非保護左冠動脈主幹部病変のPCI、超音波ガイドvs.造影ガイド/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/13

 

 非保護の左冠動脈主幹部病変を有する患者に対する冠動脈血行再建術では、近年、解剖学的な複雑性が軽度~中等度の場合は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が、冠動脈バイパス術(CABG)の許容可能な代替法として確立しているが、ステントの適切な拡張、血管壁への圧着、病変の被覆など長期的な転帰に影響を及ぼす可能性のある技術的な課題が残されているという。イタリア・IRCCS Policlinico San DonatoのLuca Testa氏らは「OPTIMAL試験」において、血管内超音波(IVUS)ガイド下PCIは従来の血管造影ガイド下PCIと比較して、良好な臨床アウトカムをもたらすかについて評価した。NEJM誌オンライン版2026年3月30日号掲載の報告。

欧州3ヵ国の研究者主導型無作為化優越性試験

 OPTIMAL試験は、イタリア、スペイン、英国の28施設で実施した研究者主導型の非盲検無作為化優越性試験(Philips Image Guided Therapy DevicesとBoston Scientificの助成を受けた)。

 2020年7月~2023年6月に、年齢18歳以上、50%以上の狭窄を伴う非保護の左冠動脈主幹部病変を有し、PCIの適応とされ、中等度~重度の虚血とともに、ガイドラインに基づく内科的治療を行っても症状を認める患者を登録した。

 被験者を、診断目的の冠動脈血管造影で適格性を確認した後、ガイドワイヤー挿入前に、IVUSガイド下PCIまたは血管造影ガイド下PCIを受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは、最長の追跡期間における脳卒中、心筋梗塞、血行再建術、全死因死亡から成る患者指向型の複合エンドポイントとした。

患者指向型の主要複合エンドポイント、33.7%vs.30.9%で有意差なし

 806例(平均[±SD]年齢71.4[±10.7]歳、男性78.4%、糖尿病34.7%)を登録し、IVUSガイド下PCI群に401例、血管造影ガイド下PCI群に405例を割り付けた。原疾患の発生率の内訳は、非ST上昇型心筋梗塞が39.1%、不安定狭心症が10.1%、慢性冠症候群が50.8%であり、平均SYNTAXスコアは29.7(±12.6)点(中等度~高度の解剖学的複雑性)だった。

 追跡期間中央値2.9年の時点において、患者指向型複合エンドポイントのイベントは、IVUSガイド下PCI群で135例(33.7%)、血管造影ガイド下PCI群で125例(30.9%)に発生し、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.11、95%信頼区間[CI]:0.87~1.42、p=0.40)。

 また、デバイス関連複合エンドポイント(心血管死、標的血管心筋梗塞、臨床的に必要と判断された標的病変の再血行再建術)(IVUSガイド下PCI群22.4%vs.血管造影ガイド下PCI群20.5%、HR:1.10、95%CI:0.82~1.49)、血管関連複合エンドポイント(心血管死、標的血管心筋梗塞、標的血管再血行再建術)(24.2%vs.21.5%、1.14、0.85~1.52)、全死因死亡(15.7%vs.15.1%、1.06、0.74~1.50)は、いずれも両群間に有意差がみられなかった。

手技関連・安全性イベントにも差はない

 心筋梗塞(IVUSガイド下PCI群11.2%vs.血管造影ガイド下PCI群10.9%、HR:1.04、95%CI:0.68~1.57)、再血行再建術(12.0%vs.11.1%、1.10、0.73~1.65)の発生率も両群で同程度であり、ステント血栓症(definite:0.7%vs.0.2%、3.07、0.32~29.53/probable/definite:2.0%vs.0.7%、2.73、0.72~10.27)の頻度にも有意な差はなかった。

 手技関連イベントや全般的な安全性イベント、重篤な有害事象の発生についても、両群間に有意差を認めなかった。

熟練施術者に血管内画像は不要の可能性

 著者は、「1件の先行試験では、IVUSは施術者の経験が少ないほうが有益性は高いことが示されているが、本試験の参加施設の施術者は豊富な専門知識を持ち、左冠動脈主幹部PCI施行中は、もとよりIVUSに基づいて確立された血管造影アルゴリズムを順守するとともに、厳格な手技基準と最新のステントプラットホームを用いたことが、両群間のアウトカムの潜在的な差異を縮小した可能性がある」としている。

 また、「本試験の結果は、左冠動脈主幹部の狭窄にPCIを行う際は、常に冠動脈内の画像によるガイドを使用すべきとの要件に異議を唱えるものであり、症例数の多い施設で熟練のIVUS施術者が処置を行う場合は、血管造影単独でも十分に適切である可能性を示唆する」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)