デュルバルマブ、切除可能胃がんの周術期治療で承認/AZ

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/24

 

 アストラゼネカは2026年6月19日、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が、「胃がんにおける術前・術後補助療法」の適応で厚生労働省の承認を取得したと発表した。これにより同薬は、日本で初めてかつ唯一の切除可能胃がんに対する周術期免疫療法として使用可能となった。

 胃がんは世界で年間約100万人が新たに診断される主要ながんの1つであり、日本でも罹患数第3位、死亡数第4位を占める。切除可能症例では手術と周術期治療が治癒を目指す標準的アプローチであるものの、依然として再発率は高く、さらなる予後改善が課題となっている。

 今回承認されたレジメンは、デュルバルマブとFLOT療法(フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン、ドセタキセル)を組み合わせた周術期治療(D-FLOTレジメン)である。用法・用量は、術前および術後にそれぞれ最大2回、4週間間隔でデュルバルマブ1,500mgをFLOT療法と併用投与し、その後デュルバルマブ単剤を4週間間隔で最大10回投与する。

 今回の承認は国際第III相MATTERHORN試験の結果に基づくもの。同試験は、切除可能なStageII~IVAの胃がんまたは食道胃接合部がん患者948例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第III相試験である。患者はデュルバルマブ+FLOT群またはプラセボ+FLOT群に割り付けられ、主要評価項目は無イベント生存期間(EFS)とされた。

 計画された中間解析では、デュルバルマブ併用群は対照群と比較して病勢進行、再発または死亡のリスクを29%低下させた(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.58~0.86、p<0.001)。EFS中央値は対照群の32.8ヵ月に対し、デュルバルマブ群では未到達であった。24ヵ月時点のEFS率は67.4%対58.5%と、デュルバルマブ群で良好な結果が示された。

 さらに最終全生存期間(OS)解析では、死亡リスクが22%低下した(HR:0.78、95%CI:0.63~0.96、p=0.021)。3年生存率はデュルバルマブ群69%、対照群62%であり、経時的に生存曲線の乖離が拡大する傾向が認められた。OSベネフィットはPD-L1発現状況にかかわらず確認された。

 安全性については既知のプロファイルと概ね一致していた。Grade3以上の有害事象発現率はデュルバルマブ群71.6%、対照群71.2%と同程度であり、手術完遂率にも大きな差はみられなかった。

 日本人サブグループ解析では、デュルバルマブ群40例、プラセボ群46例が登録され、有効性および安全性はいずれも全体集団と同様の傾向を示した。

 愛知県がんセンターの室 圭氏は、「周術期D-FLOTレジメンは日本の患者にも新たな治療選択肢となり、周術期免疫療法が新たな標準治療となる可能性がある。切除可能胃がん治療における大きなパラダイムシフトである」とコメントした。また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)胃がんグループ代表の吉川 貴己氏も、「依然として高い再発率を背景に、より強力な周術期治療が求められていた。本承認は切除可能胃がん患者の予後改善に向けた重要な選択肢となる」と期待を示した。

 今回の承認により、切除可能胃がんに対する周術期治療戦略は、化学療法単独から免疫療法併用へと移行する可能性がある。


【製品概要】(下線部が今回より追加)
製品名:イミフィンジ点滴静注120mg、イミフィンジ点滴静注500mg
一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果:
・切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
・切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
・非小細胞肺癌における術前・術後補助療法
・進展型小細胞肺癌
・限局型小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
・治癒切除不能な胆道癌
・進行・再発の子宮体癌
・膀胱癌における術前・術後補助療法
胃癌における術前・術後補助療法

(ケアネット 杉崎 真名)