重度男性不妊症で顕微授精(ICSI)を受けるカップルにおいて、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の実施は非実施の場合と比べて、出生率を改善させなかったが、妊娠喪失率の低下は認められた。中国・Zhejiang University School of MedicineのXianhua Lin氏らが多施設共同非盲検無作為化対照試験の結果を報告した。PGT-Aは、生殖補助医療における移植胚の選択法として世界中で利用が増加している。これまでに後ろ向き研究で、出生率の改善が認められないことが報告されているが、前向き研究のエビデンスは不足していた。本検討の結果を踏まえて著者は、「コストの高さや母体および新生児へのリスクといった観点から、ICSIを受ける患者におけるPGT-Aの実施は慎重に検討すべきである」と述べている。BMJ誌2025年12月23日号掲載の報告。
重度男性不妊症でICSIを受ける450組を対象に無作為化試験
検討は中国の4つの生殖医療センターで行われた。重度男性不妊症でICSIを受ける予定が組まれたカップルを、ICSI前にPGT-Aを実施する群(PGT-A群)または実施しない群(非PGT-A群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。
主要アウトカムは、初回胚移植後の出生率および無作為化後12ヵ月以内の累積出生率(胚移植サイクルは最大3回)とした。主要解析は、ITT集団を対象として行われた。
2018年7月15日~2023年1月6日に、カップル1,347組がスクリーニングを受け、そのうち同意を得られた450組を、PGT-A群(225組)または非PGT-A群(225組)に無作為化した。
PGT-A実施群で出生率の改善は認められず、妊娠喪失率は有意に低下
両群のベースライン特性は類似していた。PGT-A群の組み入れ時の女性の平均年齢は29.9(SD 3.5)歳(20~29.9歳44.4%、30~34.9歳47.6%、35歳以上8.0%)、男性は31.8(SD 4.7)歳。また、重度乏精子症のみのカップルが24.9%、重度精子無力症のみが29.3%、重度乏精子症かつ精子無力症が35.6%、無精子症が10.2%であった。採取卵子中央値は14個(四分位範囲:9~20)だった。
初回胚移植後に出生を得たカップルは、PGT-A群109組(48.4%)、非PGT-A群104組(46.2%)であった(オッズ比[OR]:1.09、95%信頼区間[CI]:0.76~1.58、p=0.64)。
無作為化後12ヵ月時点の累積出生率は、PGT-A群60.4%(136/225組)、非PGT-A群60.9%(137/225組)であった(OR:0.98、95%CI:0.67~1.43、p=0.92)。
PGT-A群は、初回胚移植後の妊娠喪失率(5.8%[13/225組]vs.19.1%[43/225組]、OR:0.26、95%CI:0.14~0.50、p<0.001)、累積妊娠喪失率(11.1%[25/225組]vs.22.7%[51/225組]、OR:0.43、95%CI:0.25~0.72、p=0.001)が有意に低かった。
(ケアネット)