日本語でわかる最新の海外医学論文|page:392

mRNAワクチン、新型コロナ感染歴のある人は単回でも有効か/JAMA

 COVID-19ワクチンの不足から、一部の専門家から単回接種レジメンが提案されている。一方、COVID-19に感染すると少なくとも6ヵ月は免疫があると考えられているが、リコール応答も最適なワクチン投与レジメンも検討されていない。今回、米国・メリーランド大学のSaman Saadat氏らが医療従事者を対象に、COVID-19のmRNAワクチンを単回接種して結合価および中和力価を調べたところ、血清学的検査でCOVID-19感染歴が確認された人は、感染歴のない人よりも抗体価反応が高いことが示された。JAMA誌オンライン版2021年3月1日号リサーチレターでの報告。

2年ごとの乳房視触診、50歳以上の乳がん死3割減/BMJ

 2年ごとの医療従事者による乳房の視触診(clinical breast examination:CBE)は、CBEを行わない場合と比べ、乳がん診断時の病期を軽減し(downstaging)、50歳以上の女性の乳がんによる死亡率を約3割抑制することが、インド・Homi Bhabha National InstituteのIndraneel Mittra氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月24日号で報告された。マンモグラフィによる乳がんスクリーニングは、50歳以上の女性では死亡率を抑制するが、50歳未満の女性における有効性には疑問があるとされる。また、乳がん自己検診(breast self-examination)の、乳がんの早期検出法としての有効性は証明されておらず、CBEが乳がんによる死亡を低減するかについても明らかではないという。

ロシア製COVID-19ワクチン、約2万人接種で有効率91.6%/Lancet

 ロシア国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所(NRCEM)で開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の非相同組み換えアデノウイルス(rAd)ベクターワクチンGam-COVID-Vac(スプートニクV)の第III相試験中間解析の結果が、NRCEMのDenis Y. Logunov氏らによってLancet誌2021年2月20日号で報告された。COVID-19に対する有効率は91.6%と高く、2万人を超える大規模な参加者において良好な忍容性が確認された。Gam-COVID-Vacは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)完全長糖蛋白S(rAd26-SおよびrAd5-S)の遺伝子を持つrAd26型(rAd26)とrAd5型(rAd5)をベースとする複合ベクターワクチンで、prime-boost異種ワクチン接種法に基づき、先にrAd26を接種後、21日の間隔を空けてrAd5が接種される。2020年8月に終了した第I/II相試験では、良好な安全性プロファイルを示し、強力な体液性免疫および細胞性免疫の誘導が認められている。

FDA、ロルラチニブのALK肺がん1次治療を承認/ファイザー

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年3月3日、ロルラチニブ(商品名:ローブレナ)の適応症を拡大し、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療を追加承認した。  ロルラチニブの今回の承認拡大は、未治療のALK陽性NSCLCを対象にクリゾチニブと比較した第III相CROWN試験の結果に基づくもの。この試験でロルラチニブはクリゾチニブに比べ、盲検独立評価委員会(BICR)評価による死亡および進行リスクを72%減少させた (PFS HR 0.28:95%CI:0.19~0.41、p<0.0001)。事前に特定された探索的研究によるBICR評価の頭蓋内奏効率 (IC-ORR) は82% (クリゾチニブ群は23%)であった。頭蓋内奏効期間12ヵ月以上持続した割合は79%(クリゾチニブ群は0%)であった。

認知症リスクの人種差~メタ解析

 世界の認知症患者数は、約5,000万人といわれている。高血圧や糖尿病などの認知症のリスク因子は、黒人、アジア人、その他の少数民族においても一般的に認められるが、認知症のケア、診断、治療においては、人種間で不平等なこともある。そこで、英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのSuhail Ismail Shiekh氏らは、認知症の発生率や有病率に関する民族的な差異について、調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年1月30日号の報告。

新型コロナワクチンを拒む一般人の割合と特徴-米国の場合

 米国では2月8日の時点で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン5,930万回分が配布され、少なくとも3,160万人が1回目のワクチン接種を行った。ワクチン開始前に実施された全米世論調査では、多くの人が新型コロナワクチンの接種をためらっていたが、2020年9月から12月にかけて、ワクチンを接種したいと回答した割合は、全体的に39.4%から49.1%に増加し、接種する「可能性が低い」と回答した割合は38.1%から32.1%に減少していたことが明らかになった。米国疾病予防管理センター(CDC)が2021年2月12日に発表した。

