日本語でわかる最新の海外医学論文|page:394

カボザンチニブ、転移乳頭状腎がんでPFS延長(SWOG1500)/Lancet

 転移のある乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者において、カボザンチニブはスニチニブと比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta K. Pal氏らが、米国およびカナダの65施設で実施した、METキナーゼ阻害薬カボザンチニブ、クリゾチニブおよびsavolitinibとスニチニブを比較する無作為化非盲検第II相試験「SWOG 1500試験」の結果を報告した。METシグナル伝達経路はPRCCの重要なドライバーであるが、転移のあるPRCCに対する最適な治療は存在していなかった。Lancet誌2021年2月20日号掲載の報告。

中等~重症COVID-19に高用量ビタミンD3単回投与は有益か?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、高用量のビタミンD3単回投与はプラセボと比較し、在院日数を有意に減少させることはないことが示された。ブラジル・サンパウロ大学医学部のIgor H. Murai氏らが、ブラジル・サンパウロの2施設で実施した無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。COVID-19に対するビタミンD3補給の有効性はこれまで不明であったが、結果を受けて著者は、「中等症~重症COVID-19患者の治療として高用量ビタミンD3の使用は支持されないことが示された」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年2月17日号掲載の報告。

アジア人がん関連VTE、NOAC vs.低分子ヘパリン

 これまで不明であった、アジア人のがん関連静脈血栓塞栓症(VTE)に対する非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)と低分子ヘパリン(LMWH)の臨床的有益性は、同等であることが示された。台湾・長庚大学のDong-Yi Chen氏らが、台湾のデータベースを用いたコホート研究により、実臨床下でがん関連VTE患者におけるVTE再発および大出血のリスクはNOACとLMWHで同等であり、さらにNOACでは胃腸出血のリスクが有意に低いことを明らかにした。なお著者は、「今回の解析結果を確認するためには、前向き研究が必要である」としている。JAMA Network Open誌2021年2月1日号掲載の報告。

TNBC術前化療への免疫療法併用、メタ解析結果/日本臨床腫瘍学会

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における術前化学療法と免疫療法併用の有効性についてメタ解析が行われ、併用による病理学的完全奏効率(pCR)の有意な改善が示された。またPD-L1発現状態に基づくサブグループ解析の結果、PD-L1陽性集団では併用によるpCRの有意な改善が示されたが、陰性集団では統計学的有意差は得られなかった。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)で、フィリピン・St. Luke's Medical CenterのJessa Gilda Pandy氏が発表した。 Pubmed、Embase、Cochrane、臨床試験データベースの系統的検索と手作業による検索により、TNBCにおける術前化学療法とPD-1/PD-L1阻害薬併用についての無作為化比較試験(RCT)を特定した。2020年3月までに発表された試験が対象。変量効果モデルを使用して、統合オッズ比(OR)がpCRについて計算された。また、PD-L1発現状態に基づくpCRのサブグループ解析も実施された。

メトホルミンはCOVID-19の発症・死亡に影響するのか?

 糖尿病は、COVID-19による死亡の重要なリスク因子として考えられており、これまでのさまざまな研究で、糖尿病治療薬メトホルミンが複数のメカニズムを介してCOVID-19に影響を与えることが示唆されている。今回、英・バーミンガム大学のJingya Wang氏らが、2型糖尿病患者におけるCOVID-19へのメトホルミンの影響を調査した。その結果、メトホルミンの処方は、COVID-19発症または死亡のリスクとは関連していなかった。Journalof Clinical Endocrinology and Metabolism誌オンライン版2021年2月9日号での報告。

新型コロナ、消化管内視鏡検査で飛沫からの感染リスクは?

 消化管内視鏡検査(GIE)は、早期発見と多くの疾患の治療に有用である一方で、医療スタッフが患者の分泌物の飛沫によって感染するリスクがあり、COVID-19パンデミック下においては危険度の高い処置と考えられている。本研究は、横浜市立大学病院の研究チームが、検査を実施する医療スタッフが曝露する可能性のある唾液および消化液により、SARS-CoV-2陽性となる割合を検証した。Digestive endoscopy誌オンライン版2021年2月6日号に掲載。  本研究では、2020年6月1日~7月31日に横浜市立大学病院でGIEを受けたすべての患者が登録された。全員から3mL の唾液と共に、上部消化管内視鏡の場合は胃液10mLを、下部消化管内視鏡の場合は腸液10mLを採取した。主要評価項目は、唾液および胃腸液中のSARS-CoV-2陽性率で、SARS-CoV-2の血清抗体価や患者の背景情報についても併せて解析した。

