特発性肺線維症への吸入トレプロスチニルがFVC低下を抑制/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/03/19

 

 特発性肺線維症(IPF)患者への吸入トレプロスチニル投与(12吸入を1日4回)は、プラセボと比較して52週間にわたり、努力肺活量(FVC)低下および臨床的悪化のイベント発現を抑制したことが示された。米国・Inova Fairfax HospitalのSteven D. Nathan氏らTETON-2 Trial Investigatorsが、日本を含む16ヵ国107施設で被験者を募り実施した第III相の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。前臨床データにおいて、吸入トレプロスチニルは抗線維化作用によりIPFの治療に有効である可能性が示されており、臨床でもその可能性を支持する所見が示されていた。NEJM誌オンライン版2026年3月11日号掲載の報告。

主要エンドポイントは、FVCのベースラインから52週時までの変化量

 研究グループは、40歳以上のIPF患者を、吸入トレプロスチニル(3吸入を1日4回で開始し、12吸入を1日4回に増量)投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、52週間投与し、有効性と安全性を比較した。

 主要エンドポイントは、FVCのベースラインから52週時までの変化量(絶対値)であった。副次エンドポイントは、IPFの臨床的悪化(全死因死亡、呼吸器系の原因による入院、FVCの予測値に対する割合[%FVC]の10%以上低下のいずれか初発)および急性増悪(それぞれtime-to-event解析で評価)、52週時までの死亡、および%FVC、QOL、一酸化炭素肺拡散能のベースラインから52週時までの変化量であった。安全性も評価した。

FVCの変化量は群間で有意な差、臨床的悪化も有意に抑制

 2022年10月4日~2024年7月3日に593例が無作為化され、少なくとも1回試験薬を投与された(トレプロスチニル群298例、プラセボ群295例)。このうち463例(それぞれ224例、239例)が52週の試験評価を完了した。被験者の平均年齢は71.7歳、男性が80.1%で、ベースラインの%FVC平均値は76.8%、抗線維化薬を基礎療法として受けていたのは75.4%であった。

 52週時のFVCの変化量中央値は、トレプロスチニル群-49.9mL(95%信頼区間[CI]:-79.2~-19.5)、プラセボ群-136.4mL(-172.5~-104.0)であり、群間差は95.6mL(52.2~139.0、p<0.001)であった。

 臨床的悪化は、トレプロスチニル群81例(27.2%)に対しプラセボ群115例(39.0%)で報告された(ハザード比[HR]:0.71、95%CI:0.53~0.95、p=0.02)。IPFの初回急性増悪までの期間について群間で有意な差は観察されず、そのため副次エンドポイントに関するその後の統計学的推論は行われなかった。

 最も多く見られた有害事象は咳嗽で、トレプロスチニル群48.3%、プラセボ群24.1%の患者で報告された。投与中止に至った割合は、トレプロスチニル群33.6%、プラセボ群24.7%で、これらの患者の約半数が投与中止の主要な理由として有害事象を挙げていた。

(ケアネット)