日本語でわかる最新の海外医学論文|page:393

統合失調症患者におけるアセナピンとブレクスピプラゾールの治療継続率

 東京・車庫前こころのクリニックの井上 雄一氏らは、アセナピンとブレクスピプラゾールの治療継続率の比較およびブレクスピプラゾールの臨床効果に影響を及ぼす因子を特定するため、検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2021年3月13日号の報告。  実臨床下で、アセナピン(73例)またはブレクスピプラゾール(136例)を処方した統合失調症患者を対象に、レトロスペクティブ研究を行った。  主な結果は以下のとおり。

アプリでのバランス感覚練習、2年で高齢者の転倒率低下/BMJ

 StandingTallは、アプリケーションを用いて自宅で行うe-ヘルスのバランス感覚練習プログラム。オーストラリア・Neuroscience Research AustraliaのKim Delbaere氏らは、高齢者の自己管理による転倒予防におけるStandingTallの有用性を検討し、1年間では転倒率や転倒者の割合は改善されないものの、2年間継続すると、転倒率や処置を要する転倒の割合が低下する可能性があることを示した。研究の成果は、BMJ誌2021年4月6日号に掲載された。

FDA、ニボルマブ+化学療法による胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの1次治療を承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月16日、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法で、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、PD-L1発現率にかかわらず、進行または転移のある胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの1次治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)に承認されたことを発表した。  この承認は、未治療の進行または転移を有する胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの患者を対象として、ニボルマブとmFOLFOX6またはCapeOXの併用療法を、化学療法(mFOLFOX6またはCapeOX)と比較評価した第III相CheckMate-649試験の結果に基づいたもの。

ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。

産後うつ病や不安神経症のリスク因子

 うつ病や不安神経症は、産後頻繁に発生する疾患であり、早期発見と早期治療が必要とされる。産後うつ病のリスク因子に関するエビデンスは、早期発見につながる可能性はあるものの、決定的なものはこれまでなかった。オランダ・University of TwenteのAngarath I van der Zee-van den Berg氏らは、妊娠前、妊娠中、妊娠後の産後うつ病および不安症のリスク因子の特定を試みた。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月4日号の報告。  ポストアップ研究の介入群1,406例より母親のデータを取得した。

介護施設での抗菌薬の使用状況、CDC調査/JAMA

 2017年、米国の介護施設入居者における抗菌薬の平均使用率は100人当たり8.2人に上り、とくに中心静脈カテーテル使用者(62.8/100人)や導尿カテーテル留置者(19.1/100人)で高率であったことが、米国疾病管理予防センター(CDC)のNicola D. Thompson氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年4月6日号に掲載された。抗菌薬耐性感染症の制御と予防は、公衆衛生学上の優先事項とされる。介護施設は、入居者が抗菌薬耐性菌のコロニー形成や感染のリスクの合流点となるため、抗菌薬耐性の発生源となる可能性がある。一方、米国の介護施設における抗菌薬使用のデータは十分でないという。

わずか1mLの尿で脳腫瘍を判定、99%の正確度/名大

 脳腫瘍は、手足が動かない、言葉が話せないといった神経症状が出現するまでCTやMRI検査を受ける機会がなく、発見時にはすでにかなりの大きさに進行しているケースが多い。しなしながら、進行した脳腫瘍は手術で完全に取り除くことは難しく、いかに腫瘍が小さい段階で発見し、治療を開始するかが肝要である。名古屋大学の夏目 敦至氏ら研究チームは、尿中に含まれるマイクロRNAを測定することにより、99%の正確度で脳腫瘍が診断できる可能性を見出だした。本研究結果は、2021年4月1日付でACS Applied Materials & Interfaces誌オンライン版に掲載された。

難治性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の効果

 スペイン・Hospital Universitari Vall d'HebronのMarta Torres-Ferrus氏らは、難治性片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体の効果について、評価を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2021年3月27日号の報告。  対象は、1ヵ月間に8日以上の頭痛が認められ、3回以上予防薬を服用しなかった片頭痛患者。人口統計学的、医学的情報および片頭痛の病歴を収集した。ベースライン時および12週間後に電子頭痛日誌を用いて患者報告アンケートを実施し、1ヵ月間の頭痛日数、1ヵ月間の片頭痛日数、痛みの強さ(0~3の数値回答)、鎮痛薬の使用に回答した。患者は、改善頻度に応じて、治療反応50%以上、75%以上、100%に分類された。

