最適な抗うつ薬投与量~システマティックレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2020/02/17

 

 固定用量で行われる抗うつ薬の試験では、承認された用量の中でも低用量で有効性と忍容性の最適なバランスが実現されている。副作用が許容される範囲内での抗うつ薬の増量がベネフィットをもたらすかについて、京都大学の古川 壽亮氏らが検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年12月31日号の報告。

 急性期うつ病治療に対するSSRI、ベンラファキシン、ミルタザピンを検討したプラセボ対照ランダム化試験をシステマティックにレビューした。主要アウトカムは治療反応とし、うつ病重症度の50%以上減少と定義した。副次アウトカムは、有害事象による脱落および何らかの理由による脱落とした。抗うつ薬の承認最小用量を超える漸増をプラセボと比較した試験および固定用量とプラセボを比較した試験におけるオッズ比(ROR)を算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・公開および未公開のランダム化比較試験123件(2万9,420例)を解析した。
・抗うつ薬の漸増に、固定低用量を超える有効性は認められなかった。
 ●SSRI(ROR:0.96、95%CI:0.73~1.25)
 ●ベンラファキシン(ROR:1.24、95%CI:0.96~1.60)
 ●ミルタザピン(ROR:0.77、95%CI:0.33~1.78)
・ベンラファキシンの75mg固定用量と比較し、75~150mgの漸増において優れた有効性が認められたが(ROR:1.30、95%CI:1.02~1.65)、それ以外では、忍容性またはサブグループ解析において、重要な差は認められなかった。

 著者らは「有効性、忍容性や受容性の観点から、SSRIまたはミルタザピンの承認最小用量を超えた漸増の効果は認められなかった。ただし、ベンラファキシンでは、最大150mgまで増量することで効果が期待できることが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)