米国では食品医薬品局(FDA)がマンモグラフィ後の高濃度乳房の通知を全国的に義務付けており、オーストラリアなどでは乳がんスクリーニング時の高濃度乳房通知への移行が進められており、英国でも通知の導入が検討されているという。一方で、通知の影響は明らかになっておらず、スクリーニングレベルでの通知の有益性が、潜在的な有害性を上回るかどうかのエビデンスは不足しているとして、オーストラリア・シドニー大学のBrooke Nickel氏らは、通知された女性の心理社会的アウトカムおよび医療サービス利用の意向を多施設並行群間比較無作為化試験にて調べた。高濃度乳房を通知された女性は、不安や困惑が高まり、自身の乳房の健康状態に関する意思決定のための情報が十分ではないと感じており、かかりつけ医(GP)による指導を求めていることが明らかになったという。著者は、「高濃度乳房の通知を乳がんスクリーニングの一環とすることは、有害アウトカムとして、女性へのアドバイスにおけるGPのコンサルテーションの負荷を増やすことなどが考えられる」と述べている。BMJ誌2025年12月3日号掲載の報告。
通知なし群vs.通知あり2群(文書またはオンラインビデオで健康啓発)を比較
試験は、オーストラリアのクイーンズランド州にある13の乳がんスクリーニングプログラム(BreastScreen)施設にて、スクリーニングを受け、マンモグラフィで高濃度乳房(自動濃度測定でBreast Imaging Reporting and Data System[BI-RADS]のC[不均一高濃度]~D[きわめて高濃度])に分類された40歳以上の女性を対象に行われた。
被験者は、標準ケア(高濃度乳房の通知なし、対照群)、高濃度乳房の通知+健康リテラシーに関する要配慮情報の文書を提供(介入1群)、高濃度乳房の通知+健康リテラシーに関する要配慮情報をオンラインビデオで提供(介入2群)のいずれかに、均等に無作為に割り付けられた。
主要アウトカムは、スクリーニング後8週時点の心理的アウトカム(3つの尺度[不安、困惑、情報提供]で評価)および医療サービス利用の意向(乳房濃度に関するGPのコンサルテーション、追加検診)であった。
通知あり2群は不安・困惑が高まり、GPにアドバイスを求める意向が高い
2023年9月~2024年7月に、3,107人が無作為化され(対照群1,030人、介入1群1,003人、介入2群1,074人)、解析には2,401人(対照群802人、介入1群776人、介入2群823人)が含まれた(ベースラインの平均年齢57.4歳[SD 9.9])。
対照群と比較して、高濃度乳房の通知を受けた被験者女性は有意に不安が高まったこと(介入1群のオッズ比[OR]:1.30[95%信頼区間[CI]:1.08~1.57、p=0.005]、介入2群のOR:1.28[1.07~1.54、p=0.007])、困惑が高まったこと(同1.92[95%CI:1.58~2.33、p<0.001]、1.76[1.46~2.13、p<0.001])を報告した。また、スクリーニング結果についてGPに相談する意向(介入1群の相対リスク比:2.08[95%CI:1.59~2.73、p<0.001]、介入2群の相対リスク比:1.71[1.31~2.25、p<0.001])およびスクリーニングに関する補足的なアドバイスをGPに求める意向(同2.61[1.80~3.79、p<0.001]、2.29[1.58~3.33、p<0.001])が有意に高かった。
一方で、ほとんどの被験者女性は、追加検診を受ける意向がなかった(対照群91.3%、介入1群78.9%、介入2群81.4%)。
また、通知を受けた被験者女性は対照群と比較して、情報が十分ではないと感じていた(介入1群のOR:0.83[95%CI:0.68~1.01、p=0.059]、介入2群のOR:0.80[0.66~0.97、p=0.022])。
(ケアネット)