コントロール不良高血圧、lorundrostatが有望/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/07

 

 コントロール不良の高血圧の治療において、プラセボと比較してアルドステロン合成酵素阻害薬lorundrostatは、24時間平均収縮期血圧を有意に低下させ、安全性プロファイルは許容範囲内と考えられることが、米国・Cleveland Clinic FoundationのLuke J. Laffin氏らが実施した「Advance-HTN試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年4月23日号に掲載された。

米国の第IIb相無作為化プラセボ対照比較試験

 Advance-HTN試験は、コントロール不良または治療抵抗性の高血圧の治療におけるlorundrostatの有効性と安全性の評価を目的とする第IIb相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2023年3月~2024年10月に米国の103施設で参加者のスクリーニングを行った(Mineralys Therapeuticsの助成を受けた)。

 年齢18歳以上、2~5種類の安定用量の降圧薬による治療を受けており、診察室血圧が収縮期140~180mmHgで拡張期65~110mmHg、または収縮期血圧を問わず拡張期血圧90~110mmHgの患者に対し、それまでの降圧薬の投与を中止して標準化された降圧薬レジメンを3週間投与した。

 その後、コントロール不良(24時間自由行動下平均収縮期血圧130~180mmHg、平均拡張期血圧>80mmHg)の患者を、lorundrostat 50mgを1日1回、12週間投与する群(安定用量群)、lorundrostat 50mgを4週間投与し、診察室収縮期血圧が130mmHg以上の場合は100mgに増量して8週間投与する群(用量調節群)、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは、24時間平均収縮期血圧のベースラインから12週目までの変化量とした。

2群とも主要エンドポイントが有意に改善

 285例(平均年齢60歳、男性60%、黒人53%)を登録し、安定用量群に94例、用量調節群に96例、プラセボ群に95例を割り付けた。262例が無作為化から4週時の血圧測定を、241例が12週時の血圧測定を完了した。

 無作為化から12週の時点における24時間平均収縮期血圧の最小二乗平均変化量は、安定用量群で-15.4mmHg、用量調節群で-13.9mmHg、プラセボ群で-7.4mmHgであった。プラセボで補正後の血圧変化量は、安定用量群で-7.9mmHg(97.5%信頼区間[CI]:-13.3~-2.6、p=0.001)、用量調節群で-6.5mmHg(97.5%CI:-11.8~-1.2、p=0.006)といずれも有意な改善を認めた。

 2つのlorundrostat群を合わせた188例における、ベースラインから4週目までの24時間平均収縮期血圧のプラセボで補正後の変化量は-5.3mmHg(95%CI:-8.4~-2.3、p<0.001)であり、有意に良好だった。

試験薬関連の重篤な有害事象は3例

 重篤な有害事象は、安定用量群で6例(6%)、用量調節群で8例(8%)、プラセボ群で2例(2%)に発現した。試験薬に関連した重篤な有害事象は、それぞれ2例(2%)、1例(1%)、0例であった。用量調節群の1例が動脈硬化で死亡したが、試験薬との関連はないと判定された。

 カリウム値が6.0mmol/Lを超えた患者は、安定用量群で5例(5%)、用量調節群で7例(7%)であり、プラセボ群には認めなかった。用量の調節を要する推算糸球体濾過量(eGFR)の低下は、それぞれ3例(3%)、7例(7%)、3例(3%)にみられた。

 著者は、「観察された有効性は、アルドステロンが高血圧の病因において重要な役割を果たしているという考え方をより強固なものにする」「スクリーニングを受けた患者の大部分が標準化された降圧薬レジメンにより血圧コントロールを達成したため、無作為化の対象とならなかった。おそらく、コントロール不良の治療抵抗性高血圧が確認された患者のみが無作為化を受けることができたという事実が、黒人の参加者の割合が高かったことに寄与したと考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)