日本の農家における不眠症と寝酒・迎え酒との関係

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/27

 

 眠りを補助するための寝酒、酔い覚ましや二日酔いを軽減させるための朝の迎え酒のようなアルコール摂取を行う人は少なくない。島根大学の佐藤 利栄氏らは、日本の農家で働く健康な中年における不眠症と寝酒や迎え酒との関連について検討を行った。Alcohol誌オンライン版2021年3月18日号の報告。

 746人(平均年齢:59.5歳、女性の割合:25.9%)を対象に自己記入アンケートを用いて、横断的研究を実施した。不眠症の定義には、日本語版アテネ不眠尺度6以上または前年の睡眠薬使用とした。性別、年齢、睡眠障害の有無、アルコール摂取頻度、1回当たりのアルコール摂取量で調整した後、寝酒と迎え酒に関連する不眠症のオッズ比(OR)を算出するため、ロジスティック回帰を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・不眠症患者数は174人(23.3%)、寝酒をしていた人140人(18.8%)、迎え酒をしていた人37人(5.0%)であった。
・人口統計および交絡因子で調整した後、寝酒をしていた人は、していなかった人と比較し、不眠症の有病率が有意に高かった(OR:2.00、95%CI:1.27~3.16)。
・男性の迎え酒は、不眠症の有病率の高さと独立した関連が認められた(OR:3.26、95%CI:1.55~6.87)。
・寝酒と迎え酒の両方をしている人は、どちらもしていない人と比較し、不眠症の有病率の高さと有意な関連が認められた(OR:4.77、95%CI:2.01~11.3)。
・不眠症に対しては、寝酒(OR:1.81、95%CI:1.08~3.06、p=0.026)よりも迎え酒(OR:4.09、95%CI:1.14~14.7、p=0.031)においてより強い関連が認められた。

 著者らは「日本の農家で働く人において、寝酒や迎え酒は、アルコールの消費量や摂取頻度と関係なく、不眠症との関連が認められた」としている。

(鷹野 敦夫)