日本の内科医と精神科医でアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する治療方針が異なっている?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/06/25

 

 認知症の行動・心理症状であるアジテーションは、日本ではいまだ十分に認識されていない。東京慈恵会医科大学の品川 俊一郎氏らは、日本におけるアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する医師の認識と治療実践を明らかにするため、ウェブベースの横断調査を実施した。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月7日号の報告。

 調査対象は、神経内科、脳神経外科、精神科、または一般内科の医師で、調査パネルに登録し、参加に同意した医師。病院またはクリニックで勤務し、月10例以上のアルツハイマー病患者を診療していることを条件とした。調査は、2024年10月にウェブベースで実施した。

 主な内容は以下のとおり。

・回答医師数は529人。1ヵ月当たりに診察していた平均アルツハイマー病患者数は35.0例、そのうち8.4例(24%)がアルツハイマー病に伴うアジテーションを有していると回答した。
・アジテーションという言葉から何を連想するかという質問に対し、医師が最も多く挙げたのは、神経精神症状評価尺度(NPI)の「興奮・攻撃性」項目に相当する日本語の「興奮性」であった(58.6%)。
・一般内科では、24.2%の医師がアジテーションの概念を認識していなかった。
・アルツハイマー病の新規治療薬として、最も多く選択されたのは抗認知症薬(91.7%)であった。
・一方、精神科では抗精神病薬が最も多く選択され(95.8%)、他の診療科よりも副作用を重要な考慮事項として挙げる傾向が高かった。

 著者らは「これらの結果は、アルツハイマー病に伴うアジテーションの認識と治療方法が診療科によって異なることを示唆しており、とくに抗精神病薬の処方において顕著であった。精神科医は、安全性に対する意識が高い一方、他の診療科、とくに一般内科では、アルツハイマー病に伴うアジテーションの認識が低いことがその傾向に表れていると考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)