セロトニン症候群を起こしやすい薬剤は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/09/14 フランス・トゥールーズ大学のDelphine Abadie氏らは、同国の市販後調査報告データベースに報告登録された症例よりセロトニン症候群の特徴を解析した。その結果、抗うつ薬とトラマドールによる発現頻度が高いだけでなく、薬物相互作用(DDI、薬力学的および薬物動態学的の両方)の重要性、さらに標準用量でのセロトニン作動薬単剤でさえもセロトニン症候群リスクが有意であることが示された。本検討は、セロトニン症候群に関する大規模な市販後調査データベースを基にした、英語で発表された初の検討となる。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年8月号の掲載報告。 研究グループは、1985年1月1日~2013年5月27日のフランス市販後調査データベースで登録されたセロトニン症候群を後ろ向きに分析した。分析には、Sternbach、RadomskiまたはHunter SSの診断基準を満たした臨床的症状を呈した症例のみを組み込んだ。 主な結果は以下のとおり。 ・分析症例の大半(125例、84%)で、セロトニン作動薬の最近の変化(導入、用量増大または過剰摂取)が関与していた。 ・最も発現頻度が高いセロトニン作動薬は、抗うつ薬であった。その大半がセロトニン再取り込み薬阻害薬(SRI、42.1%)で、そのほかのセロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(9.1%、主にvenlafaxine)、三環系抗うつ薬(8.6%、主にクロミプラミン)、いくつかのモノアミン酸化酵素阻害薬(6.2%、主にmoclobemide)の関与はわずかであった。 ・非向精神薬の投与、概してオピオイド(14.8%、主にトラマドール)の関与も認められた。 ・大部分の症例(59.2%)は、薬力学的DDIから生じており、多くの場合SRI+オピオイド(大部分がパロキセチン+トラマドール)によるものであった。 ・一方で、セロトニン作動薬単剤でのセロトニン症候群の発現も顕著であった(40.8%)。その大半が標準用量のSRI(主にfluoxetine)またはvenlafaxineでの発現であった。 ・症例の5分の1(20.8%)で、重大な薬物動態学的DDIの関与が確認された。 関連医療ニュース セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学 SSRI依存による悪影響を検証 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Abadie D, et al. J Clin Psychopharmacol. 2015;35:382-388. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 venlafaxineは、うつ病患者の心臓突然死リスクを増大させない ジャーナル四天王(2010/02/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ジャガイモ、調理法によって糖尿病リスクに違い /BMJ(2025/08/15) 妊娠中のST合剤予防投与、出生アウトカムを改善せず/NEJM(2025/08/15) 再発/難治性の多発性⾻髄腫治療薬トアルクエタマブを発売/J&J(2025/08/15) 進展型小細胞肺がんへの免疫化学療法、日本の実臨床データ(2025/08/15) 母親の産前、産後うつ病と子供の自閉スペクトラム症との関係〜メタ解析(2025/08/15) 腰痛の重症度に意外な因子が関連~日本人データ(2025/08/15) 救急診療所では不適切な処方が珍しくない(2025/08/15) 糖尿病女性の診察では毎回、妊娠希望の意思確認を(2025/08/15) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)