日本語でわかる最新の海外医学論文|page:12

緑茶摂取量が多い日本人は認知症リスクが低下

 緑茶は、コーヒーと同様、認知症を予防する可能性が示唆されているが、それを裏付けるエビデンスは不十分である。新潟大学のRikuto Kaise氏らは、日本人中高年における緑茶摂取と認知症リスクとの独立した関連性および緑茶とコーヒー摂取の相互作用を明らかにするため、12年間のコホート研究を実施した。The Journal of Nutrition誌オンライン版2025年6月24日号の報告。  同研究は、加齢性疾患に関する村上コホート研究の12年間フォローアップ調査として実施した。対象は、地域在住の40〜74歳の日本人1万3,660人(男性:6,573人[48.1%]、平均年齢:59.0±9.3歳)。ベースライン調査は、2011〜13年に行った。自己記入式質問票を用いて、性別、年齢、婚姻状況、教育、職業、体格、身体活動、喫煙、アルコール摂取、紅茶・コーヒーの摂取、エネルギー摂取量、病歴などの予測因子と関連する情報を収集した。緑茶摂取量は、検証済み質問票を用いて定量的に測定した。認知症発症は、介護保険データベースを用いて特定した。

ダイエット飲料より水の方が血糖・体重管理に有利

 体重を減らして血糖コントロールを良好にしたいなら、ダイエット飲料ではなく、水を飲むべきかもしれない。米国糖尿病学会学術集会(ADA2025、6月20~23日、シカゴ)で発表された小規模な研究の結果であり、水を飲むように割り当てられた女性はダイエット飲料を飲むように割り当てられた女性よりも、体重が大きく減り、糖尿病が寛解した患者も多かったという。主任研究者であり、糖尿病治療サポートツールなどを手掛けるD2Type Health社のCEOであるHamid Farshchi氏は、「われわれの研究結果は、ダイエット飲料は体重や血糖値の管理に悪影響を及ぼさないとする、これまでの米国での一般的な考え方に疑問を投げかけるものだ」と述べている。

妊婦の有害転帰、心血管の健康と社会的孤立が複合的に影響か

 有害な妊娠転帰(APO)は妊婦の約20%に発生し、その発生率は年々増加傾向にある。今回、妊娠中の心血管健康(CVH)はAPOに影響を及ぼす、とする研究結果が報告された。研究は東北大学大学院医学系研究科の大瀬戸恒志氏、石黒真美氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に5月29日掲載された。  APOは、妊娠中や分娩中、または産褥期に起こる好ましくない事象や合併症のことを指す。APOの病態は心血管疾患(CVD)との類似性が指摘されており、将来のCVD発症を予測することから「妊娠はストレステスト」とも表現される。そのため、CVDに対する予防策がAPOの発症予防にも有効かどうかの注目が高まっている。2022年、米国心臓協会はCVHを評価するための指標「Life’s Essential 8(LE8)」を提案した。LE8はCVDの予防のため、危険因子を管理し、人々の健康向上に寄与すると期待される。しかし、LE8を使用した包括的なCVH評価が出生前のケアで有益かどうかは依然として不明である。また、CVHの低さは抑うつ症状や社会的孤立と関連することが報告されている。しかし、これまでの研究では、精神的健康や社会的決定要因がCVHとAPOとの関係にどのような影響を与えるかは十分に検討されていない。このような背景から、著者らは日本人妊婦を対象に、LE8を用いて評価したCVHがAPOに及ぼす影響を評価する前向きコホート研究を実施した。さらに、心理的ストレス、社会的孤立、および収入における影響が加わることで生じる変化についても検討した。

ふくらはぎが細くなったら筋量減少のサインかも?

 骨格筋量の減少は中年期から始まり、加齢とともに進行する。筋量の低下は、高齢者における転倒やさまざまな疾患の発症リスクにつながるため、早期の発見と予防が重要である。今回、ふくらはぎ周囲長の変化で筋量の変化を簡易評価できるとする研究結果が報告された。年齢や肥満の有無にかかわらず、ふくらはぎ周囲長の変化は筋量の変化と正の相関を示したという。研究は公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所の川上諒子氏、早稲田大学スポーツ科学学術院の谷澤薫平氏らによるもので、詳細は「Clinical Nutrition ESPEN」に5月29日掲載された。  ふくらはぎ周囲長は高齢者の栄養状態や骨格筋量の簡便な指標とされているが、その変化と筋量変化との関連を直接検討した縦断研究は存在しない。そこで著者らは、日本人成人を対象に、2回のコホート研究のデータを用いて両者の関連を検証する縦断研究を行った。

