HIV患者の多剤耐性結核、ART実施で死亡リスク大幅減/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2020/08/20

 

 抗レトロウイルス治療(ART)とより効果的な抗結核薬の使用が、HIV陽性の多剤耐性結核患者の死亡率の低下と関連していることが、米国・ペンシルベニア大学のGregory P. Bisson氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。HIV感染症が多剤耐性結核治療中の死亡リスクを増大することは知られているが、これまでARTや抗結核薬の使用が同リスクに影響するのかは不明だった。結果を踏まえて著者は、「これらの治療へのアクセスを強く求めるべきだろう」と述べている。Lancet誌2020年8月8日号掲載の報告。

1993~2016年に多剤耐性結核で治療受けた患者を解析

 研究グループは、1993~2016年にかけて、多剤耐性結核が確定または推定診断され、結核の治療を開始した18歳以上の成人患者個々のデータについてメタ解析を行った。分析したデータには、ART使用データおよびWHOの分類に基づく抗結核薬治療のデータが含まれていた。

 主要解析では、多剤耐性結核治療中の死亡についてART実施により層別化し、HIV陽性患者をHIV陰性患者と比較(追跡不能データは除外)。世界銀行による国別の所得分類と薬剤耐性で厳密にマッチングし、年齢や性別、地域、多剤耐性結核治療の開始年、結核治療歴、直接監視下療法、抗酸菌塗抹陽性について傾向スコアマッチング後、ロジスティック回帰法を用いて補正後オッズ比(aOR)と95%信頼区間(CI)を求めて評価した。2次解析はHIV感染症患者を対象に行われた。

HIV陽性・ART使用の死亡オッズ比1.8、同非使用は4.2

 多剤耐性結核患者1万1,920例を包含して解析が行われた。うちHIV陽性・ART使用は2,997例(25%)、HIV陽性・ART非使用は886例(7%)。また、広範囲薬剤耐性結核患者は1,749例(15%)だった。

 HIV陰性患者を基準とした、HIV陽性・多剤耐性結核患者全体の死亡に関するaORは2.4(95%CI:2.0~2.9)、そのうち、ART使用患者の同aORは1.8(1.5~2.2)、ART非使用または不明患者の同aORは4.2(3.0~5.9)だった。

 HIV陽性患者において、WHO分類のグループA治療薬、またはモキシフロキサシン、レボフロキサシン、ベダキリン、リネゾリドの使用は、死亡オッズ比の有意な低下と関連していた。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)