鼻茸を伴う重症の慢性副鼻腔炎成人患者において、日常的な点鼻ステロイド療法にstapokibartを併用投与することで24週時の鼻茸サイズと鼻症状の重症度を有意に改善させることが示された。中国・首都医科大学のShen Shen氏らが、中国の51施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-2試験」の結果を報告した。stapokibartは、新規の抗インターロイキン4受容体αサブユニット(IL-4Rα)モノクローナル抗体であり、中国において中等症~重症のアトピー性皮膚炎ならびに季節性アレルギー性鼻炎の治療薬として用いられている。第II相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-1試験」において、鼻茸を伴う重症の好酸球性慢性副鼻腔炎に対する有効性が示されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月18日号掲載の報告。
ステロイド点鼻療法へのstapokibart併用をプラセボ併用と比較
CROWNS-2試験の対象は鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の成人患者で、スクリーニングの6ヵ月以上前に副鼻腔手術歴があるか、または過去2年以内に全身性ステロイド投与歴があり、両側の鼻茸スコアが5以上(範囲:0~8)かつ週平均鼻閉スコアが2以上(範囲:0~3)の患者であった。なお、登録患者の60%以上は鼻茸を伴う好酸球性慢性副鼻腔炎であることとした。好酸球性慢性副鼻腔炎は、血中好酸球が6.9%以上(喘息なし)または3.7%以上(喘息あり)、鼻茸組織中好酸球数が55個/HPF以上または27%以上と定義した。
研究グループは、適格患者をstapokibart(300mg皮下投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、2週ごとに24週間投与した(試験投与期)。両群とも4週間の導入期および試験投与期中、モメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を1日1回(各鼻腔に100μg)噴霧した。
主要エンドポイントは2つで、全体集団および好酸球性慢性副鼻腔炎患者集団における24週時の鼻茸スコアおよび鼻閉スコアのベースラインからの変化であった(意味のある変化の閾値[MCT]はそれぞれ≧1点および≧0.5点)。
stapokibartの有効性と安全性を確認
2022年8月9日~2023年4月28日に、274例がスクリーニングされ、適格患者180例が無作為化された。このうち、179例(平均[±SD]年齢45.0±12.9歳、女性61例[34.1%])が少なくとも1回試験薬の投与を受けた(stapokibart群90例、プラセボ群89例)。追跡調査終了日は2024年6月25日であった。
24週時における鼻茸スコアのベースラインからの最小二乗(LS)平均変化量は、全体集団でstapokibart群-2.6点、プラセボ群-0.3点(LS平均群間差:-2.3、95%信頼区間[CI]:-2.6~-1.9、p<0.001)、好酸球性慢性副鼻腔炎患者集団ではそれぞれ-3.0点、-0.4点(-2.5、-2.9~-2.1、p<0.001)であった。
24週時における鼻閉症状のベースラインからのLS平均変化量は、全体集団でstapokibart群-1.2点、プラセボ群-0.5点(LS平均群間差:-0.7、95%CI:-0.9~-0.5、p<0.001)、好酸球性慢性副鼻腔炎患者集団でそれぞれ-1.3点、-0.5点(-0.8、-1.0~-0.6、p<0.001)であった。
有害事象の発現割合は、stapokibart群77.8%、プラセボ群69.7%、重篤な有害事象はそれぞれ2.2%、1.1%であった。stapokibart群では、プラセボ群に比べて関節痛(7.8%vs.0%)ならびに高尿酸血症(5.6%vs.1.1%)の発現割合が高かった。
(ケアネット)