救急診療部のHCVスクリーニング、最適な方法とは/JAMA

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染者の特定は公衆衛生上の優先課題であり、救急診療部(ED)は通常、他の医療施設を受診しないリスクの高い患者を多く受け入れるため、スクリーニングの重点領域となっている。しかし、EDにおけるHCVスクリーニングの最適な方法は明らかでないという。米国・Denver HealthのJason Haukoos氏らDETECT Hep C Screening Trial Investigatorsは「DETECT Hep C Screening試験」において、対象者選択的スクリーニング(targeted screening:TS)と比較して対象者非選択的スクリーニング(nontargeted screening:NTS)は、新規HCV患者の検出に優れるものの、診断から治療完了に至った患者は少数であることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年7月9日号に掲載された。

血栓溶解療法後の早期tirofiban、脳梗塞の予後を改善/NEJM

 軽症~中等症の非心原性脳梗塞患者で、血栓回収療法が適応とならず、発症後4.5時間以内に静注血栓溶解療法を受けた患者において、その後1時間以内にプラセボを投与した群と比較して血小板糖蛋白IIb/IIIa受容体拮抗薬tirofiban投与群は、36時間以内の症候性頭蓋内出血のリスクがわずかに増加したものの、90日後の修正Rankinスケールで評価した機能的アウトカムが有意に改善されたことが、中国科学技術大学のChunrong Tao氏らASSET-IT Investigatorsが実施した「ASSET-IT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年7月4日号で報告された。

高齢者への不眠症治療、BZD使用で睡眠の質が低下

 高齢者の不眠症治療は、ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)およびベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZRA)の頻繁な使用と関連しており、慢性的な使用により睡眠調節や認知機能に悪影響を及ぼすことが報告されている。しかし、高齢者の記憶において、きわめて重要であるNREM低周波波動(SO)および紡錘波に対するBZD/BZRAの影響については、ほとんどわかっていない。カナダ・Concordia UniversityのLoic Barbaux氏らは、BZD/BZRAの慢性的な使用が、睡眠メカニズム、脳波の相対的パワー、SOおよび紡錘波の特性、結合に及ぼす影響について調査した。Sleep誌オンライン版2025年6月17日号の報告。  高齢被験者101例(年齢:66.05±5.84歳、年齢範囲:55〜80歳、女性の割合:73%)を対象に、習慣化ポリソムノグラフィー(PSG)後2夜目のデータを解析し、睡眠良好群(28例)、不眠症群(26例)、BZD/BZRA慢性使用不眠症群(47例、ジアゼパム換算6.1±3.8mg/回、週3夜超)の3群に分類した。睡眠構造、脳波(EEG)相対スペクトル、関連する脳波活動について、SOおよび紡錘波、そしてそれらの時間的結合に焦点を当て、包括的に比較した。

ER+/HER2-進行乳がんへのimlunestrant、日本人サブグループ解析結果(EMBER-3)/日本乳癌学会

 アロマターゼ阻害薬単剤またはCDK4/6阻害薬との併用による治療中もしくは治療後に病勢進行が認められた、ESR1変異陽性のエストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性(ER+/HER2-)進行乳がん患者において、経口選択的ER分解薬(SERD)imlunestrant単剤療法が、標準内分泌療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが第III相EMBER-3試験の結果として報告されている。今回、同試験の日本人サブグループ解析結果を、千葉県がんセンターの中村 力也氏が第33回日本乳癌学会学術総会で発表した。

重症アナフィラキシー、最もリスクの高い食品は?

 食物誘発性アナフィラキシーの症例 2,600 件以上を調査した研究において、喘息の病歴がある場合やピーナッツが誘因となった場合、アナフィラキシーの重症度がより高くなると予測されることが判明したという。ルーベ病院センター(フランス)のGuillaume Pouessel氏らによる本研究結果は、Clinical and experimental allergy誌オンライン版2025年5月29日号に掲載された。  研究者らは、「フランス語圏アレルギー警戒ネットワーク(Allergy-Vigilance Network)」で2002~2021年に記録された食物アナフィラキシー症例を後ろ向きに解析し、Ring–Messmer分類による致命的な症例(Grade4)を重篤な症例(Grade3)と比較し、重症度が高いことに関連するリスク要因を特定した。

推奨通りの脂質低下療法で何万もの脳卒中や心筋梗塞を回避可能か

 スタチンなどの脂質低下薬の使用が推奨される米国の患者数と実際にそれを使用している患者数との間には大きなギャップがあり、毎年何万人もの人が、脂質低下薬を服用していれば発症せずに済んだ可能性のある心筋梗塞や脳卒中を発症していることが、新たな研究で明らかにされた。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院疫学教授のCaleb Alexander氏らによるこの研究結果は、「Journal of General Internal Medicine」に6月30日掲載された。  Alexander氏らは、まず、米国国民健康栄養調査(NHANES)に2013年から2020年にかけて参加した40〜75歳までの米国成人4,980人のデータを解析した。このサンプルは、同じ年齢層の米国成人約1億3100万人を代表するように統計学的に重み付けされた。解析では、米国およびヨーロッパの脂質低下療法(LLT)に関する薬物治療ガイドラインが完全に実施された場合に、治療状況やアウトカムがどの程度改善されるかが予測された。解析は、米国心臓協会(AHA)/米国心臓病学会(ACC)ガイドライン(2018年米国ガイドライン)、欧州心臓病学会(ESC)/欧州動脈硬化学会(EAS)ガイドライン(2019年EUガイドライン)、LDLコレステロール(LDL-C)低下のための非スタチン療法の役割に関するACC専門家決定方針(2022年米国決定方針)の3種類に基づいて行われた。