急性期精神科病棟における音楽療法と鎮静薬使用との関係

 音楽療法は、患者の興奮状態を落ち着かせる手助けとなるだけでなく、全体的な頓服薬の投与を減少させる可能性がある。米国・SUNY Upstate Medical UniversityのTrevor Scudamore氏らは、精神科病棟での興奮のマネジメントにおいて薬理学的な介入の補助または代替として音楽療法が有効であるか、その実現可能性について、検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年3月6日号の報告。  対象は172例。試験期間は、音楽なしの3ヵ月間と音楽のde-escalation(段階的縮小)オプションのある3ヵ月間で構成された6ヵ月間。音楽療法期間中、患者は好みのジャンルを選択し、最大30分間ワイヤレスヘッドホンの提供が行われた。興奮および不安症状に対して投与された頓服薬(経口、舌下、筋注)の数は、薬局の記録より収集した。患者および看護師より、音楽介入に関する自己報告調査を収集した。

ニボルマブ+化学療法の肺がん術前補助療法、pCRを改善(CheckMate-816)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月10日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と化学療法を3サイクル投与する併用療法が、化学療法と比較して、切除可能なStage1b〜3aの非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法として、病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善したと発表。  これは、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、ニボルマブ(またはイピリムマブ)と化学療法の併用を化学療法単独と比較した第III相CheckMate-816試験の結果で、米国がん学会(AACR 2021)で発表されたもの(抄録番号:#5218)。

再発非ホジキンリンパ腫にcopanlisib+リツキシマブが有効/Lancet Oncol

 再発した非ホジキンリンパ腫患者を対象に、PI3K阻害薬であるcopanlisibとリツキシマブの併用療法の有効性と安全性を評価したCHRONOS-3試験の結果が、Lancet Oncology誌4月10日号オンライン版に掲載された。  CHRONOS-3は、世界186施設で行われた多施設共同、二重盲検、無作為化第III相試験。対象はPS2以下、1年以上無増悪かつ無治療、または化学療法不適の場合は6ヵ月以上無治療の成人再発非ホジキンリンパ腫患者で、copanlisib+リツキシマブ群とプラセボ+リツキシマブ群に無作為で割り付けられた。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)だった。

AZ社新型コロナワクチンによる血栓症、血小板減少の原因は?/NEJM

 英・アストラゼネカ社製の新型コロナウイルス感染症に対するアデノウイルスベクターワクチン(ChAdOx1 nCov-19、以下AZD1222)接種後、異常な血栓イベントや血小板減少症の発生が世界各国で相次いで報告されている。今回、ドイツ・グライフスヴァルト大学のAndreas Greinacher氏らがそれらを発症した患者について調査した結果、AZD1222接種者は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を引き起こすHIT抗体(血小板第4因子[PF4]・ヘパリン複合体を抗原として作られる抗体)によって血小板減少症を発症する可能性があることを明らかにした。NEJM誌オンライン版4月9日号掲載の報告。

英国のEHR、COVID-19と心血管疾患の関連を解析可能なリソースに/BMJ

 イングランドではCOVID-19パンデミックを機に、研究者が全国の電子健康記録(EHR)にアクセスできるように、データリソースが改められた。パンデミック当初は認可を受けた研究者であっても、全国のEHRにアクセスはできず、医療や公衆衛生政策をサポートするための分析ができなかったからだという。データセキュリティーとプライバシーを確保し、国民の信頼を損なうことなくCOVID-19と心血管疾患に関する全国的な研究を可能とした新たなEHRのリソースについて、英国・ケンブリッジ大学のAngela Wood氏らがBMJ誌2021年4月7日号で報告している。

StageIII大腸がん、FOLFOXへのセレコキシブ追加は?/JAMA

 StageIIIの大腸がん患者において、標準的な術後化学療法FOLFOXに、3年間のCOX-2阻害薬セレコキシブを追加してもプラセボとの比較において、無病生存(DFS)期間の改善について有意差は示されなかった。米国・Dana-Farber/Partners CancerCareのJeffrey A. Meyerhardt氏らが2,526例の患者を対象に行った無作為化試験「CALGB/SWOG 80702試験」の結果を報告した。これまでにアスピリンやCOX-2阻害薬は、大腸ポリープ・がんのリスク低下と関連していることが観察研究や無作為化試験で示されているが、転移のない大腸がんの治療におけるセレコキシブの効果は明らかになっていなかった。JAMA誌2021年4月6日号掲載の報告。

