軽度認知障害や認知症を診断するためのACE-III日本語版のスクリーニング精度

提供元:ケアネット

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公開日:2019/05/28

 

 軽度認知障害(MCI)や認知症の早期発見は、適切な治療の迅速な開始と、疾患の悪化を防ぐために、非常に重要である。岡山大学の竹之下 慎太郎氏らは、MCIおよび認知症を診断するためのAddenbrooke's Cognitive Examination III(ACE-III)日本語版のスクリーニング精度について調査を行った。BMC Geriatrics誌2019年4月29日号の報告。

 オリジナルのACE-IIIを翻訳して作成したACE-III日本語版を、日本人の集団に使用した。認知機能を評価するため、改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)およびミニメンタルステート検査(MMSE)を用いた。総対象者は389例(認知症:178例、MCI:137例、対照群:73例)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・検出のための最適なACE-IIIのカットオフ値は、MCIで88/89(感度:0.77、特異性:0.92)、認知症で75/76(感度:0.82、特異性:0.90)であった。
・ACE-IIIは、MCIまたは認知症の検出において、HDS-RおよびMMSEよりも優れていた。
・ACE-IIIの内的整合性、再テスト信頼性、評価者間信頼性は優れていた。

 著者らは「ACE-IIIは、MCIや認知症を検出するために有用な認知テストである。ACE-IIIは、臨床診断において、広く役立つと考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)