統合失調症患者における遺伝と性差との関係

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/01/30

 

 親が統合失調症の場合、世代を超えてメンタルヘルスリスクに影響を及ぼすが、性別による伝播パターンは、依然として十分に定量化されていない。中国・北京大学のZhi Sheng氏らは、中国における統合失調症患者の子供における、親が報告した伝播率と家族性のリスク因子を調査した。The Lancet Regional Health誌2025年12月号の報告。

 統合失調症患者2万7,315例とその子供3万5,772例を対象に横断研究を実施した。子供の精神疾患の診断は、親が報告し、その後、医療管理システムを通じて確認した。年齢と性別で標準化した伝播率は、2020年の中国国勢調査を参照した。ロバストポアソン回帰分析により、調整伝播率比(aRR)を算出した。多変量ロジスティックモデルを用いて、若年子孫のリスク因子を特定した。

 主な結果は以下のとおり。

・親が報告した子供における伝播率は2.68%(95%信頼区間[CI]:2.52〜2.85)であり、統合失調症スペクトラム障害(1.42%)が大部分を占めた。
・人口統計学的標準化後の標準化率は2.53%(95%CI:2.01〜3.05)であった。
・親の疾患発症後に妊娠した場合では、子供のリスクが86.0%増加することが示された。
・リスク上昇と有意な関連が認められた因子は、第1子(aRR:1.67)、低所得世帯(aRR:1.43)、男児(aRR:1.14)であった。
・親の年齢の影響も性別特異性が認められた。
・未成年(17歳未満)の子供を対象としたサブグループ解析では、母子間での影響は、親の発症後の出産(オッズ比[OR]:2.48、p<0.001)、世帯収入の低さ(OR:2.32、p<0.001)、出生前の抗精神病薬の使用(OR:1.69、p<0.001)と関連が認められた。
・父子間での影響は、父親のみによる養育(OR:2.15、p<0.001)、世帯収入の低さ(OR:1.97、p<0.001)、男児(OR:1.79、p=0.001)と関連していた。
・両親による養育は、母子および父子の統合失調症群の両方において、強力な保護効果であることが示唆された(OR:0.75、95%CI:0.51〜1.10)。

 著者らは「本研究の結果は、家族集積、性別によって異なる周産期曝露、そして養育環境の間に重要な相互作用があることを浮き彫りにした。政策の優先事項としては、性別に基づいた遺伝カウンセリング、出生前の薬物モニタリング、そして養育の不平等を解消するための家族支援プログラムを統合する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)