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高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【総論・造血器】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。 本ガイドラインは、2019年の初版以降に蓄積されたエビデンスを踏まえ改訂された。「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020」に準拠し、新規CQの追加や対象領域の拡張を行った。今回の改訂では新たに「Evidence to Decision(EtD)フレームワーク」が導入された点が大きな特徴である。これにより、エビデンスの確実性だけでなく、益と害のバランス、患者の価値観、実行可能性など多面的な要素を考慮した推奨決定のプロセスが可視化された。 総論からは「がん薬物療法を考慮している高齢がん患者に対して、高齢者機能評価とそれに基づくマネジメントの実施は推奨されるか?」「がん薬物療法を考慮している高齢がん患者のがん薬物療法の選択に、高齢者機能評価は推奨されるか?」、造血器からは「初発高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療方針の判断に高齢者機能評価は有用か?」「80歳以上の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してドキソルビシンを含む薬物療法は推奨されるか?」が設定された。総論 Geriatric Assessment(GA:高齢者機能評価)により患者の脆弱性を多面的に評価し、その結果に基づく介入により重篤な毒性の軽減やQOLの改善の可能性が示されている。しかし、初版の総論では以下の2つのCQが並立しており、患者アウトカムを目的としたGAは提案される一方、治療方針を判断する目的のGAは過少治療による不利益の可能性から推奨されていなかった。 (旧)CQ1 高齢がん患者において、がん薬物療法の適応を判断する方法として、高齢者機能評価を実施することを提案する。 (旧)CQ2 高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対して、治療方針の判断には高齢者機能評価を使わないことを提案する。 今回の改訂では、QOLや機能に関わるアウトカムと腫瘍関連アウトカムという視点別に、CQ1-1とCQ1-2に分けて包括的なメッセージを示す構成へと再編した。CQ1-1 がん薬物療法を考慮している高齢がん患者に対して、高齢者機能評価とそれに基づくマネジメントの実施は推奨されるか?推奨:高齢がん患者に対して、がん薬物療法を考慮する際には、高齢者機能評価およびその結果に基づくマネジメントを実施することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 本CQでは、がん薬物療法の適応が考慮されている高齢者に対し、GAとその結果に基づくマネジメントを受けた群(介入群)と受けなかった群(対照群)の患者中心アウトカムを評価した。8件のランダム化比較試験(RCT)を主なエビデンスとして評価を行った。GAとその結果に基づくマネジメントにより、QOLの維持・改善、医師とのコミュニケーション、患者満足度について有意な改善が報告された。介入群では対照群と比較して、一貫してGrade3以上の有害事象の有意な減少傾向を認め、統合解析でも有意な結果であった。重篤な毒性の有意な低下は臨床的に意味が大きく、QOLや満足度など患者中心アウトカムも良好な一方、有害な影響を示す根拠は乏しいと評価された。CQ1-2 がん薬物療法を考慮している高齢がん患者のがん薬物療法の選択に、高齢者機能評価は推奨されるか?推奨:がん薬物療法を考慮している高齢がん患者のがん薬物療法の選択に、高齢者機能評価を実施することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 本CQでは、がん薬物療法の適応が考慮されている高齢者に対し、GAに基づく治療決定を受けた群(介入群)と受けなかった群(対照群)の腫瘍関連アウトカムを評価した。7件のRCTおよび4件の前向き観察研究をもとに評価した。全生存期間(OS)・無増悪生存期間(PFS)・奏効率のいずれも介入群と対照群で有意差を認めなかったものの、介入群では一貫してGrade3以上の有害事象の減少傾向を認め、統合解析でも有意な結果だった。腫瘍関連アウトカムの改善は認めなかったもののOSの明らかな増悪は認めず、毒性低減という臨床的意義を示したと評価された。造血器CQ2 初発高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療方針の判断に高齢者機能評価は有用か?推奨:初発高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療方針の判断に高齢者機能評価を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C DLBCLは発症年齢中央値が約70歳であり、高齢患者が多数を占めている。R-CHOP療法などの標準化学療法により治癒が期待できるが、高齢者には毒性が高く、暦年齢やパフォーマンスステータス(PS)のみでは個体差を正確に評価することが困難である。個人の予備能をより正確に見極めるためにGAの重要性が認識されている。本CQでは、初発高齢者DLBCLを対象に、GAが良好な群(介入群)と不良な群(対照群)のアウトカムについて、GAの有無による直接比較ではなく、EtDフレームワークを用いてGAによって層別化された群で比較して総合的な評価が行われた。文献検索の結果、RCTは該当しなかったが、前向きおよび後ろ向きの観察研究21件が抽出された。GAが良好な群ではOSが優れており、標準治療の適用によって若年者と同程度の治療アウトカムが期待できることが示された。標準治療による有害事象は一定頻度で生じるが適切な対策で完遂可能である一方、GAが不良な群では毒性が重篤化する懸念がある。観察研究のみのためエビデンスの強さは「C(弱い)」に留まると評価されたが、得られる臨床的利益の大きさから、総合的な効果のバランスはGA実施を強く支持している。CQ3 80歳以上の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してドキソルビシンを含む薬物療法は推奨されるか?推奨:80歳以上の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してドキソルビシンを含む薬物療法を行うことを弱く推奨する。ただし、ドキソルビシンのdose intensityを考慮する必要がある。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C DLBCLは標準治療であるR-CHOP療法により、半数程度の治癒が見込まれる。しかし、ドキソルビシンは心毒性が問題となり、心疾患の併存が多い高齢者では、血液毒性や粘膜障害のリスクも相まって使用が躊躇されることがある。そこで本CQでは、80歳以上の未治療DLBCL(日本人含む)を対象に、ドキソルビシンを含むレジメン(R-CHOP、R-miniCHOP、R-THP-COPなど[介入群])とドキソルビシンを含まないレジメン(R-CVP、R-benda、ステロイド単剤、支持療法など[対照群])のアウトカムを評価した。文献検索の結果、ドキソルビシンの有無を直接比較したRCTは該当せず、12件の前向き・後ろ向き観察研究などが採用された。介入群の2年OS率は60〜70%、2年PFS率は50〜60%と良好で、対照群と比較して一貫して優れた治療効果が示された。ドキソルビシンを50%程度に減量した介入研究では、心毒性が2〜5%、治療関連死亡が0〜5%と許容範囲に収まっていた。しかし、通常量を投与した観察研究では、治療関連死亡が20%に達するという報告もあり、投与量に配慮が必要と評価された。