LVEF15%以下の重症心不全患者に対するCRTの効果【Dr.河田pick up】

 心臓再同期療法(CRT)は、心室同期不全および左室機能不全を有する患者に対する最も重要な治療の1つである。多くのCRTに関連した研究における患者の左室駆出率(LVEF)の平均値は20~30%である。実臨床では、さらにLVEFが低下した患者によく遭遇する。こうした重度の左室機能不全を有する患者がCRTの恩恵を受けるのか、あるいはすでにCRTが有益である時点を過ぎた患者なのかは不明である。本研究は、米国・クリーブランドクリニックのJohn Rickard氏らが、重症心筋症に対するCRTの長期成績とLVEF回復の予測因子を求めることを目的に実施した。JACC electrophysiology誌2021年1月号に掲載。

進行腎がん1次治療、レンバチニブ+ペムブロリズマブが有益(CLEAR)/NEJM

 進行腎細胞がんで全身性治療歴のない患者に対し、レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用投与は、スニチニブ投与に比べ、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長したことが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert Motzer氏らが、1,069例を対象に行った第III相無作為化試験「CLEAR試験」の結果を報告した。レンバチニブ+ペムブロリズマブまたはエベロリムスについては、進行腎細胞がんに対する活性が認められているが、これらのレジメンのスニチニブとの比較による有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2021年2月13日号掲載の報告。

COVID-19入院患者への早期予防的抗凝固療法、30日死亡率を低下/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、早期予防的抗凝固療法は非投与と比較して、重大出血のイベントリスクを増大することなく30日死亡率を有意に低下することが示された。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のChristopher T. Rentsch氏らが、4,297例の入院患者を対象に行った観察コホート試験の結果で、BMJ誌2021年2月11日号で発表した。COVID-19患者の死亡原因の一部として、静脈血栓塞栓症および動脈血栓症が報告されている。抗凝固療法は、血栓形成を予防し、抗ウイルス性および潜在的な抗炎症性作用も有し、COVID-19患者に有効であることが期待されている。今回の結果を踏まえて著者は、「今回の所見は、COVID-19入院患者の初期治療として、予防的抗凝固療法の実施を推奨するガイドラインを支持する、強力なリアルワールドのエビデンスを提供するものである」と述べている。

COVID-19ワクチンの今と筋注手技のコツ/日本プライマリ・ケア連合学会

 今月より医療者を対象に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が開始された。開始されたワクチンは、ファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)であるが、今後別の種類のワクチンの承認追加も予定されている。  実際、これらワクチンの効果や安全性はどの程度わかっているのであろう。また、現状接種は、筋肉注射による接種であるがインフルエンザの予防接種などで広く行われている皮下注射とどう異なり、接種の際に注意すべきポイントはあるのだろうか。

KRASG12C阻害薬sotorasibの大腸がんに対する成績(CodeBreak100)/日本臨床腫瘍学会

KRASG12C変異は大腸がんの予後不良と関連しているとされる。AMG510(sotorasib)はKRASG12Cを標的とするファーストインクラスの低分子化合物である。 第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、KRASG12C変異陽性の固形がん患者を対象とした多施設共同非盲検CodeBreak 100試験の中から、大腸がん患者に関する結果を、国立がん研究センター東病院の久保木恭利氏が発表した。

統合失調症患者における小児期の心理行動特性~日本のレトロスペクティブ研究

 統合失調症は、初期発達障害のフレームワークに適応することを示唆する科学的エビデンスが、疫学的研究や遺伝学的研究によって報告されているが、将来統合失調症を発症する子供の心理的行動の特徴は、十分に解明されていない。京都女子大学の濱崎 由紀子氏らは保護者による報告を通じて、小児期統合失調症患者に特有の特徴を明らかにするため、検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月26日号の報告。  対象は、DSM-IV-TR基準を満たした20代の統合失調症外来患者54例および性別と年齢をマッチさせた健康対照者192例。すべての対象の6~8歳時の特徴を評価するため、対象者の保護者に対する子供の行動チェックリスト(CBCL)のレトロスペクティブ評価質問票を用いた。小児期統合失調症に特有の心理行動の特徴を推定するため、t検定、ロジスティック回帰、ROC曲線解析を用いた。得られたロジスティック回帰モデルを使用して、CBCLスコアに基づいてリスク予測アルゴリズムのプロトタイプを作成した。

片頭痛予防に対するガルカネズマブの即効性や持続性

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合するヒト化モノクローナル抗体であるガルカネズマブ(GMB)は、成人の片頭痛予防に承認されている薬剤である。皮下注射として、月1回自己投与を行う注射製剤である。米国・イーライリリー・アンド・カンパニーのDulanji K. Kuruppu氏らは、反復性および慢性片頭痛患者におけるGMBの効果と時間経過との関係を報告した。Advances in Therapy誌オンライン版2021年2月5日号の報告。  3つの二重盲検プラセボ対照第III相試験のデータを分析した。反復性片頭痛患者1,773例および慢性片頭痛患者1,113例は、プラセボ群、GMB 120mg群(初回240mg、以後120mg/月)、GMB 240mg群に、2:1:1の割合でランダムに割り付けられた(2016年1月~2017年3月)。効果発現は、GMBがプラセボに対し統計学的に有意な差が認められ、その後維持できた最も早い時点に基づく逐次解析アプローチを用いて決定した。効果の維持は、GMBとプラセボで治療された患者において、個々の患者レベルで50%以上の反応を維持した割合を比較し決定した。治療の中止は、毎月の片頭痛日数のベースラインからの変化に基づき、治療期間後4ヵ月間で決定した。

