2年ごとに行う免疫学的便潜血検査(FIT)スクリーニングに1回限定で便中ヘリコバクターピロリ(H. pylori)抗原検査を追加した場合、FITスクリーニング単独の場合と比べて、生涯にわたる健康上のベネフィットをもたらし、費用対効果も優れることが、国立台湾大学のYi-Chia Lee氏らCollaborators of the Taiwan Community-Based Integrated Screening Groupによって示された。検討は順守状況が不確実なリアルワールド設定下で行われた。H. pylori感染は胃がんの主な原因であることが示されているが、集団検診および除菌治療による経済的効果は不明確なままであった。JAMA誌オンライン版2026年6月1日号掲載の報告。
プラグマティックな無作為化試験データから、生涯にわたる費用対効果分析を実施
研究グループは、台湾の彰化県で行われた
H. pylori抗原検査+FIT vs.FIT単独のプラグマティックな無作為化試験に基づき、マルコフ決定分析モデルを用いてコホートをシミュレートし、生涯にわたる費用対効果分析を行った。
モデルは30年間にわたり、胃がんおよび大腸がんによる死亡、質調整生存年数(QALY:平均余命および健康関連の生活の質を含む)、医療費などの長期アウトカムを評価するものであった。費用は社会的観点から評価し、一次元感度分析と確率的感度分析を実施。すべての費用は2024年の為替レートを用いて米ドル換算し、将来コストとQALYは現在価値を求めるため年率3%で割り引かれた。
主要アウトカムは、
H. pylori抗原検査+FIT vs.FIT単独の費用対効果比増分で、1QALY獲得/人に必要な追加費用として測定した。副次アウトカムは、純金銭便益(net monetary benefit)および費用便益比(benefit-cost ratio)などであった。
FIT単独と比較して併用検査は効果的で費用削減をもたらす
FIT単独と比較して、
H. pylori抗原検査+FIT(併用検査)への招待は0.0038(95%信頼区間[CI]:0.0025~0.0053)QALY獲得増分と、1人当たり8ドルの費用削減をもたらし、費用削減(優位性を示す)の費用対効果比増分は、2,094ドル/QALY獲得(95%CI:1万2,359ドル~7,291ドルの追加コスト削減)であった。
この結果、純金銭便益はプラスとなり、健康上のベネフィットが費用を上回ったことが示され、費用便益比は5.08と、台湾国民に約5倍以上の投資効果が得られたことが示された。
1QALY当たりの支払い意思額(willingness-to-pay)を台湾GDPの1倍(3万3,365ドル)とした場合で、併用検査への招待により、シミュレーションの65.7%で費用削減効果が維持された。
米国コストの観点からは、併用検査への招待により費用は削減されなかったが、試験ベースの
H. pylori有病率において費用対効果が維持された。感度解析の結果、
H. pylori有病率は主要な要因であり、有病率が21.9%を下回ると併用検査の費用対効果は10万ドル/QALYの閾値を上回った。
(ケアネット)