日本語でわかる最新の海外医学論文|page:831

肝移植後HCVへのIFNフリーレジメンの検討/NEJM

 肝移植後の再発C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染症患者に対し、インターフェロンを用いない、NS5A阻害薬オムビタスビル+リトナビル・ブースト・プロテアーゼ阻害薬ABT-450(ABT-450/r)+非ヌクレオチド系NS5Bポリメラーゼ阻害薬ダサブビル+リバビリンの24週治療は、治療後のウイルス学的著効(SVR)が12週後、24週後ともに97%を示し、有効であることが示された。米国・インディアナ大学のPaul Y. Kwo氏らが、患者34例を対象とした試験で明らかにした。今回試験対象とした移植後再発患者は、従来の標準治療レジメンでは、治療反応率は13~43%に留まっていたという。NEJM誌オンライン版2014年11月11日号掲載の報告より。

妊婦への3種混合ワクチン、早産リスクと関連せず/JAMA

 妊娠中に破傷風・弱毒化ジフテリア・無菌体百日咳3種混合ワクチン(Tdap)を接種しても、早産や在胎週数不当軽量児(SGA)、妊娠高血圧症の発生リスクは増大しないことが明らかにされた。一方で、絨毛羊膜炎リスクが、接種群で2割弱の増大が認められたという。米国・HealthPartners Institute for Education and ResearchのElyse O. Kharbanda氏らが、単胎生児を出産した12万超の女性について行った検討で明らかにした。米国では2011年、米国疾病管理予防センター(CDC)の予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)が、Tdap未接種の妊婦に対し、妊娠20週以降の同接種を勧告している。JAMA誌2014年11月12日号掲載の報告より。

小児てんかんの死亡率を低下させるために

 米国疾病予防管理センター(CDC)のAnbesaw W. Selassie氏らは、2000~2011年までのサウスカロライナ州における小児てんかんの死亡率、ならびにチーム医療がアウトカムに及ぼした影響などについて調査を行った。その結果、小児てんかんの全死亡率は8.8/1,000人年で、死亡の年間リスクは0.84%であることを報告した。そのうえで、チーム医療介入がアウトカムを改善すること、とくに併存症(co-occurring conditions)を有する患者への適切かつタイムリーな介入が早期死亡リスクを減少させうるとした。Morbidity and Mortality Weekly Report 2014年11月7日号の掲載報告。

ウステキヌマブ、日本人高齢患者の長期治療に有用

 ウステキヌマブ(UST、商品名:ステラーラ)の長期1年間の治療は、日本人65歳以上の重症感染症を有していない乾癬患者について十分な効果が期待できるものであるようだ。東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座の林 光葉氏、同教授の中川 秀己氏らがレトロスペクティブな検討の結果、報告した。

HCV経口レジメン、グラゾプレビル+エルバスビル第II相試験/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染症へのグラゾプレビル(grazoprevir、MK-5172)+エルバスビル(elbasvir、MK-8742)併用療法は、リバビリンの追加併用を問わず、未治療の肝硬変併存患者、ペグインターフェロン+リバビリン(PR-null)既治療が有効であった肝硬変併存患者または非併存患者において、12週投与、18週投与ともに高い効果を示したことが、米国・テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らによる第II相非盲検無作為化試験の結果、報告された。Lawitz氏は、「結果は第III相の試験実施を裏付けるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月11日号掲載の報告より。

ホスピスが入院や医療コストを抑制/JAMA

 米国の終末期がん患者のうちホスピスケアの利用者は非利用者に比べ、入院やICU入室、侵襲的手技の施行が少なく、医療コストも抑制されることが、ブリガム&ウィメンズ病院のZiad Obermeyer氏らの調査で示された。近年、米国ではがん患者のホスピス利用が増えている一方、ホスピス外でのケアの増加や入所期間が短縮しているが、ホスピスが保健医療の活用に及ぼす影響や、医療コストがホスピス利用に与える影響は明らかにされていなかった。JAMA誌2014年11月12日号掲載の報告。

精神科病棟への長期入院の予測因子は

 老年精神科の病床数は限られている。カナダ・カルガリー大学のZahinoor Ismail氏らは、高齢者の精神科病院の入院期間の予測因子を明らかにするため検討を行った。その結果、入院期間は概して入院時の臨床特性により予測されることが明らかになった。長期入院の予測因子は、無能力、陽性症状が認められることであり、認知症は長期入院の予測因子ではなかったという。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年10月21日号の掲載報告。

糖尿病患者へのインフルエンザ予防接種、HbA1c値は抗体保有に影響するのか

 インフルエンザA(H1N1)pdm09ワクチンは、1回の接種で、糖尿病患者の免疫力を十分なレベルまで高めることができ、HbA1c値は抗体保有割合に悪影響を及ぼさないことが、大阪市立大学の江川 裕美氏らによる研究で明らかになった。ただし、高齢者やBMIが低い患者では、免疫応答が低下する可能性があるという。Human vaccines & immunotherapeutics誌2014年5月号の報告。