AI支援で脳画像を用いた認知症タイプの診断精度が向上

 新たに開発されたAIツールが、患者が罹患している認知症タイプの特定に役立つ可能性のあることが明らかになった。この「StateViewer」と呼ばれるAIツールにより、認知症を含む9種類の神経変性疾患症例の89%において疾患を特定できたという。米メイヨー・クリニック神経学人工知能プログラムのディレクターであるDavid Jones氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に6月27日掲載された。  研究グループによると、このツールは、患者が認知障害の一因となっている可能性のある病状を抱えている場合でも、医師が認知症を早期かつ正確に特定するのに役立つ可能性があるという。Jones氏は、「私のクリニックを訪れる全ての患者は、脳という複雑な器官によって形作られたそれぞれに異なる物語を抱えている。私を神経学へと導いたのはその複雑さであり、今もそれが、より明確な答えを求める私の原動力となっている」と話す。その上で同氏は、StateViewerは同氏の情熱の表れであり、「神経変性疾患のより早期の理解と適切な治療に加え、将来的にはこれらの疾患の経過を変えるための1歩につながる」と述べている。

急性期脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動脈内投与の有効性、安全性は?/JAMA

 主幹動脈閉塞(LVO)を伴う急性期脳梗塞を呈し、最終健常確認時刻から4.5~24時間以内に血管内血栓除去術(EVT)を受け再灌流を達成した患者に対するtenecteplase動脈内投与は、症候性頭蓋内出血(sICH)または死亡のリスクを増加させることなく、90日時点の神経学的アウトカムが良好となる可能性が高いことが示された。中国・Capital Medical UniversityのZhongrong Miao氏らANGEL-TNK Investigatorsが前向き非盲検エンドポイント盲検無作為化試験の結果を報告した。ただし、有効性の副次解析では主要解析の所見を裏付けることができなかった。そのため著者は、「さらなる試験を行い、結果を検証する必要がある」とまとめている。LVOを伴いEVTが奏効した急性期脳梗塞患者に対するtenecteplase動脈内投与の有効性・安全性は明らかになっていない。JAMA誌オンライン版2025年7月5日号掲載の報告。

中絶禁止措置による出生率への影響は格差拡大につながる(解説:前田裕斗氏)

本研究は2021年9月1日から2022年8月25日までの間に中絶禁止措置を導入した14州において、出生率がどの程度変化したか、またどのような層が影響を強く受けたかについて検討したものである。疫学的に精巧な手法を用いており、詳しい説明は省くがごく簡単に言えば、対象とならなかった州の出生率のデータなどを用いて、各サブグループごとの出生率をモデル予測し、実際の観測値との差を取ることで中絶禁止措置の出生率に対する効果を見ている。これは地域ごとの時間による出生率の変動を考慮するためだ。

高所得のアジア太平洋地域の男性片頭痛、女性とは対照的に増加傾向

 片頭痛は有病率の高い神経疾患であり、年齢や性別を問わず生活の質に大きな影響を及ぼす疾患である。さまざまな人口統計学的グループでの影響が報告されているが、既存の研究は主に一般集団、女性、青少年に焦点が当てられており、男性が経験する片頭痛負担については、十分に調査されていなかった。中国・同済大学のHaonan Zhao氏らは、男性における30年にわたる片頭痛の影響に関する知見を明らかにするため、1990〜2021年の世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors study:GBD)のデータを用いて、10〜59歳の男性片頭痛の世界的な有病率、発症率、障害調整生存年(DALY)を評価した。Frontiers in Neurology誌2025年6月6日号の報告。

わが国の乳房部分切除術後の長期予後と局所再発のリスク因子~約9千例の後ろ向き研究/日本乳癌学会

 近年の乳がん治療の進歩によって、乳房部分切除術後の局所再発率と生存率が変化していることが推測される。また、乳房部分切除術の手技は国や解剖学的な違いによって異なり、国や人種の違いが局所再発リスクのパターンに影響する可能性がある。今回、聖路加国際病院の喜多 久美子氏らは、日本のリアルワールドデータを用いた多施設共同コホート研究で、近年の日本における乳房部分切除術後の局所再発率と予後、局所再発のリスク因子を検討し、第33回日本乳癌学会学術総会で報告した。本研究より、発症時若年、腫瘍径2cm以上、高Ki-67、脈管侵襲、術後療法や放射線療法を受けていないことが局所再発のリスク因子であり、術後療法はすべてのサブタイプで局所再発リスク低減に寄与することが示唆されたという。

