日本人の冠動脈石灰化リスクに関連する腸内細菌叢

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/10/25

 

 冠動脈疾患患者の腸内細菌叢は健康人とは異なるが、冠動脈疾患が発症する前に違いがあるのかどうかはわかっていない。今回、滋賀動脈硬化疫学研究SESSAにおいて、日本人における冠動脈石灰化(CAC)の進行や冠動脈疾患の発症における新たなリスクや予防因子を特定するべく、CACや冠動脈疾患に関連する腸内細菌叢を調査した。その結果、Firmicutes門とBacteroidetes門の比率(F/B比)、とくにFirmicutes門とLactobacillales目がCACスコアおよび冠動脈疾患の既往と関連しており、これらの細菌群にCAC進行のリスク因子または腸内バイオマーカーが含まれている可能性があることを、滋賀医科大学の岡見 雪子氏らが報告した。American Heart Journal誌オンライン版2023年10月5日号に掲載。

 本横断研究では、日本人男性663人にCTおよび腸内細菌検査を行い、Agatston法を用いて算出したCACスコアにより、0、0<かつ≦100、100<、冠動脈疾患既往ありの4群に分けた。細菌の16SリボソームRNA遺伝子を増幅し、MiSeq SystemでDNA配列を決定した。また、QIIME2とLEfSeを用いて腸内細菌叢を解析し、4群間で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・参加者の平均年齢は68.4歳(範囲:46~83歳)だった。
・CACスコア0が219人、0<かつ≦100が200人、100<が193人、冠動脈疾患既往ありが51人で、F/B比中央値は順に1.50、1.52、1.67、1.80だった(p=0.020)。
Firmicutes門、Bacilli綱、Lactobacillales目は冠動脈疾患リスクが1.3~1.4倍高く、また、CACスコアが高かった。
Streptococcaceae科、Streptococcus属は冠動脈疾患リスクが高かった。

(ケアネット 金沢 浩子)