日本の実臨床におけるアリピプラゾール長時間作用型注射剤による統合失調症治療

提供元:ケアネット

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公開日:2020/07/03

 

 統合失調症患者のマネジメントでは、抗精神病薬治療の継続が重要である。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、日本の実臨床においてアリピプラゾール長時間作用型注射剤(アリピプラゾール月1回製剤、AOM)がアリピプラゾール経口剤(OA)と比較し、より長期間の治療継続に寄与できるかを評価するため、JMDCのレセプトデータベースを用いて検討を行った。Advances in Therapy誌オンライン版2020年6月4日号の報告。

 2015年5月~2017年11月にAOMまたはOAで治療を開始した統合失調症患者を対象に、データ分析を行った。年齢、性別、抗精神病薬のクロルプロマジン換算量、精神科への入院回数で調整した後、AOMとOAの治療中止のハザード比(HR)を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・分析対象患者数は、AOM群198例(平均年齢:38.4±11.9歳)、OA群1,240例(平均年齢:39.3±12.4歳)であった。
・AOM群は、OA群と比較し、治療中止の可能性が有意に低かった(調整HR:0.54、95%CI:0.43~0.68)。
・忍容性を有するOA群(983例)とすべてのAOM群を比較した場合、AOM群の治療中止の可能性は有意に低下した(調整HR:0.67、95%CI:0.53~0.86)。

 著者らは「日本の実臨床における統合失調症患者へのAOMの使用は、より長期間の抗精神病薬による治療継続に寄与する可能性がある」としている。

(鷹野 敦夫)