心血管イベントリスクの高い患者において、主要血管手術後または一般外科手術後の非制限輸血戦略は制限輸血戦略と比較して、90日死亡あるいは主要虚血性イベントの発生を減少させなかった。米国・State University of New York(SUNY)Downstate Health Sciences UniversityのPanos Kougias氏らTOP Trial Investigatorsが行った無作為化試験「Transfusion Trigger after Operations in High Cardiac Risk Patients:TOP試験」の結果で示された。術後赤血球輸血ガイドラインでは、ヘモグロビン値が7g/dL未満について輸血を行うこと(制限輸血戦略)が推奨されているが、大手術を受ける心血管イベントリスクの高い患者において、この輸血戦略の安全性は明らかになっていなかった。JAMA誌2025年12月23・30日号掲載の報告。
90日以内の死亡または主要虚血性イベントのリスクを評価
TOP試験は、主要血管手術または一般外科手術を受け、術後に貧血を呈した心血管イベントリスクの高い患者における、非制限輸血戦略vs.制限輸血戦略の90日以内の死亡または主要虚血性イベントのリスクを評価した、並行群間比較単盲検無作為化優越性試験。
2018年2月~2023年3月に、米国の16の退役軍人省医療センターで、主要血管手術または一般外科手術を受けた心血管イベントリスクの高い18歳以上の退役軍人が登録された。登録者は、術後15日間に入院中のヘモグロビン値が10g/dL未満となった場合に、非制限輸血戦略群(ヘモグロビン値が10g/dL未満で輸血開始)または制限輸血戦略群(ヘモグロビン値が7g/dL未満で輸血開始)に無作為に割り付けられた。
主要エンドポイントは、無作為化後90日以内に発生した全死因死亡、心筋梗塞、冠動脈血行再建術、急性腎不全、または虚血性脳卒中の複合。副次エンドポイントは、90日以内の心筋梗塞以外の心合併症の複合(不整脈、心不全、非致死的心停止)など5項目について評価した。
主要エンドポイント発生率、非制限輸血戦略群9.1%vs.制限輸血戦略群10.1%
1,428例が無作為化され、1,424例(各群712例)が解析コホートに含まれた。1,424例は平均年齢69.9(SD 7.9)歳、男性1,393例(97.8%)で、黒人268例(18.8%)、ヒスパニック58例(4.1%)、白人1,071例(75.2%)などで構成されていた。
1,297例(91.1%)が血管外科手術を受け、無作為化後5日目のヘモグロビン値の平均群間差は2.0g/dLであった。
主要エンドポイントの発生率は、非制限輸血戦略群9.1%(61/670例)、制限輸血戦略群10.1%(71/700例)であった(相対リスク:0.90、95%信頼区間[CI]:0.65~1.24)。90日時点の死亡は、両群で同等であった(非制限輸血戦略群4.6%[31/670例]vs.制限輸血戦略群4.7%[33/700例])。冠動脈血行再建術の発生率は、それぞれ1.2%(8/643例)と1.9%(13/688例)であった。急性腎不全の発生率は、非制限輸血戦略群より制限輸血戦略群のほうが高率だったが(1.7%[11/644例]vs.2.1%[14/671例])、統計学的有意差はなかった。
副次エンドポイント5項目のうちの1つである90日以内の心筋梗塞以外の心合併症の複合の発生率は、非制限輸血戦略群5.9%(38/647例)、制限輸血戦略群9.9%(67/678例)であった(相対リスク:0.59、99%CI:0.36~0.98)。
(ケアネット)