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高齢者機能評価+コミュニケーション支援が高齢がん治療の安全性を改善/日本臨床腫瘍学会

 Webアプリを活用した高齢者機能評価(GA)に基づくマネジメントとコミュニケーション支援を組み合わせたプログラムが、高齢がん患者の健康アウトカムを改善した。同プログラムの有効性を評価する多施設共同無作為化比較試験について、国立がん研究センターがん対策研究所の松岡 歩氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した(2025年米国臨床腫瘍学会・発表演題の再報告)。 高齢がん患者では、栄養状態の低下、抑うつ、社会的孤立、身体機能低下といった加齢に伴う問題が、治療の安全性に大きく影響する。この問題は診療現場で十分に把握・共有されないまま治療が開始されることが多い。米国では、GAを用いて加齢に伴う問題を評価し、医師に共有することで副作用が減少すると報告されている。日本においてはGAの臨床アウトカムへの影響を検証した無作為化試験はなかった。・対象:GAで問題を有する70歳以上の進行・再発消化器がん患者215例・介入群:Webアプリ上でGAを実施し、GAサマリーとGAに基づくマネジメントの提案を提示。質問促進リストを用いたコミュニケーション支援を実施した上で、医師に結果をフィードバック・通常診療群:GAは実施するが結果は患者にも主治医にも共有しない・評価項目:[主要評価項目]:診察時の加齢に関する懸念事項の会話数[副次評価項目]:GAに基づくマネジメント(GAM)実施率、Grade3以上の有害事象、医療利用、QOL、身体機能、生存など 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目である診察時の加齢に関する懸念事項の会話数は、介入群2.95回、通常診療群1.90回で、介入群で有意に増加した(p<0.001)。・GAMの実施率も、介入群34.7%、通常診療群19.5%と、介入群で有意に増加した(p<0.001)。・治療開始後3ヵ月以内のGrade3以上の有害事象発現率は、介入群50.9%、通常診療群66.4%と、介入群で有意な減少を認めた(p<0.05)。 当研究の結果から松岡氏は「高齢がん患者の“見えにくい脆弱性”を可視化して医療者と共有することで、より安全な治療につながる可能性がある。今後はデジタル技術を活用してこのプログラムを自動化することで、全国の医療機関で利用できる仕組みを目指していく」と述べた。

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第308回 致死率の高いマダニ感染症、生存者を苦しめる後遺症とは

