地域医療構想に基づき、地域内に点在している複数の病院が有する特定の医療機能を拠点となる一部の病院に集め、医療資源を効率的に配置する病院機能の集約化が進められている。それにより、医療の質の維持・向上や、医療者の労働環境の改善が期待されるが、集約化の対象となる診療科に勤務する医師は好意的に捉えているのか。CareNet.comでは、20床以上の病院の内科、外科、小児科、産婦人科、腫瘍科、救急科勤務の医師1,000人を対象に「医療機関の経営状況や病院機能の集約化」に関するアンケートを行った(実施日:2026年5月18~19日)。
施設規模が大きくなるにつれて経営状況が不良に
Q1では、まず2025年度の勤務先の病院の経営状況について聞いた(単一回答)。全体では、「良好である」が31%、「良好ではない」が50%、「わからない」が19%であり、ちょうど半数の医師が経営状況に不安を感じていることが明らかになった。
病床数別では、20~99床の施設は「良好である(38%)」と「良好ではない(37%)」がほぼ同数であったが、「良好ではない」が100~199床では43%、200床以上では54%と、施設規模が大きくなるにつれて経営状況の悪化が目立った。年代別では、20~50代の医師の勤務先は「良好ではない」が53~54%と半数を超えていたが、60代以上では40%と低かった。これは、本調査の回答者は、年代が上がるにつれて、大規模病院から中小規模病院に勤務する割合が増えていたことに起因すると考えられる。
診療科別では、「良好ではない」は小児科(60%)、外科(57%)、救急科(55%)、腫瘍科(55%)で半数以上であり、全体(50%)よりも高い選択率であった。「良好ではない」が最も少ないのは内科(43%)であった。
勤務先の経営状況への危機感が最も強いのは腫瘍科
Q2では、勤務先の今後の経営状況について危惧しているかどうかを聞いた(単一回答)。全体では「危惧している」が35%、「どちらかというと危惧している」が43%、「どちらかというと危惧していない」が16%、「危惧していない」が6%であり、「危惧している」+「どちらかというと危惧している」を合わせて78%が危機感を抱いていた。
なお、Q1で勤務先の病院の経営状況が「良好である」と回答した医師の「危惧している」+「どちらかというと危惧している」の割合は64%であったのに対し、「良好ではない」と回答した医師では92%とやはり危機感が顕著であった。
年代別の「危惧している」+「どちらかというと危惧している」の割合は、20~30代が80%、40代が84%、50代が81%と高かったが、60代以上になると68%と大きく減少した。病床数別では、施設規模が大きくなるほど「危惧している」+「どちらかというと危惧している」の割合が増えた(20~99床:70%、100~199床:74%、200床以上:80%)。
診療科別ではばらつきが大きく、「危惧している」+「どちらかというと危惧している」が最も少ないのは産婦人科(68%)であった。一方、最も多いのが腫瘍科(90%)で、「危惧している」が55%、「どちらかというと危惧している」が35%と、非常に強い危機感を抱いていることが示唆された。
若い世代ほど病院機能の集約化に強く賛成
Q3では、地域医療構想に基づく病院機能の集約化に賛成か反対かを聞いた(単一回答)。全体では「賛成」が28%、「どちらかというと賛成」が54%、「どちらかというと反対」が16%、「反対」が2%であり、82%の医師が賛成派であった。すべての年代で「賛成」+「どちらかというと賛成」は75%を超えていたが、若い世代ほど「賛成」が多く、より強固な支持を集めていた(20~30代:33%、40代:32%、50代:29%、60代以上:18%)。
病床数別では、施設規模が大きくなるほど「賛成」および「どちらかというと賛成」のいずれも右肩上がりに増えていった。診療科別の「賛成」+「どちらかというと賛成」が最も多かったのは小児科と救急科(いずれも92%)であった。腫瘍科では「賛成」が50%に上り、とくに強い支持を集めていた。
病院機能の集約化の最大の懸念は「医療アクセスの低下」
Q4では、病院機能の集約化の問題点があるとしたら何かを聞いた(複数選択[3つまで])。全体では、「医療アクセスの低下」「地域間の医療格差の拡大」「地域医療の弱体化」「大病院への負担集中」「医療者の偏在」「医療者の業務負担増加・働き方の悪化」「調整・統合に伴う医療機関の負担や対立」「患者の不安増大」「患者の医療機関選択の制限」と続いた。
「地域医療の弱体化」は若い世代ほど選択率が高く、「医療者の偏在」は年代が上がるにつれて選択率が高まった。「調整・統合に伴う医療機関の負担や対立」は20~30代および60代以上と比較して40代・50代で多く選ばれており、実務の中心を担う世代ならではの懸念がうかがえた。
病床数別では、「大病院への負担集中」は200床以上の施設の医師で選択率が高く、勤務先の施設では負担が増大すると予想しているようであった。「地域間の医療格差の拡大」「地域医療の弱体化」も施設規模が大きくなるほど多くなった。「医療アクセスの低下」「調整・統合に伴う医療機関の負担や対立」は20~99床で多かった。
診療科別では、「医療アクセスの低下」「医療者の偏在」が産婦人科で突出して多かった。救急科では「大病院への負担集中」「医療者の業務負担増加・働き方の悪化」、腫瘍科では「地域間の医療格差の拡大」「地域医療の弱体化」が全体を大きく上回っていた。
アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。
医療機関の経営状況や病院機能の集約化/医師1,000人アンケート
(ケアネット 森)