日本語でわかる最新の海外医学論文|page:833

うつ病+認知障害への有効な治療介入は

 うつ病と認知障害を有する高齢者に対しては、抗うつ薬の効果は限定的である。また、心理社会的介入の効果はこれまで十分に検討されていなかった。このような患者に対し、問題適応療法(problem adaptation therapy:PATH)が、認知障害支持療法(ST-CI)よりも、病状の低減に有効であることが、米国・ウェイル・コーネル・メディカル大学のDimitris N. Kiosses氏らによる無作為化試験の結果、報告された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。

非閉塞性CADでも1年MI・死亡リスク高い/JAMA

 非閉塞性冠動脈疾患(CAD)患者は、明らかな病変を認めない不顕性CAD群と比べて、1年心筋梗塞(MI)リスクや全死因死亡リスクが有意に高く、そのリスクは病変血管数が多いほど増大することが判明した。米国・デンバー退役軍人医療センターのThomas M. Maddox氏らが、過去5年に待機的冠動脈造影検査を受けた3万7,674例について後ろ向き分析を行い報告した。非閉塞性CAD患者は、同検査を受けた10~25%で認められると報告されているが、これまでその有害アウトカムに対するリスクについてはほとんどわかっていなかった。著者は、「今回の所見は非閉塞性CADの臨床的重大性を示すものであり、同患者のアウトカム改善介入についてさらなる検討の実施を裏づけるものであった」とまとめている。JAMA誌2014年11月5日号掲載の報告。

RA系阻害薬使用中の高齢者への抗菌薬ST合剤使用で突然死!(解説:浦 信行 氏)-277

RA系阻害薬は、RA系を阻害することによるアルドステロン低下が高K血症を引き起こすことはよく知られた事実であり、致死性の不整脈を惹起することを念頭に置いた使用が望まれる。ST合剤(トリメトプリム。スルファメトキサゾール合剤)はわが国ではバクタ、バクトラミン、セプテリンの商品名で市販されており、それなりに汎用されている薬剤である。このたび、カナダのFralick氏らは、RA系阻害薬使用中の高齢者への、抗菌薬であるST合剤の使用が突然死のリスクを上げることをBMJ誌に報告した。

抗てんかん薬、ペットのてんかんにも有効か

 イヌの特発性てんかん(IE)の治療には、さまざまな抗てんかん薬(AED)が使用されているが、それらの臨床的有効性に関する情報は限定的なものであった。英国ロンドン大学ロイヤル・ベタリナリー・カレッジのMarios Charalambous氏らは、従来エビデンスの評価を行うことを目的に、イヌのてんかん治療について系統的レビューを行った。BMC Veterinary Research誌2014年10月号の掲載報告。

コーヒーをよく飲む糖尿病者はうつが少ない

 糖尿病患者では、非糖尿病者よりもうつ病の頻度が高いとの報告がある。うつ病と糖尿病には因果関係や双方向の関連性がみられるが、これまで糖尿病患者の食品摂取頻度が抑うつ症状に及ぼす影響について、十分に検討されていなかった。長崎県立大学の大曲 勝久氏らは、糖尿病患者における食品摂取頻度を調査し、コーヒー摂取が非抑うつ状態の独立した予測因子であることを明らかにした。Journal of clinical biochemistry and nutrition誌2014年9月号(オンライン版7月31日号)の掲載報告。

抗CTLA-4抗体+GM-CSF、転移性悪性黒色腫に有効/JAMA

 転移性悪性黒色腫の治療において、イピリムマブ(承認申請中)+サルグラモスチム(sargramostim、国内未承認)併用療法は、イピリムマブ単独に比べ全生存期間(OS)を延長し、有害事象も少ないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のF Stephen Hodi氏らの検討で示された。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、抗原提示細胞である樹状細胞の活性を増強し、TおよびBリンパ球性抗腫瘍効果を促進するサイトカインであり、サルグラモスチムはイースト菌由来の遺伝子組み換えヒトGM-CSF製剤である。また、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)はTリンパ球活性を抑制する免疫チェックポイントであり、イピリムマブはCTLA-4を阻害する完全ヒトIgG1モノクローナル抗体である。CTLA-4遮断薬とGM-CSF分泌腫瘍ワクチンを併用すると相乗的な抗腫瘍効果が得られることが前臨床研究で確認されている。JAMA誌2014年11月5日号掲載の報告。

