日本人うつ病就労者における職場での主観的事例の性差

提供元:ケアネット

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公開日:2021/01/06

 

 日本におけるうつ病患者数は、増加を続けている。うつ病による経済的影響には、アブセンティズム(欠勤や遅刻、早退など)とプレゼンティズム(心身の問題によるパフォーマンスの低下)の両方を介した生産性の低下がある。また、うつ病の有病率、発症経緯、自覚症状には、男女間で差があるといわれている。大阪市立大学の仁木 晃大氏らは、日本人うつ病就労者が、職場における問題をどのように認識しているかを調査し、うつ病の初期段階における職場での主観的な機能レベルの性差について検討を行った。Occupational Medicine誌オンライン版2020年11月28日号の報告。

 日本人うつ病就労者を対象に、横断的研究を実施した。対象者の職場における主観的な機能レベルの変化は、初回診断後に調査した。対象者が最初に感じた機能レベルの変化に対する性別の影響は、カイ二乗検定および残差分析を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査対象者は、147人であった。
・男性では、女性と比較し、仕事の効率が低下したと報告する割合が有意に高かった。
・女性では、男性と比較し、同僚や上司との人間関係の問題を報告する割合が有意に高かった。

 著者らは「男性では仕事の効率低下、女性では社内での人間関係の問題に注意することが、メンタルヘルスのセルフケアにおいて重要な要素であることが示唆された。管理職に携わる人は、従業員の機能レベルに注意し、適切な社会的支援を提供する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)