治療抵抗性統合失調症患者に対する集中的ECTのパイロット研究

提供元:ケアネット

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公開日:2018/12/13

 

 薬物治療が奏効しない治療抵抗性統合失調症(TRS)患者に対し、電気けいれん療法(ECT)の追加療法がしばしば行われる。イラン・Kermanshah University of Medical SciencesのOmran Davarinejad氏らは、TRS患者に対する8日間毎日の集中的ECTが、短期的(治療終了4週間後)および中期的(治療終了12週間後)に精神症状をどの程度改善できるかについて、検討を行った。Neuropsychobiology誌オンライン版2018年11月21日号の報告。

 対象は、DSM-5の基準に基づくTRS患者14例。ECTは、8日間連続して毎日実施された。ベースライン時、治療終了時、治療終了4週間後、治療終了12週間後において、トレーニングを受けた精神科医が、疾患重症度(陽性症状、陰性症状、精神病理)および認知機能の評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・精神症状(陽性症状、陰性症状、精神病理)は、ベースライン時から治療終了時および治療終了4週間後まで改善した。
・治療終了12週間後には、精神症状が再び増加した。
・認知機能は、ベースライン時から治療終了時および治療終了4週間後まで減少した。
・しかし、治療終了12週間後には、認知機能は、ベースライン時のレベルまで戻っていた。

 著者らは「TRS患者に対する集中的ECTは、短期的および中期的に精神症状を改善させた。治療終了4週間後から12週間後にかけての精神症状増加は、ECT追加セッションのベネフィットを示唆している」としている。

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(鷹野 敦夫)