認知症患者への抗精神病薬、各薬剤の最適な投与量は?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/01/14

 

 アルツハイマー病を含む認知症の神経精神症状(NPS)に対する抗精神病薬は、広く使用されている一方で、有効性と安全性のバランスが依然として大きな臨床課題となっている。東京・iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、認知症のNPSに対する各種抗精神病薬の用量依存的な有効性と忍容性を比較するため、用量反応モデルに基づくネットワークメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌2026年2月号の報告。

 CENTRAL、PubMed、CINAHL、ClinicalTrials.govより網羅的に検索し、認知症のNPSに対する抗精神病薬を評価したランダム化比較試験を特定した。アルツハイマー病を含む認知症患者を対象に、アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、リスペリドン、クエチアピン、オランザピンのさまざまな用量における有効性(NPS重症度の変化)および忍容性(有害事象による治療中止)を評価するため、用量反応モデルに基づくネットワークメタ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・分析には、20研究、5,844例を含めた。
・研究に含まれた抗精神病薬のほとんどが、有効性と忍容性の両方で、おおむね正の用量反応関係を示した。しかし、オランザピンは有効性に関してベル型曲線を示した。
・アリピプラゾール10mg、ブレクスピプラゾール1~2.5mg、リスペリドン1~2mg、オランザピン2.5~5mgのみが、プラセボよりも有意に有効であった。
・アリピプラゾール10mgまで、ブレクスピプラゾール3mgまで、リスペリドン1mgまで、オランザピン2.5mgまでおよび15mg、クエチアピン200mgまでであれば、プラセボと比較し忍容性が有意に低下することはなかった。
・さらに、いくつかの抗精神病薬では、特定の用量間で有効性と忍容性に有意差が認められた。

 著者らは「アリピプラゾール10mg、ブレクスピプラゾール1~2.5mg、リスペリドン1mg、オランザピン2.5mgは、いずれも有効性と忍容性が良好であり、好ましい治療選択肢となる可能性が示唆された。本モデルにはいくつかの不確実性要因が含まれているため、本知見は慎重に解釈する必要があり、臨床的意思決定を支援するための暫定的な枠組みとして捉えるべきである」としている。

(鷹野 敦夫)