内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:25

2型DMの血糖コントロールなど、予測モデルによる治療最適化で改善/Lancet

 英国・エクセター大学のJohn M. Dennis氏らMASTERMIND Consortiumは、2型糖尿病患者に対する最適な血糖降下療法を確立するために、日常臨床データを用いた5つの薬剤クラスのモデルを開発し、妥当性の検証を行った。その結果、モデルによって予測された最適な治療を受けていない2型糖尿病患者と比較して、最適な治療を受けている患者は、12ヵ月間の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が低く、追加的な血糖降下療法を必要とする可能性が低下し、糖尿病合併症のリスクが減少することが示された。研究の成果は、Lancet誌2025年3月1日号で報告された。

うつ病歴は慢性疾患の発症を早める

 過去にうつ病と診断されたことがある人は、同年代のうつ病歴がない人に比べて中高年期に慢性疾患に罹患している可能性が高く、また、より早いペースで新たな慢性疾患を発症する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。英エディンバラ大学の統計学者であるKelly Fleetwood氏らによるこの研究は、「PLOS Medicine」に2月13日掲載された。Fleetwood氏は、「うつ病歴のある人は、ない人に比べて心臓病や糖尿病などの慢性疾患を発症しやすい」と述べている。  この研究では、UKバイオバンク参加者から抽出した17万2,556人を対象に、UKバイオバンク参加当時および追跡期間中のうつ病歴と慢性疾患との関連が検討された。対象者は、2006〜2010年にUKバイオバンクに参加し(参加時の年齢は40〜71歳)、評価を受けていた。追跡期間は平均6.9年だった。慢性疾患については、血液がん、固形がん、心筋炎、冠動脈性心疾患、脳卒中、1型および2型糖尿病、高血圧、勃起不全、アレルギー性・慢性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、認知症など69種類を対象とした。対象者の17.8%に当たる3万770人がうつ病歴を持っていた。

「善玉」コレステロールは緑内障リスクを高める?

 心臓の健康に良いとされるHDLコレステロール(HDL-C)は緑内障のリスクを上昇させる一方で、心臓の健康に悪いとされるLDLコレステロール(LDL-C)は緑内障リスクを低下させる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。中山大学(中国)中山眼科センターのZhenzhen Liu氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Ophthalmology」に2月4日掲載された。  Liu氏は、「HDL-Cは70年間にわたり『善玉コレステロール』と考えられてきた。しかし、この研究では、高レベルのHDL-Cが必ずしも良好なアウトカムと関連しているわけではないことが示された」と述べている。

脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet

 直接経口抗凝固薬(DOAC)は、心房細動を伴う脳内出血生存者の虚血性脳卒中予防に有効ではあるが、その有益性の一部は脳内出血再発の大幅なリスク増加により相殺されることが示された。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRoland Veltkamp氏らPRESTIGE-AF Consortiumが、欧州6ヵ国75施設で実施された第III相無作為化非盲検評価者盲検比較試験「PRESTIGE-AF試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「これら脆弱な患者集団における脳卒中予防を最適化するには、さらなるエビデンスと無作為化データのメタ解析が必要である。特定の患者に対しては、より安全な薬物療法または機械的代替療法の評価も求められる」と述べている。DOACは、心房細動患者において血栓塞栓症の発症頻度を低下させるが、脳内出血生存者に対するベネフィットとリスクは不明であった。Lancet誌オンライン版2025年2月26日号掲載の報告。

日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?

 日本人の約4人に1人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する何らかの陰謀論を信じているとする調査結果が報告された。旭川医科大学社会医学講座の佐藤遊洋氏、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の田淵貴大氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS One」に12月30日掲載された。収入や保有資産が多い人、正規雇用されている人に陰謀論を信じている人が多いという、海外とは異なる傾向が観察されたとのことだ。  COVID-19パンデミック以降、製薬会社が利益を得るためにウイルスを作成した、世界人口を減らすためにウイルスがばらまかれたといった、さまざまな陰謀論が拡散された。そのような陰謀論、または不正確な情報の流布と支持の高まりのために、社会不安の拡大、あるいは公衆衛生対策への悪影響が生じ得ることが指摘されている。例えば国内では、陰謀論とは異なるが、偏った報道の影響でヒトパピローマウイルスワクチンの積極的勧奨一時中断に至り、子宮頸がん対策が遅延した。よってCOVID-19陰謀論についても、今後への備えとして、国内でそれを信じる人の割合や特徴の傾向を明らかにしておく必要がある。

過敏性腸症候群の精神的苦痛を可視化/川崎医大ほか

 過敏性腸症候群(IBS)は日本人の約10人に1人が罹患するとされ、不登校や休職など日常生活に支障を来すケースも多い。血液検査や内視鏡検査、CT検査などで異常が見つからないことから、周囲に苦痛が理解されにくいといった問題がある。また、IBS患者や機能性ディスペプシア(FD)患者は、不安や抑うつの傾向が高く、心理的ストレスはIBSやFDの病態生理において重要な役割を果たすと考えられている。しかし、心理的ストレス下での脳活動についての詳細な研究は少ないのが現状である。

スタチンは片頭痛予防に有効か?~メタ解析

 近年、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が片頭痛のリスクを低減し、予防治療として有効である可能性が示唆されているが、そのエビデンスは確証されていない。エジプト・Minia大学のHamdy A. Makhlouf氏らの研究チームは、スタチンの片頭痛の予防効果について、システマティックレビューおよびメタ解析で評価した。その結果、スタチンは片頭痛予防に有効であり、片頭痛頻度を有意に減少させることなどが判明した。The Journal of Headache and Pain誌2025年2月3日号に掲載。

「肥満症」というスティグマが診療を遅らせる/リリー・田辺三菱

 日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、2024年12月に持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)について、「肥満症」を効能・効果として国内製造販売承認を取得した。この新たな効能・効果の取得につき、両社の合同で「『肥満症』-正しい理解と治療の重要性」をテーマとしたプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、肥満症の基礎情報、要因、社会的スティグマや診療についてのレクチャーのほか、医療経済の観点から肥満症治療の社会的な意義について講演された。

風邪予防にビタミンDは効果なし?~メタ解析

 ビタミンD補充による急性呼吸器感染症(ARI)予防効果については、2021年に37件のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析で有意な予防効果(オッズ比[OR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.86~0.99)が示されているが、それ以降に1件の大規模試験(1万5,804人)を含む6件の適格なRCTが完了している。そこで、英国・Queen Mary University of LondonのDavid A. Jolliffe氏らがRCTデータを更新し検討した結果、ビタミンD補充によるARI予防効果の点推定値は以前とほぼ同様であったが、統計学的に有意な予防効果がないことが示された。The Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2025年2月21日号に掲載。

高カロリーの朝食はCVD患者のうつ病リスクを低減する

 心血管疾患(CVD)を持つ成人は、朝食を高カロリーにすることでうつ病の発症リスクを低下させられる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。ハルビン医科大学(中国)のHongquan Xie氏らによるこの研究結果は、「BMC Psychiatry」に1月31日掲載された。  研究グループによると、CVDを持つ人は一般集団と比べてうつ病を発症しやすいことに関するエビデンスは増えつつあるという。また、食事を摂取するタイミングは概日リズムに大きく影響し、概日リズムの乱れはうつ病の一因となる可能性も指摘されている。しかしながら、カロリーや主要栄養素の摂取タイミングとCVDを持つ人のうつ病発症との関連については明らかになっていない。