肺炎球菌ワクチン導入で直接および間接的な効果/NEJM

 南アフリカ共和国では、2009年に小児への7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)定期接種が導入され、2011年からはPCV7に代わりPCV13の定期接種が行われている。同国National Health Laboratory Service(NHLS)のAnne von Gottberg氏らは、ワクチン定期接種導入前後の侵襲性肺炎球菌感染症発症の変化を調べた。その結果、2歳未満児と22~45歳の年齢群での効果が最も大きく、それぞれPCV7タイプの肺炎球菌髄膜炎の減少は89%、57%であったことなどを報告した。NEJM誌2014年11月13日号(オンライン版2014年11月11日号)掲載の報告より。

NASHへのオベチコール酸、組織所見は改善するが…/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療において、オベチコール酸による組織所見の改善率はプラセボの約2倍に達するが、その効果はNASH診断例を減少させるには十分でないことが、米国セントルイス大学のBrent A Neuschwander-Tetri氏らNASH Clinical Research Networkが行ったFLINT試験で示された。ファルネソイドX受容体は肝臓の脂肪や線維化を抑制することが、脂肪性肝疾患の動物モデルで確認されている。胆汁酸誘導体で、ファルネソイドX受容体のリガンドである6-エチルケノデオキシコール酸(オベチコール酸)は、この受容体のアクチベータである可能性が示唆されている。Lancet誌オンライン版2014年11月7日号掲載の報告。

脳卒中急性期の高血圧管理は、効果がない? ~無数のCQに、臨床試験は応えられるのか -ENOS試験の教訓~(解説:石上 友章 氏)-279

 臨床試験は、臨床現場の葛藤に回答を与えてくれることが期待されている。結果の不確実な選択肢に対して、丁半博打のような行為を繰り返す愚を回避するための、有力で科学的な解決策である。しかし、臨床現場のクリニカル・クエスチョン(CQ)は、有限個であるとはいっても、無数に存在する。1つのCQに、1つの臨床試験が確度の高い回答を与えてくれるとは限らない。CQを解決するつもりで行った臨床試験が、未知のCQを発掘することもある。また、臨床試験にかかるコストは、費用だけではない。人的なコスト、時間的なコストも莫大にかかるので、こうしたコストに見合った結果が得られるのかは、重大な関心事であろう。

統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学

 抗精神病薬は、統合失調症の治療の柱であり、その効果は数百件の無作為化臨床試験によって確立されたものである。しかしながら、ベースライン時の症状の重症度を問わず有効なのか、どれぐらい効果があるのかは解明されていない。京都大学の古川 壽亮氏らは、統合失調症の初期重症度と抗精神病薬の有効性についてメタ解析にて検討した。その結果、抗精神病薬の効果は、急性期およびより陰性症状が主体となっている統合失調症の、全スペクトラムにおいて期待できるとの示唆が得られたことを報告した。所見を踏まえて著者は、「医師は、スペクトラムで軽症に向かっている患者については、症状改善の効果が減少している一方で有害作用のリスクが高まっていることに気付かなくてはならない。同時に、寛解期の患者の再発予防を見据えた抗精神病薬の使用に配慮する必要があり、この点が本検討の主眼であった」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号掲載の報告より。

2つのNMDA受容体拮抗薬、臨床像はなぜ異なるのか

 メマンチンとケタミンは、いずれも臨床的にNMDA受容体のオープンチャンネル阻害により著明な薬理学的効果を示すが、臨床像は明確に異なる。米国・ワシントン大学のChristine M. Emnett氏らは、NMDA受容体チャンネル阻害と陽性アロステリック修飾物質(positive allosteric modulators:PAM)の相互作用について検討した。著者らは、以前の検討においてこの両者の違いを明らかにしNMDAの重要性を明確にしたが、PAMが薬理学的な阻害活性や阻害の違いに影響を与えているのかどうかについては不明なままであった。British Journal of Pharmacology誌オンライン版2014年11月6日号の掲載報告。

慢性骨髄性白血病に新たな治療薬登場

 2014年11月19日、ファイザー株式会社は「慢性骨髄性白血病に残るアンメットニーズへの新たな治療選択肢」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。  慢性骨髄性白血病(CML)は、造血幹細胞で染色体転座によって融合したBCR-ABL遺伝子によって引き起こされる。年間の発生率は10万人に1人程度で、慢性期には自覚症状はほとんどなく、移行期、急性転化期に進行すると予後不良となる。  今回のセミナーでは、同社のボスチニブ(商品名: ボシュリフ)が、9月26日に製造販売承認を取得したことを踏まえ、CML治療の概要やボスチニブの臨床成績などが紹介された。