PSMA標的治療のルテチウム-177、転移のある去勢抵抗性前立腺がんに有効/Lancet

 ドセタキセル治療が無効となった転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)男性の治療において、ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617はカバジタキセルと比較して、前立腺特異抗原(PSA)反応(PSA値のベースラインから50%以上の低下)の達成率が高く、Grade3/4の有害事象の頻度は低いことが、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのMichael S. Hofman氏らが行った「TheraP(ANZUP 1603)試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年2月11日号で報告された。[177Lu]Lu-PSMA-617は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現する細胞にβ線を照射する放射線標識低分子化合物であり、mCRPC患者において抗腫瘍活性と安全性が確認されている。

降圧薬の有害事象メタ解析、急性腎障害や失神が関連か/BMJ

 降圧薬による高血圧治療は、転倒との関連はないものの、軽度の有害事象として高カリウム血症および低血圧と関連し、重度の有害事象として急性腎障害および失神との関連が認められることが、英国・オックスフォード大学のAli Albasri氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月10日号に掲載された。降圧治療の有効性を評価した無作為化対照比較試験のメタ解析は多いが、潜在的な有害性を検討したメタ解析はほとんどない。また、既存のメタ解析は、降圧治療とすべての有害事象の関連に重点を置き、特定の有害事象との関連は明らかにされていないという。

家庭におけるオンラインでの血圧管理は血圧コントロール率を改善する(解説:石川讓治氏)-1358

家庭血圧は診察室血圧よりも優れた心血管イベント発症の予測因子であることが報告されており、わが国においては、高血圧患者の血圧評価において家庭血圧測定が広く行われている。家庭の安定した環境で毎日繰り返し測定された血圧値は、診察時の不安定な血圧値よりも正確な血圧であることがその理由の1つであると考えられている。その一方で、家庭血圧を指標とした血圧管理が、診察室血圧を指標とした血圧管理よりも心血管イベントや高血圧性臓器障害の抑制効果が優れていたことを示した研究は今のところない。家庭血圧と診察室血圧を指標とした血圧管理を比較し、24時間自由行動下血圧モニタリングにおける到達血圧レベルを評価した研究においては、その差はそれぞれの目標血圧レベルの差(家庭収縮期血圧135mmHg vs.診察室収縮期血圧140mmHg:その差5mmHg)に依存していた1)。

うつ病患者の睡眠薬処方パターンと再発への影響~日本のレトロスペクティブ研究

 日本においてうつ病患者数は増加している。うつ病は寛解期であっても、不眠症状が持続することが少なくない。不眠症の薬理学的治療では睡眠薬が使用されるが、うつ病の再発や寛解後に残存する不眠症状に対する影響はよくわかっていない。武田薬品工業株式会社ジャパンメディカルオフィスの山戸 健太郎氏らは、日本の大規模な健康保険レセプトデータベースを用いて、うつ病患者に対する睡眠薬処方パターンおよびうつ病の再発に対する睡眠薬処方パターンの影響を調査した。BMC Psychiatry誌2021年1月13日号の報告。  対象は、うつ病診断後、抗うつ薬と睡眠薬を処方された20~56歳のうつ病患者をJMDCデータベース(2005~18年)より抽出した。抗うつ薬治療を180日超経過した後に中止した患者を1年間フォローアップし、うつ病の再発を評価するため、カプランマイヤー法を用いた。うつ病の再発に対する睡眠薬処方パターンの影響を分析するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。

小児がん患者の悪心嘔吐予防に対するパロノセトロンの有効性/日本臨床腫瘍学会

 小児がん患者での化学療法に伴う悪心嘔吐(CINV)は、催吐性の抗がん剤治療を受けた約70%発現することが報告されているが、研究結果は少ない。第2世代5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンは、とくに遅発期(抗がん剤投与後 24〜120時間)におけるCINV抑制効果が確認されており、本邦では成人での使用にて承認されているが、小児のCINV予防の制吐薬としては承認されていない。

扁平上皮頭頸部がんアジュバント、毎週CDDP+RTに軍配/日本臨床腫瘍学会

 術後再発高リスク因子(切除断端陽性、リンパ節外浸潤)を有する進行頭頸部扁平上皮がんに対する術後補助療法の標準治療は、CDDPを3週ごとに同時併用する化学放射線療法(3wCDDP+RT)である。しかし、毒性の強さ、治療のコンプライアンス、長期入院の必要性、術後の手術部位感染の懸念などから普及せず、毒性の軽い CDDPを毎週投与する化学放射線療法(wCDDP+RT)が頻用されている。ただし、wCDDP+RTのエビデンスは不足しており、標準治療である3wCDDP+RTとの無作為化比較試験も行われていない。