無常と中道:認知症の人に処方され過ぎる中枢神経作動薬(解説:岡村毅氏)-1377

たとえば90歳の軽度認知症の人から、何もかもが昔と違う、うつになってしまった、「薬をください」と切々と訴えられることがある。そして家族もまた「元気になる薬をください」「専門医でしょ」と訴えたりする。とはいえ病的な「うつ」ではない。医学や精神科への高い期待や信頼を感じる一方で、安直に薬など出しては本人を不幸にしてしまうので、なかなかつらい局面である。さて本論文は、米国のメディケアのデータベースから、認知症をもつ地域在住の高齢者の14%が、中枢神経作動薬の多剤併用状態であるという報告だ。薬剤としては「抗うつ薬」「抗精神病薬」「ベンゾジアゼピン受容体作動薬(睡眠薬、抗不安薬)」の順で多かった。組み合わせとしては「抗うつ薬」「抗てんかん薬」「抗精神病薬」の組み合わせが多かった。

うつ病患者の睡眠に対する運動の影響~メタ解析

 不眠症は、うつ病の発症、経過、再発を予測する因子である。しかし、うつ病における不眠症治療オプションに関するシステマティックレビューは十分に行われていなかった。スイス・バーゼル大学のGavin Brupbacher氏らは、うつ病患者の睡眠に対する運動療法の影響を調査するため、メタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌オンライン版2021年1月23日号の報告。  7,725件をスクリーニングし、13種類の治療にランダム化された17研究(1,645例)を定量的合成に含めた。

小児のブルーライトカット眼鏡、使用を推奨せず/日本眼科学会

 2021年4月14日、日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会は合同で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」と題した声明を発表した。  近年、パソコンやタブレット端末、スマートフォンに触れる時間が長くなっている小児に対してブルーライトカットの眼鏡を奨励する動きがあるが、専門家としてこれに危惧を呈する内容となっている。その主な理由は以下のとおり。

新型コロナワクチン接種、51.7%が副反応に不安/MDV

 メディカル・データ・ビジョン(MVD)は4月13日、キャンサーネットジャパン(CNJ)と共同実施した新型コロナワクチン接種に関するアンケート結果をプレスリリースした。それによると、接種を希望する患者は80.0%で、全回答者のうち51.7%は副反応に不安を抱いていることが明らかになった。  本アンケートはMDVが3月25日~4月5日(CNJは4月6日~4月12日)にウェブを通じて実施、300人から回答を得た。「ワクチン接種に関して感じている不安」について聞いた結果、副反応に関して51.7%と最も多くの人が不安を感じ、次いで、効果が11.7%、供給体制は9.7%、他疾患に対する影響は9.0%だった。

ワクチン接種後アナフィラキシー発症例、その特徴は/厚労省

 2021年2月17日~4月4日までに、日本国内で新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして医療機関から報告されたのは350例。これらの事例について専門家評価が行われ、実際にブライトン分類1~3に該当しアナフィラキシーとして判断されたのは79例であった。4月9日に開催された厚生労働省第55回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会1)では、この詳細が公開された2)。  350例についての専門家評価の結果、ブライトン分類1*が14件(1回目接種:14件)、2が57件(1回目接種:53件/2回目接種:4件)、3が8件(1回目接種:8件)該当したことが報告された。

妊娠中のHIV-1患者に対する、ドルテグラビル含有レジメンの有効性/Lancet

 HIV-1に感染した妊婦に対し、妊娠中に開始したドルテグラビル(DTG)含有レジメンは、エファビレンツ+エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシフマル酸塩レジメン(EFV/FTC/TDF)に対して、分娩時のウイルス学的有効性について優越性を示した。またDTG/FTC/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)レジメンは、有害妊娠アウトカムおよび新生児死亡が最も低頻度であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShahin Lockman氏らが、ボツワナ、ブラジル、インド、南アフリカ共和国、タンザニア、タイ、ウガンダ、米国およびジンバブエの9ヵ国22施設で実施した多施設共同無作為化非盲検第III相試験「IMPAACT 2010/VESTED試験」の結果を報告した。妊娠中の抗レトロウイルス療法(ART)は、母体の健康と周産期のHIV-1感染予防に重要であるが、妊婦に使用されるさまざまなレジメンの安全性と有効性に関するデータは不足していた。Lancet誌2021年4月3日号掲載の報告。