遺伝子パネル検査、がん種別に見た遺伝子異常の特徴は?/日本臨床腫瘍学会

 国立がんセンターが中心となって展開する産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業、SCRUM-Japan。2019 年7月に開始した第三期プロジェクトでは、それまで消化器がんを対象としていたGI-SCREEN-Japanプロジェクトが泌尿器がん、乳がん等にも対象を拡大し、新たに血液を用いた遺伝子解析検査(リキッドバイオプシー)も取り入れた、MONSTAR-SCREENとして再始動している。参加するのは全国31施設、参加者は消化器がん、皮膚がん、乳がん、産婦人科がん、頭頸部がん、泌尿器がんなどの切除不能な固形がん患者で、腫瘍組織によるゲノム解析を受けたうえで、リキッドバイオプシー検査と腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の検査、解析を受ける。

高GI食、心血管疾患・死亡リスク増大と関連/NEJM

 低・中所得国を含む5大陸で実施された前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究」の結果、グリセミック指数(GI)が高い食事は、心血管疾患および死亡のリスクを増大することが明らかとなった。カナダ・トロント大学のDavid J.A. Jenkins氏らが報告した。GIと心血管疾患の関連性に関するデータのほとんどは、高所得国である西洋諸国の集団から得られたものであり、低・中所得国である非西洋諸国からの情報は少ない。このギャップを埋めるため、地理的に多様な大規模集団のデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2021年2月24日号掲載の報告。

AZ社の新型コロナワクチン、接種間隔は3ヵ月が有益/Lancet

 ChAdOx1 nCoV-19(AZD1222)ワクチンの2回接種は、主要解析の結果、中間解析と一致して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し有効であることが確認された。探索的事後解析では、パンデミックにおける供給不足時にできるだけ早く大多数の住民にワクチンを行き渡らせるための短い接種間隔プログラムより、3ヵ月の接種間隔のほうが2回目接種後の予防効果が改善しており利点があることも示された。英国・オックスフォード大学のMerryn Voysey氏らオックスフォード・ワクチン・グループが、AZD1222ワクチンに関する4つの臨床試験の統合解析結果を報告した。AZD1222ワクチンは、英国の医薬品・医療製品規制庁により標準用量を4~12週間の間隔で2回接種する緊急使用が承認され、英国でのワクチン導入計画では、ハイリスクの人々を対象にただちに初回接種を行い、12週間後に2回目接種を行うことになっていた。Lancet誌オンライン版2021年2月19日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ+化学療法の食道がん1次治療、日本人の結果(KEYNOTE-590)/日本臨床腫瘍学会

 切除不能な局所進行または転移のある食道腺がん、食道扁平上皮がん、Siewert I型食道胃接合部腺がん患者に対する1次治療として化学療法とペムブロリズマブの併用療法と化学療法を比較する無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-590試験の日本人集団における結果を第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)で、埼玉県立がんセンターの原 浩樹氏が発表した。

コロナ禍の中で花粉症診療へ行くべきか/アイスタット

 花粉症の季節が到来した。街中ではマスクだけでなく、花粉防止のゴーグルをかけた人を見かけるようになった。新型コロナウイルス感染症が収束をみせない中、慢性疾患や花粉症に代表される季節性疾患の診療に例年とは異なる動きはあるのであろうか。  株式会社アイスタット(代表取締役社長:志賀 保夫)は、2月25日に花粉症の理由で病医院を受診する人の割合、傾向を知る目的として、花粉症に関するアンケート調査を行い、その結果を発表した。

多発性硬化症の病態に関わる免疫細胞の新知見

 2021年2月17日、ノバルティス ファーマは、『MS病態への関与が示唆される「B細胞」とは? ~免疫の仕組みとMS治療の課題~』と題するメディアセミナーを開催した。  多発性硬化症(以下、MS)は自己免疫疾患の1つとして知られている。国内の推定患者数は約1万5千人以上と考えられており、女性の患者数が男性の約2.9倍といわれている。平均発症年齢は30歳前後、発症のピークは20代であり、就職や出産、育児などのライフイベントが多い時期と重なるため、社会への影響が大きい疾患であると考えられる。

うつ病治療アプリに対する医師や患者の期待

 スマートフォンアプリが増加し続けている現代社会において、アプリによる治療ツールの有効性は十分に実証されておらず、導入率も依然として不十分である。フランス・クレルモン・オーベルニュ大学のMarie-Camille Patoz氏らは、アドヒアランス向上に関連する効率的なアプリ開発を行うため、ユーザー中心のアプローチを通じて設計した架空のうつ病治療アプリに対する患者および医師の期待を特定することを目的とし、本研究を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月29日号の報告。

過体重・肥満へのセマグルチド、68週後の体重減16%/JAMA

 非糖尿病の過体重または肥満の成人に対し、食事療法と強化行動療法に加えたセマグルチド2.4mgの週1回皮下投与は、プラセボ投与に比べ、長期68週間の統計学的に有意な体重減少をもたらしたことが示された。セマグルチド群では、68週後に体重5%以上減少の達成が9割近くに上り、また体重変化の平均値は-16.0%だった。米国・ペンシルベニア大学のThomas A. Wadden氏らが、611例を対象とした第III相無作為化二重盲検並行群間試験の結果をJAMA誌オンライン版2021年2月24日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「今回示された効果の持続性を評価するため、さらなる研究を行う必要がある」とまとめている。

