COVID-19感染クロザピン使用患者における好中球数の変化

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/21

 

 クロザピンは、無顆粒球症・顆粒球減少症などの重篤な副作用リスクを有しているものの、治療抵抗性統合失調症の重要な治療選択肢である。そして、クロザピンのモニタリングシステムは、無顆粒球症の発生率や死亡率の低下に貢献している。しかし、COVID-19のパンデミックは、このモニタリングシステムに影響を及ぼしている。マレーシア・ケバングサン大学のFitri Fareez Ramli氏らは、COVID-19に感染したクロザピン治療患者における好中球の変化に関する現在のエビデンスより、各症例における、絶対好中球数(ANC)レベル、正常、低下、上昇に関する情報を収集し、評価を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2021年10月27日号の報告。

 主な結果は以下のとおり。

・無顆粒球症の報告は認められなかった。
・中等度~重度のANCレベルであった1例については、クロザピン治療期間が18週であった。
・最初の症例集積の累積分析では、決定的な結果は報告されなかった。
・サンプルサイズの大きな最近の研究では、COVID-19感染によりANCレベルが有意に低下することが報告されている。しかし、ベースライン時と感染後のANCレベルに有意な差が認められないため、この影響は一時的なものであると考えられる。

 著者らは「COVID-19は、ANCレベルの一時的な低下を引き起こす可能性が示唆された。本結果は、クロザピンモニタリングの頻度を減らすことをサポートするものであった」としながらも「研究デザイン、サンプルサイズ、統計分析などの制限を考慮すると、この結果を明らかにするためには、さらなるデータが必要とされる」としている。

(鷹野 敦夫)