「白湯は健康によい?」「バリウム検査は受けるべき?」…患者によく聞かれる質問に解答

提供元:ケアネット

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公開日:2026/02/09

 

 CareNet.comの人気連載「NYから木曜日」「使い分け★英単語」をはじめ、多くのメディアで健康・医療情報を発信する米国・マウントサイナイ医科大学 老年医学科の山田 悠史氏。医学専門書はもとより、健康などのテーマで一般向け書籍も多く執筆する山田氏の最新作が『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)だ。

 本書は、しばしば話題になる「健康についての疑問」を、健康診断/医療・食事・健康・運動・睡眠などのジャンルごとに100問集め、最新のエビデンスを踏まえたうえで「正しいか・正しくないか」を提示し、解説する構成になっている。

 100問の中から、いくつかを紹介する。
1) がん検診の胃のバリウム検査は受けたほうがいい?
2) コーヒーを適量飲めば、病気のリスクが減るのは本当?
3) 白湯は本当に健康にいい?
4) プロテインは筋トレしてなくても飲んだほうがいい?
5) 日光浴は睡眠にいい?

 書籍内で紹介された解答と解説は以下のとおり。
1)×
現時点では、無症状の人へのバリウム検査がリスク減少に寄与するというエビデンスは限定的で、検診目的であれば内視鏡検査がより有効とされる。特定の症状がある人の検査目的なら有用。
2)○
毎年多くの研究結果が報告されるコーヒーと健康の関係について、1日3~5杯の摂取で、病気リスクが低下傾向になることが報告されている。一方で、飲み過ぎは不眠・動悸の原因にもなり、妊娠中なども摂取量に注意が必要。
3)×
現時点では、「白湯だけ」がもたらす特別な効果は証明されていない。水分摂取で大切なのは温度より「量」と「継続」であり、好きな温度で続ければよい。
4)×
食事でタンパク質摂取ができていれば、プロテイン摂取は不要。筋トレをしていない人が飲んでも筋力が付くわけではない。プロテインはあくまで補助食品であり、適切な栄養摂取はまず食事の見直しから始めるべき。
5)○
日光を浴びることで体内時計が整えられる。メラトニンの分泌を促し、睡眠の質を改善する。日光浴の時間は1日5~30分程度でOK。

山田氏に今回の執筆の経緯などを聞いた。 
――今回は一般書なので、まずは読者の方に関心を持ってもらおうと、「よくある健康関連の疑問に対し、○×で答えを提示する」という目を引く構成にしました。診察室でも、患者さんから「はっきりとは答えにくい質問」を受けることがよくあります。「テレビで見たんですけど、本当ですか?」「SNSで話題なんですけど、どうなんですか?」といったように。それに対し、「私ならどう答えるか」とシミュレーションする気持ちで執筆しました。

 とはいえ、医師の方であればご存じのとおり、医療・健康に関する情報は「完全に正しい=白」でも「完全に間違い=黒」でもなく、その間のグレーゾーンにあることが大半です。でも、「はっきりとはわかっていません」と言い続けるだけでは、強い主張をするSNSなどの誤情報に負けてしまうことがある。なので、現時点におけるエビデンスを調べ尽くしたうえで、「あえて言うならこちら」と解答を提示し、本文でフォローしています。論拠とした論文はすべて巻末に掲載しているので、関心のあるテーマを深掘りしたり、患者さんとの対話の中で役立てたりしていただければと思います。

 本書でとくに印象に残っているのは、「健康にいいおやつは、ドライフルーツよりナッツって本当?」という疑問です。当然ながら、両者を直接比較した試験はなく、私自身もこれまで似た質問を受けたとき、「はっきりとはわかっていません」と答えていました。でも、「白黒を付ける」という本書の方針のもと、ドライフルーツとナッツそれぞれの研究結果を踏まえ、「あえて言えば、ナッツのほうが健康によい」と判断して「○」としました。

 100の疑問は、編集の方が出してきたものをそのまま採用しています。私が修正や追加したものはなく、完全に一般の方の「生の声」です。「ネギを首に巻くと風邪は治る?」「こんにゃくをお腹にのせると腹痛が治る?」といった、民間療法に類する質問も入れました。私からすれば診察室でもなかなか聞くことのない、「そこを疑問に思うんだ!」と驚くような質問にも出会え、執筆自体が大きな学びとなりました。

 今回の書籍のターゲットは、30~40代のビジネスパーソンです。
 私の専門は老年医学なので、普段は高齢の患者さんと接することが多い。健康を失った高齢の方と話していると、若い時期にした小さな「選択ミス」が傷口となり、だんだんとその差が広がり、ついに病気になってしまった、と感じるケースが多くあります。高齢では間に合わないことも、中年から改善すれば間に合うのです。自分の30~40年後を見据え、健康を守るために正しい知識を得て、より良い選択を積み重ねてほしいと思います。

書籍紹介
『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』

(ケアネット 杉崎 真名)