胃癌学会の認定施設、術後死亡率リスクを有意に低下

提供元:ケアネット

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公開日:2026/01/15

 

 2023年に日本胃癌学会は胃がん診療の質を担保するため、関連する専門医の在籍数、手術数を主な認定基準とした「機関認定制度」をスタートさせた。2026年1月現在、最高水準の「認定施設A」が149、それに次ぐ「認定施設B」が299ある。一方で、この制度が実際の診療の質向上につながるのかは明らかでなかった。鳥取大学の松永 知之氏による研究チームは、2020〜22年に実施された遠位胃切除術および胃全摘術を対象に、認定施設と非認定施設の術後短期成績を比較する後ろ向きコホート研究を実施した。

 全国臨床データベース(NCD)登録例を用い、2020年1月~2022年12月に実施された遠位胃切除術および胃全摘術を受けた患者を対象とした。主要評価項目はGrade≧IIIaの術後合併症発生率、副次的評価項目は術後死亡率とした。

 主な結果は以下のとおり。

・遠位胃切除術の場合、合併症発生率は認定施設A、B、非認定施設の3施設間で有意差は認められなかった。ただし、術後死亡率は、認定施設A(オッズ比[OR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.31~0.49)および認定施設B(OR:0.59、95%CI:0.49~0.71)ともに、非認定施設と比較して有意に低かった。
・一方、胃全摘術の場合、合併症発生率は認定施設A(OR:1.25、95%CI:1.09~1.44)および認定施設B(OR:1.17、95%CI:1.03~1.33)ともに、非認定施設と比較して高かった。しかし、術後死亡率は認定施設A(OR:0.41、95%CI:0.29~0.58)および認定施設B(OR:0.67、95%CI:0.51~0.88)で、非認定施設と比較して有意に低かった。

 研究者らは「どちらの手術でも術後死亡率は認定施設で有意に低い結果であり、これは、認定施設では専門医の体制や多職種連携、周術期管理の質が高いことを示唆している。胃全摘術では認定施設のほうが合併症発生率が高かったが、これは低侵襲手術などの高度な術式が多いこと、高難度症例を積極的に受け入れていることが背景になっていると考えられる。術後死亡率の改善は臨床的意義が大きく、認定制度は胃がん手術の安全性向上に寄与していると評価できる」とまとめた。

(ケアネット 杉崎 真名)