は除外する
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期待される治療効果、国内症例から明らかに

 RDNシステムとは、高周波エネルギー(ラジオ波)あるいは超音波を用いて腎動脈周囲を走行する交感神経線維(遠心路、求心路)を選択的に焼灼することでパーフェクト24時間血圧コントロール2)の達成が可能となるという。同氏はこれまでに実施された国内試験(SYMPLICITY HTN-Japanほか)や7つのシャム対照試験を比較した研究などを踏まえ、「シャム群の降圧には薬剤のOn-Offが影響している可能性が高いが、薬剤を完全OffしたHTN-OFF MED試験でもRDNによる降圧効果が認められている」と述べ、「(多剤)薬物治療では長期持続性がないため、24時間血圧のなかでも夜から朝にかけてのコントロールに難渋するが、RDNではとくに“モーニングサージ型”あるいは“夜間高血圧型”患者の血圧改善が見込まれる」と強調した。

 RDNの特徴は、交感神経線維を完全に焼灼するのではなく部分的に焼灼することで、起立性低血圧や腎機能低下などの予測しうる副作用の回避につながっている。一方で、「手技のエンドポイントがない」「ドラッグフリーになるまでの降圧効果が現時点で明らかになっていない」「高周波システムと超音波システムの患者ごとの使い分けに対するエビデンスが不足している」といったウィークポイントもあり、その解決は今後の検討課題であるという。また、二次性高血圧のうち、原発性アルドステロン症例は治療対象外となる。これについて「降圧の作用機序が異なるため、効果が得られにくい可能性がある」と同氏は説明した。

学会総会で実施症例を徹底検討!恩恵を受ける患者発掘に注力

 本システムを使用するには、日本高血圧学会(JSH)・日本循環器学会(JCS)・日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)の3学会合同で作成された適正使用指針ならびにコンセンサスステートメントに則り、認定専門施設でのみ実施可能である。それらの施設には“高血圧RDN治療チーム(HRT)”があり、3学会専門医、看護師、薬剤師、管理栄養士が患者介入し、患者嗜好を共有意思決定(SDM)したうえでようやく適応となる。なお、日本人高血圧患者のRDN嗜好/希望について同氏が調査3)を行った結果、約3割の患者が「希望する」と回答していた。

 現在、3学会合同で1例ごとに実施可否の判断がなされ、全国で約10例に実施されている(2026年5月時点)。将来的な適応について同氏は、「脳卒中、急性心筋梗塞、心不全、大動脈解離など、重篤な循環器イベントの抑制を目指していく」と述べ、「現時点での最大の課題は、最も恩恵を受ける対象者を探すこと」だという。

 そこで、同氏が会長を務め10月10~12日に開催される第48回日本高血圧学会総会において、実施症例の患者背景やベースライン時の血圧情報(診察室血圧・家庭血圧・ABPMなど)、併存疾患、服薬状況に関する報告がなされる予定だ。これまでに例をみない学会の試みにより、「専門医に向けて、患者発掘や実施可能例の理解につなげていく」と締めくくった。

(ケアネット 土井 舞子)