肥満者の降圧治療、心血管効果に差はない/Lancet

 降圧治療の心血管イベントへの影響は、痩せている患者と肥満患者で、降圧薬の選択によって大きく変わることはほとんどないことが示された。オーストラリア・シドニー大学のAndrew Ying氏らが、無作為化試験22試験・13万5,715例の被験者データをメタ解析した結果、報告した。本検討は、標準体重の人と比べて肥満者の降圧による心血管ベネフィットが、選択した薬によって異なるのではないかとの仮説に基づき行われたものであった。Lancet誌オンライン版2014年11月4日号掲載の報告より。

若年双極性障害への治療効果を高めるには

 双極性障害の青少年・若年成人では、薬物療法の補助的療法として対人関係・社会リズム療法(interpersonal and socialrhythm therapy:IPSRT)と専門家支持療法(specialist supportive care:SSC)を用いることは、抑うつまたは躁病症状を抑制する効果、および社会的機能を改善する効果があることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のMaree L Inder氏らによる無作為化対照試験の結果、示された。著者は今回の成果を、「とくに抑うつ症状に対処する有効な治療の特定は、双極性障害の負荷を軽減するうえで重要となる」と強調している。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年10月24日号の掲載報告。

非ST上昇型ACSへのチエノピリジン、出血リスク3割増/BMJ

 非ST上昇型急性冠症候群(ACS)に対する、P2Y12受容体阻害薬のチエノピリジン系薬による前処置は、その治療戦略の種類にかかわらず、死亡率低下の効果はなく、逆に大出血リスクを3割程度増大させることが、フランス・フォンテーヌ病院のAnne Bellemain-Appaix氏らによる、7件の試験について行ったメタ解析の結果、示された。結果を踏まえて著者は、非ST上昇型ACSでの入院患者に対する、システマティックなP2Y12受容体阻害薬による前処置については、臨床ガイドラインも含め見直しが必要のようだと指摘している。BMJ誌オンライン版10月24日号で発表した。

携帯電話で服薬リマインド、効果は?/BMJ

 HIV感染患者を対象に、抗レトロウイルス療法(ART)の開始にあたって携帯電話を使った治療薬服用に関するリマインドの介入を行ったが、治療効果を示すウイルス学的失敗までの時間や同発生率について、非介入との差は示されなかった。また、治療薬のアドヒアランスへの効果も認められなかった。インド・St John’s Medical College HospitalのAnita Shet氏らが、631例のHIV感染患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2014年11月6日号掲載の報告より。

アルツハイマーに有用な生薬はコレ

 神経破壊性疾患の病因はいまだ解明されておらず、有効な新規薬剤の開発への挑戦が促されている。インド・Banaras Hindu大学のSadhu A氏らは、アルツハイマー型老人性認知症(SDAT)患者を対象に、新規漢方製剤とドネペジルの認知機能に対する有効性を比較検討した。その結果、オトメアゼナ、スナジグミおよびニガカシュウの抽出成分を含む漢方製剤は、ドネペジルと比較して認知機能を有意に改善すること、また炎症およびうつ病を軽減することを報告した。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2014年10月15日号の掲載報告。

膝軟骨欠損への自家骨移植、長期予後は?

 軟骨欠損に対しては異なる治療が提案されている。イタリア・Rizzoli Orthopaedic InstituteのGiuseppe Filardoらは、その中でも数少ない自家骨軟骨移植術(小~中程度の軟骨欠損例に適用される1個の自己骨由来の骨軟骨プラグを移植する術)について長期予後を検討した。1個の骨軟骨プラグを移植した患者を16年以上追跡した結果、若年者では治療選択肢として適していることを確認した。Orthopedics誌2014年9月号の掲載報告。

牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ

 男女ともに牛乳摂取量が多い人ほど死亡率、骨折率が高く、酸化ストレスや炎症性バイオマーカーの値が高いことが、スウェーデン・ウプサラ大学のKarl Michaelsson氏らによる全国追跡コホート研究の結果、明らかにされた。骨粗鬆症予防のために牛乳を飲むことが推奨されているが、これまでの検討では、牛乳を多く飲むことの骨折・死亡予防への影響について相反する結果が報告されていた。なお今回の結果についても著者は、観察研究デザインのため残余交絡因子や逆作用現象などを有している可能性があり、解釈は慎重にすることが推奨されるとしている。BMJ誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告より。

臍帯血移植1単位vs. 2単位/NEJM

 小児・青少年の造血器腫瘍患者に対する臍帯血移植について、1単位vs. 2単位移植後の生存率は同等であったことが、米国・ミネソタ大学のJohn E. Wagner氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。また1単位移植群のほうが、血小板回復が良好で、移植片対宿主病(GVHD)のリスクも低かったという。本検討は、移植時の造血細胞数が1単位よりも2単位のほうが多くなることから転帰が改善するとの仮説に基づき行われたものであった。NEJM誌2014年10月30日号掲載の報告。