ファイザーの新型コロナワクチン、イスラエルで高い有効性を実証/NEJM

 PfizerとBioNTechによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン「BNT162b2」の推定有効率は、2回接種後で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染に対しては92%、症候性COVID-19に対しては94%、重症COVID-19には92%と、いずれも高いことが報告された。イスラエル・Clalit Health ServicesのNoa Dagan氏らが、イスラエル最大のヘルスケア組織(HCO)からのデータを用いて、約60万人のワクチン接種者と非接種の適合対照者について行った試験で明らかにした。COVID-19に対する集団予防接種キャンペーンが世界各地で開始されている中、ワクチンの有効性は非コントロール下で多様な集団におけるさまざまなアウトカムの評価が必要となっている。著者は、「今回の試験結果は、全国的なワクチン集団接種について評価したもので、mRNAワクチンBNT162b2がさまざまなCOVID-19関連アウトカムに対して有効であることを示し、無作為化試験の結果と一致する所見が得られた」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年2月24日号掲載の報告。

がん遺伝子パネル検査のスタート半年、「エキスパートパネル」の評価は?/日本臨床腫瘍学会

 2019年6月に保険適用となったがんゲノムプロファイリング(CGP)検査。その実施は、がんゲノム医療中核拠点病院、拠点病院、連携病院に限定され、検査結果は中核拠点病院、拠点病院で実施される専門家会議「エキスパートパネル」での検討が必須とされている。  ここでの方針がCGP検査を受けた患者の治療に直結するが、各エキスパートパネルの現状や判断の差異については評価されていなかった。そこで、中核拠点病院11施設での2019年6月~2020年1月における、エキスパートパネルの実績(全検討症例数および、遺伝子異常に合った投薬や遺伝相談外来の受診に結び付いた症例数)を調査するとともに、模擬症例2例を用いて各エキスパートパネル間で推奨治療に差があるかどうかを検証する研究を行った。

重症精神疾患患者における抗精神病薬切り替えと体重変化~メタ解析

 重症精神疾患患者では、肥満や代謝により臨床的な悪影響が懸念されるが、これを予防できる可能性がある。心血管代謝の負担を軽減するうえで、抗精神病薬の切り替えが有用かを、オーストラリア・クイーンズランド大学のDan Siskind氏らが検討を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2021年2月6日号の報告。  2020年3月8日までの文献をPubMED、Embase、PsycINFO、Cochraneより検索した。抗精神病薬切り替え群と継続群における体重および代謝変化を比較するため、群全体と群内でのメタ解析を実施した。

片頭痛に対するfremanezumabの効果~第III相試験の事後解析

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体は、片頭痛の予防に対する有効性および安全性が示されている薬剤である。臨床試験では治療反応群と非反応群が存在しているが、有効性の評価では両群の平均値を用いる。そのため、治療反応群における臨床的ベネフィットについての情報が十分に評価されていない。治療反応がみられる患者における臨床的な改善度を明らかにすることは、臨床医と患者にとって重要なポイントである。米国・トーマス・ジェファソン大学のStephen D. Silberstein氏らは、ヒト化モノクローナル抗体fremanezumabにより治療反応がみられた患者における臨床的ベネフィットを明らかにするため、2つの第III相HALO臨床試験の事後分析を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2021年1月7日号の報告。

食物アナフィラキシー、20年で入院は3倍も死亡率は低下/BMJ

 英国では、1998~2018年の20年間に、食物によって誘発されたアナフィラキシーによる入院が3倍以上に増加したが、死亡率は低下しており、就学児童で最も頻度の高い致死的なアナフィラキシーの単一の誘因は牛乳であることが、同国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlessia Baseggio Conrado氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月17日号で報告された。アナフィラキシーは全身性の重篤な過敏反応で、通常、急速に発症し、死に至る可能性もある。食物アナフィラキシーによる入院は世界的に増加しており、イングランドとウェールズでは1998~2012年の期間に倍増したが、致死的アナフィラキシーの発生率はこの間安定していたという。

コロナワクチン「コミナティ」添付文書改訂、輸送・保管時の温度管理柔軟に

 2月14日に特例承認されたファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)について、3月1日付で添付文書が改訂された。薬剤の保存方法として、-25~-15℃で最長14日間の保存が可能である旨が追記された。  今回の改訂では、「薬剤調整時の注意」の細目として、新たに「保存方法」についての以下の記載が加わった。 《保存方法》 本剤は-90~-60℃から-25~-15℃に移し、-25~-15℃で最長14日間保存することができる。なお1回に限り、再度-90~-60℃に戻し保存することができる。いずれの場合も有効期間内に使用すること。