医師にも経営能力とリーダーシップが不可欠な時代のソリューション

 医療機関の経営環境が厳しさを増すなか、医師にも経営能力が求められている。順天堂大学の猪俣 武範氏は、眼科の臨床・研究の傍ら病院管理学研究室の准教授も務める。米国でMBAを取得し順天堂医院の経営にも携わる猪俣氏が提案する、多忙な医師が効率的に経営能力を身に付けるための解決策とは?  今、わが国の病院経営は危機的な状況にあります。診療報酬は抑制される一方、慢性的な人手不足で医療現場は疲弊し、病院の6割は赤字だと報じられています。医師も経営をしっかり学ばなければならない時代になったといえるでしょう。

13年ぶり改定「尋常性白斑診療ガイドライン第2版」、ポイントは

 2012年の初版発表以降13年ぶりに、「尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025」が公表された。治療アルゴリズムや光線療法の適応年齢の変更、2024年発売の自家培養表皮「ジャスミン」を用いた手術療法の適応の考え方などについて、ガイドライン策定委員会委員長を務めた大磯 直毅氏(近畿大学奈良病院皮膚科)に話を聞いた。  治療アルゴリズムの大きな変更点としては、疾患活動性を評価するための方法が明確になった点が挙げられる。尋常性白斑の疾患活動性に関連する臨床症状の評価および定量化のための方法として、2020年にVSAS(Vitiligo Signs of Activity Score)が発表された。

糖負荷後1時間血糖値は死亡予測マーカーになるか/東北大学

 将来起こりうる心疾患や悪性腫瘍を予防したいとは誰もが思う。これらを予測する生物学的マーカーについては、長年さまざまな研究が行われている。今回、この予測マーカーについて、東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝・内分泌内科学分野の佐藤 大樹氏らの研究グループは、岩手県花巻市大迫町の平均62歳の住民を対象に糖摂取後の血糖値と寿命の関係を調査した。その結果、ブドウ糖負荷後1時間血糖値(1-hrPG)が170mg/dL未満の群では、1-hrPG170mg/dL以上の群と比較して、心臓疾患などの死亡が少ないことが明らかになった。この研究結果は、PNAS NEXUS誌2025年6月2日号に掲載された。

コーヒー摂取量と便秘・下痢、IBDとの関連は?

 コーヒーは現在世界で最も広く消費されている飲料の1つであり、米国では成人の約64%が毎日コーヒーを飲み、1日当たり約5億1,700万杯のコーヒーが消費されているという。コーヒーに含まれるカフェインが消化器症状に与える影響は、世界中で継続的に議論されてきた。カフェイン摂取と排便習慣、および炎症性腸疾患(IBD)との関連性を調査した中国医学科学院(北京)のXiaoxian Yang氏らによる研究結果が、Journal of Multidisciplinary Healthcare誌2025年6月27日号に掲載された。  研究者らは、2005~10年の国民健康栄養調査(NHANES)のデータを利用し、カフェイン摂取量を導き出した。排便習慣(便秘・下痢)およびIBDはNHANESの自己報告データに基づいて定義された。ロジスティック回帰モデルを用いて、カフェイン摂取量と慢性便秘、慢性下痢、IBDとの関連を評価した。年齢、性別、人種、教育レベル、社会経済的地位、喫煙状況、飲酒状況、BMIなどの潜在的な交絡因子を調整した。

早期手術を受けなかったDCIS、同側浸潤性乳がんの8年累積発生率/BMJ

 診断後早期(6ヵ月以内)に手術を受けなかった非浸潤性乳管がん(DCIS)患者のコホートにおいて、同側乳房浸潤がんの8年累積発生率は8~14%の範囲であることが、米国・デューク大学医療センターのMarc D. Ryser氏らによる観察コホート研究の結果で示された。同国のDCISに対する現行ガイドラインのコンコーダントケア(concordant care、患者の意に即したケア)では、診断時に手術を行うことが義務付けられている。一方で、手術を受けなかった場合の長期予後については、ほとんど明らかになっていなかった。今回の検討では、将来の浸潤がんのリスクは、疾患(腫瘍)関連および患者関連の両方の因子と関連していたことも示され、著者は、「手術を受けなかったDCIS患者集団に対する、効果的なリスク層別化ツールと共同意思決定が不可欠である」とまとめている。BMJ誌2025年7月8日号掲載の報告。