職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/07/14 「職場ストレイン」は、職場での高い仕事の要求度と低いコントロールの組み合わせで表される。その職場ストレインにより特徴付けられる、心理社会学的に好ましくない職場環境は、従業員の抑うつ症状リスクの上昇と関連しているが、臨床的にうつ病と診断されたエビデンスは少ない。デンマーク・National Research Centre for the Working EnvironmentのI. E. H. Madsen氏らは、職場ストレインと臨床的なうつ病のリスク因子との関連を検討した。Psychological medicine誌2017年6月号の報告。 PubMed、PsycNETよりシステマティックに文献を検索し、公表されているコホート研究を特定した。また、IPD-Work(Individual-Participant-Data Meta-analysis in Working Populations)コンソーシアムより、未公表の個々レベルのデータを用いた14のコホート研究を抽出した。関連のサマリ推定値は、ランダム効果モデルを用いて算出した。個々レベルのデータ分析は、事前に公表された研究プロトコルに基づいて行った。 主な結果は以下のとおり。 ・公表済みの6つのコホート研究より、合計2万7,461例の対象と臨床的なうつ病患者914例が抽出された。 ・未公表のデータセットより、12万221例の対象と病院で治療されたファーストエピソードの臨床的なうつ病患者982例が抽出された。 ・公表(RR:1.77、95%CI:1.47~2.13)および未公表(RR:1.27、95%CI:1.04~1.55)のデータセット両方において、職場ストレインが臨床的なうつ病のリスク上昇と関連していた。 ・個々の対象の分析では、社会人口学的サブグループおよびベースライン時の身体疾患を有する対象を除外した後、同様の関連が認められた。 ・ベースライン時に抑うつ症状を有していた場合には、この関連に変化は認められなかったが、連続的な抑うつ症状スコアで調整すると減弱した。 著者らは「職場ストレインは、従業員の臨床的なうつ病を引き起こす可能性がある。職場ストレインがうつ病の修正可能なリスク因子であるかについて、将来の介入研究で検証する必要がある」としている。 ■関連記事 たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大 職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Madsen IEH, et al. Psychol Med. 2017;47:1342-1356. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 手術低~中等度リスク重症大動脈弁狭窄症、TAVI vs.SAVRの1年成績/NEJM(2024/04/26) 狭小弁輪を伴う大動脈弁狭窄症へのTAVR、自己拡張型弁vs.バルーン拡張型弁/NEJM(2024/04/26) 若年乳がんサバイバーにおける2次原発性乳がんのリスク因子/JAMA Oncol(2024/04/26) アレクチニブによるALK陽性肺がん術後補助療法をFDAが承認/中外(2024/04/26) うつ病の第2選択治療、機械学習で最適化できるか(2024/04/26) テレビや動画の視聴時間の長さは夜間頻尿リスクに関連(2024/04/26) ChatGPTは医師の10倍の速さで事務作業をこなす(2024/04/26) 1型糖尿病患者の血糖変動の認知機能への影響(2024/04/26) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)