ロルラチニブのALK陽性肺がん1次治療、7年後もPFS中央値に到達せず(CROWN)/ASCO2026

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/06/11

 

 ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)における1次治療で、ロルラチニブは7年後も無増悪生存期間(PFS)中央値に到達せず、7年PFS割合は50%を超えた。

 進行ALK陽性NSCLCの1次治療としてロルラチニブとクリゾチニブを比較した第III相CROWN試験の7年フォローアップの結果をTony S. K. Mok氏(中国・香港中文大学)が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究結果はAnnals of Oncology誌に同時掲載されている。

 2024年の5年追跡ではロルラチニブ群のPFS中央値は未到達、5年PFS割合は60%であった(ハザード比[HR]:0.19、95%信頼区間[CI]:0.13~0.27)。

・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験
・対象:未治療のStageIIIB/IVのALK融合遺伝子陽性NSCLC患者(無症状の中枢神経系[CNS]転移は許容)
・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)
・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS
[副次評価項目]全生存期間(OS)、治験担当医師評価によるPFS、奏効割合、頭蓋内奏効割合、奏効期間、頭蓋内奏効期間、頭蓋内病変進行までの期間、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・ロルラチニブ群の追跡期間中央値は83.0ヵ月、クリゾチニブ群は77.2ヵ月であった。
・ロルラチニブ群のPFS中央値は未到達、クリゾチニブ群は9.1ヵ月で、7年PFS割合はロルラチニブ群55%、クリゾチニブ群は3%であった(HR:0.19、95%CI:0.13~0.26)。
・疾患進行の多くは最初の2年間に発生しており、ベースラインと2年PFS割合の差は30%、2年と7年PFS割合の差は15%であった(2年時70%、7年時55%)。
・投与開始から2年間PFSイベントがなかった患者に絞った7年PFS割合は79%で、全体評価よりも良好であった。
・CNS転移の7年PFS(IC-PFS)割合はロルラチニブ群92%、クリゾチニブ群16%であった(HR:0.06、95%CI:0.03~0.12)。
・ベースラインでCNS転移がなかった患者におけるロルラチニブ群の7年IC-PFS割合は96%と全体集団よりもさらに良好であった(HR:0.04、95%CI:0.02~0.12)。
・有害事象は高脂血症、浮腫、体重増加、認知機能障害など既知のもので、最も多いのは高脂血症であった。
・ロルラチニブ群では34%の患者が減量を行った。減量時期の中央値は25週であった。
・26週間以内に減量した群と減量しなかった群を比較してもPFS、IC-PFSとも差は認められなかった(PFS中央値、IC-PFS中央値とも両群未到達)。
・早期進行患者と長期奏効患者のベースラインctDNAを比べたところ、早期進行患者では異常遺伝子が多く(10 vs.6)、腫瘍変異負荷も高かった(7.7 vs.5.1)。TP53変異は早期進行患者では50%、長期奏効患者では17%に確認された。

 この発表について会場から多くの質問が寄せられている。その中から、OSが示されていないことについては、イベント数が中間解析の評価に必要な数に達していないためであるとMok氏は回答した(評価に必要なイベント数139例に対し、評価時のイベントは123例)。ctDNAによる遺伝子検査の可能性については、現状は一部の患者だが今後さらに遺伝学的情報を調べていく旨を示している。

 今回の7年追跡結果から、ロルラチニブによる単剤治療は、進行ALK陽性NSCLCを慢性疾患に変化させる可能性がある、とMok氏は結んだ。

(ケアネット)