軽度~中等度のうつ病に対する催眠療法の有効性

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/26

 

 うつ病に対する催眠療法の有効性を検討した研究では、適切に設定された方法で行われたランダム化比較試験が不足している。ドイツ・テュービンゲン大学病院のKristina Fuhr氏らは、軽度~中等度のうつ病患者の抑うつ症状軽減に対する催眠療法について、認知行動療法との非劣性を評価するため、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月5日号の報告。

 本研究は、評価者盲検ランダム化比較試験として実施した。うつ病外来患者152例を対象に、6ヵ月間で16~20回の催眠療法または認知行動療法のいずれかの治療にランダムに割り付けた。主要アウトカムは、治療前後のMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)で評価した抑うつ症状の平均改善度とした。

 主な結果は以下のとおり。

・催眠療法と認知行動療法の平均症状改善度の差は、ITTサンプルで2.8(95%CI:-9.85~15.44)、Per Protocolサンプル(134例)で4.0(95%CI:-9.27~17.27)であった。
・事前に設定した非劣性マージン-16.4に対し、いずれの結果においても催眠療法の非劣性が確認された。
・治療終了後、6および12ヵ月後のアウトカムは、主要な結果を支持するものであった。
・本研究では、倫理的観点より未治療群を設定しなかったため、両方の治療条件が有効であることは、間接的にしか結論付けることができなかった。

 著者らは「うつ病に対する催眠療法について、認知行動療法との非劣性が示された。これは、厳格に設計された標準的な方法で検討した最初の研究である」としている。

(鷹野 敦夫)