吸わない人のほうが幸福感が大きい

提供元:ケアネット

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公開日:2015/01/20

 

 ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAndrew Stickley氏らは、旧ソ連の9ヵ国のデータを使用し、男性の喫煙率と喫煙関連死亡率の高い集団において、喫煙やニコチン依存と幸福感との関連について検討した。その結果、喫煙は低い幸福感と関連していることが認められ、喫煙が高い幸福感と関連するという見解とは矛盾していた。著者らは「旧ソ連諸国の政策との関連から、喫煙が健康に有害な影響を及ぼすという社会的認識が不足していた。しかし、最近の報告では禁煙を望む人が増えており、禁煙が身体的・精神的な健康につながることを強調することで、今回の知見を公衆衛生の取り組みに生かしていくべき」と指摘している。Tobacco control誌オンライン版2015年1月6日号に掲載。

 著者らは、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ロシア、ウクライナにおいて2010年と2011年に実施された、集団ベースの横断的研究のデータを検討した。18歳以上の1万8,000人から、喫煙状況(非喫煙、元喫煙、現喫煙)、禁煙努力、ニコチン依存について情報を収集した。これらの項目と自己申告による幸福感との関連について、プロビット回帰分析により検証した。

 主な結果は以下のとおり。

・非喫煙者と元喫煙者はともに、現喫煙者よりも幸福感が有意に高かった。
・ニコチン依存度が高い喫煙者は、依存度が低い喫煙者より幸福感が有意に低かった。

(ケアネット 金沢 浩子)