わが国初の表皮水疱症の遺伝子治療薬への期待/Krystal Biotech

提供元:ケアネット

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公開日:2025/12/25

 

 Krystal Biotech Japanは、指定難病である栄養障害型表皮水疱症(DEB)の治療薬としてわが国では最初の遺伝子治療薬ベレマゲン ゲペルパベク(商品名:バイジュベック ゲル)が、適用承認・発売されたことに寄せ、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、表皮水疱症の病態、診療の解説や患者からの疾患での苦労や新しい治療薬への期待などが語られた。

皮膚の苦痛が続く表皮水疱症の病態

 「栄養障害型表皮水疱症と最新治療について」をテーマに夏賀 健 氏(北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室 准教授)が、本症の疾患概要と今回発売されたベレマゲン ゲペルパベクの臨床試験結果などを解説した。

 DEBは、7型コラーゲンの異常により、表皮に水疱やびらんが生じる疾患であり、顕性・潜性の2種類がある。

 症状として皮膚の水疱やびらんによる痛みや感染症があり、患者は毎日1~2時間おきに被覆材の交換が必要となり、QOLに重大な悪影響を及ぼす。皮膚症状が顕著であるが、確定診断では遺伝子検査が必要となる(保険適用)。

 わが国には数百例の患者が推定されるとともに、根治療法はなく、保険適用治療として自家培養表皮の移植だけとなっている。

 今回発売されるベレマゲン ゲペルパベクは、7型コラーゲン遺伝子治療薬であり、ヘルペスウイルスベクターを利用し表皮と真皮の接着を促す。皮膚の傷に週1回塗布することで、たんぱくを補充し、皮膚を修復する。

 ベレマゲン ゲペルパベクの海外第III相試験は、標的創傷の完全閉鎖を主要評価項目として、ベレマゲン ゲペルパベク群31例とプラセボ群31例で行われた。その結果、創傷の完全治癒率はベレマゲン ゲペルパベク群で67.4%、プラセボ群で21.6%だった。

 ベレマゲン ゲペルパベク群において、有害事象は58.1%(13/31例)、副作用は3.2%(1/31例)に発現した。有害事象は掻痒症、悪寒、発疹など、副作用は紅斑が報告された。

 これらの結果から夏賀氏は、ベレマゲン ゲペルパベクのDEBへのインパクトとして「患者の創傷が早く治り、痛み軽減、感染リスクの減少、そして、被覆材交換時間短縮につながる。患者のQOLの向上に役立つ治療薬となる」と期待を寄せた。

さらなる国の患者支援を望む

 次に患者の視点から「表皮水疱症と生きる困難と希望~在宅で使える遺伝子治療薬への期待~」をテーマに宮本 恵子 氏(表皮水疱症友の会 DebRA Japan 代表理事)が、患者の苦労や新薬への期待を語った。

 宮本氏自身も潜性栄養障害型表皮水疱症であり、毎日繰り返す水疱とびらんの処置で苦労をしている。症状が進むと指の癒着などが起こり、機能不全や生活障害を起こすこと、患者の8割が皮膚がんを発症して亡くなることなど、患者の現状を紹介した。

 そして、本症は、ほぼ医療者の間でも知られていない疾患であり、症状をフォローできる医師がいないことが課題であると指摘し、重要なことはわが国に数人しかいない専門医につなげることだと語った。また、わが国の診療の遅れについても触れ、患者は医療器材が毎月50万円近く必要だが満足な補助はされていないという。現在患者会には200人近く会員がおり、希少疾病治療薬の早期承認や訪問看護の条件にかなうように厚生労働省に要請している。その他、患者会では、海外団体との連携・協力や疾患の学習会の実施、市民向けの啓発活動もYouTubeなどで行っていることを説明した。

(ケアネット 稲川 進)