慢性鼻副鼻腔炎の手術後の再発を防ぐ留置ステントへの期待/メドトロニック

提供元:ケアネット

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公開日:2025/12/18

 

 日本メドトロニックは、慢性副鼻腔炎手術後に使用するわが国初のステロイド溶出型生体吸収性副鼻腔用ステント「PROPEL」の発売によせ、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、慢性副鼻腔炎の疾患概要と診療の現状と課題などが講演された。

副鼻腔炎手術後の再発予防への期待

 「慢性副鼻腔炎の病態と最新治療-手術療法を中心に-」をテーマに、鴻 信義氏(東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学講座 教授)が講演を行った。

 はじめに鼻腔内の解剖を説明するとともに、副鼻腔炎について、誰もがなりうる疾患であり、急性副鼻腔炎で3ヵ月以上鼻閉、粘性・膿性鼻漏、頭重感、嗅覚障害、後鼻漏などの症状が持続した場合、慢性副鼻腔炎と診断される。患者はわが国には、100万~200万人と推定され、その中でも好酸球性副鼻腔炎患者は20万人と推定されている。慢性化すると鼻茸(ポリープ)がしばしば発生し、病態は悪化するが生命予後に大きく関係することもないので、病状に慣れてしまい、放置や受診控えなどの患者も多いという。その一方で、重症例での内視鏡下副鼻腔手術は年間6万例行われている。

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者の疾患負荷として鼻閉、鼻漏、嗅覚障害などに関連し、食品などの危険察知の低下や仕事のパフォーマンスの低下、睡眠障害などが指摘され、QOLに大きな影響を及ぼす。

 慢性副鼻腔炎には、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌を原因とする非好酸球性副鼻腔炎と喘息患者に多く鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎があり、後者は指定難病に指定され、寛解が難しいケースは眉間などに膿が貯まる病態とされている。

 慢性副鼻腔炎の保存療法としては、

・鼻処置・副鼻腔自然口開大処置
・ネブライザー
・上顎洞洗浄、鼻洗浄
・薬物療法(抗菌薬、消炎酵素薬、気道粘液調整・溶解薬、抗アレルギー薬、ステロイド、漢方薬など)
の4つの療法が行われ、効果がみられない場合に手術適応となる。

 現在行われている内視鏡下副鼻腔手術(ESS)では、術後の患者の自覚症状やQOLは大きく改善されている一方で、術後1年にわたる加療継続、半数が数年で再発するなどの課題も指摘されている。そして、再発例では、再手術、ステロイド投与、分子標的薬投与などが行われる。とくにステロイド投与については、症状の改善に効果はあるものの投与薬剤や方法が統一化されていないことや骨粗鬆症や肝障害のリスクなどの課題も治療現場では危惧されている。また、現在使用されているスプレー式では、患部に確実に届かなかったり、長時間の作用がなかったりという課題も明らかになっている。

 そこで、こうした課題の解決のために登場したステロイド溶出型生体吸収性副鼻腔用ステントであれば、30日間鼻腔内にステロイド成分を放出することで再発防止となり、良好な術後ケアができることが期待されている。すでに米国では10年以上使用されており、効果や安全性も確認されている。

 最後に鴻氏は、「ステントの留置で術後の再燃リスクを大幅に低減する可能性があり、わが国の慢性副鼻腔炎の術後管理の在り方を変えることに期待している」と結び、講演を終えた。

(ケアネット 稲川 進)