INDEX今年、マダニによる国内SFTS発生率が更新か生存者にどんな後遺症が残るのか今年、マダニによる国内SFTS発生率が更新か昨年、報告数が過去最高の191例(速報値)にのぼったダニ媒介感染症の重症熱性血小板減少症候群(略称・SFTS)。国立健康危機管理研究機構が発表する感染症発生動向調査週報の最新データ(2026年第13週[3月23~29日])1)時点でも、すでに全国7県で各1例、合計7例が報告されている。前年の同週までが2例だったことから比べれば、ハイペースである。そして報道によると、この第13週後に熊本県天草市では90代・女性の死亡後のSFTS感染が確認されたという。正直、今年も嫌な予感しかない。生存者にどんな後遺症が残るのかSFTSについては過去の本連載(第286回)でも取り上げたが、国内で確認される感染症の中でも致死率が10~30%と極めて高いのが特徴だ。しかも、病名にある検査値での顕著な血小板減少(10万/mm3未満)以外は、初期症状が発熱、倦怠感、頭痛など非特異的なものであるため、確定診断が必ずしも容易ではない点も厄介である。そして救命できたとしても、その後もしばらく後遺症が続くという研究結果2)が最近明らかにされている。これは中国・河南省信陽市にある中国融通医療健康グループの第154病院の研究チームが、2025年8月のPLOS Neglected Tropical Diseases誌に発表したSFTSサバイバーの前向きコホート研究である。同研究は2010~24年にかけて確認されたSFTSサバイバー1,197例(以下、サバイバー群)の後遺症の有無を発症後6ヵ月おきに24ヵ月目まで追跡したもので、性別・年齢をマッチングさせたSFTS陰性発熱患者188例の対照群を置いて比較したもの。ちなみにサバイバーのうち294例は11年間も追跡調査を行っている。これによると、まず何らかの後遺症が確認された割合は、サバイバー群が62.57%、対照群が51.60%であり、サバイバー群が有意に高い割合だった(p<0.05)。症状別の発症率をサバイバー群と対照群でみると、記憶障害は33.50% vs.22.87%(p=0.005)、関節痛は33.08% vs.22.87%(p=0.008)、脱毛は32.25% vs.25.00%(p=0.066)、視力低下は31.08% vs.22.34%(p=0.019)であり、脱毛を除き、サバイバー群で有意に高い割合を示した。全体として有意差が認められなかった脱毛だが、発症後6ヵ月時点では、サバイバー群33.33% vs.対照群13.75%(調整オッズ比[OR]:4.01、95%信頼区間[CI]:2.01~8.66)、12ヵ月時点では29.37% vs.8.57%(OR:3.13、95%CI:1.10~11.33)と有意差が認められている(p<0.05)。一方、全体での検査値異常については、好酸球減少が9.44% vs.3.72%(p=0.011)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)低下が6.02% vs.1.60%(p=0.018)、LDH上昇が19.38% vs.12.77%(p=0.038)となり、いずれも有意差が認められている。逆にSFTSで典型的な血小板減少は長期的には改善し、両群間で有意差は認められていない。(表)症状別発症率画像を拡大するそしてリスク因子別で見ると、サバイバー群で脳炎を発症した場合は記憶障害と血小板減少、出血症状を発症した場合は、記憶障害、視力低下、MCH低下の発症頻度が対照群と比べ有意に高く、ウイルス量(≧106コピー/mL)が高値だった場合は、多くの症状や検査異常の発症率が対照群に比べ有意に高いこともわかった。つまるところ、SFTS発症時の高ウイルス量を筆頭に、急性期の神経・出血症状の有無が重要な予後指標となるということだ。ちなみに最長で11年間の長期追跡例があることは前出の通りだが、これらの症例では、一部で視力障害や血小板数異常が残っていた事例があったという。つまりSFTSウイルスは神経向性ウイルスの性質が強いとも解釈できる。このような結果を見ると、致死率の高さだけに止まらないこのウイルスの恐ろしさを改めて実感させられる。参考1)国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:感染症発生動向調査週報一覧2)Cui N, et al. PLoS Negl Trop Dis. 2025;19:e0013276.

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体内CAR-T細胞生成による多発性骨髄腫治療、ESO-T01の第I相試験結果/Nat Med

 体内でのCAR-T細胞の生成は、体外培養やリンパ球除去を省略できるため、細胞療法へのアクセスを簡素化・迅速化する可能性がある。今回、再発・難治性多発性骨髄腫の成人患者を対象に、体内でCAR-T細胞を生成するレンチウイルスベクターであるESO-T01の安全性と忍容性を評価した第I相試験の結果を、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのNing An氏らがNature Medicine誌オンライン版2026年3月25日号に報告した。 ESO-T01は、ナノボディ指向性の免疫遮蔽レンチウイルスベクターで、ヒト化抗B細胞成熟抗原(BCMA)CARをコードしている。本試験では、白血球アフェレーシス、体外培養、リンパ球除去化学療法を実施せずに、0.2×109形質導入単位を静脈内に単回投与した。前治療歴の多い男性患者5例(治療ライン中央値:3)が連続して登録され、追跡期間中央値は6.0ヵ月であった。主要評価項目は安全性、忍容性、副次評価項目は有効性、薬物動態、薬力学などであった。 主な結果は以下のとおり。・全例でGrade3以上の有害事象が認められた。・サイトカイン放出症候群が4例(Grade3が3例、Geade2が1例)に認められ、副腎皮質ステロイド、トシリズマブ、支持療法で管理された。・最も多かった毒性は一過性の血球減少および可逆的な肝酵素値の上昇で、Grade2の感染症が3例に認められた。・Grade1の免疫エフェクター細胞関連神経毒性が1例に認められ、骨髄外病変に関連する脊髄圧迫により死亡した。・5例中4例で奏効が得られ、うち3例は厳格な完全寛解であった。・評価可能な奏効例(4例)すべてで、60日目までに微小残存病変陰性(10-5)が確認された。

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日本の成人血液腫瘍の5年純生存率の推移:2000~14年(CONCORD-3)

 日本における成人血液腫瘍患者の5年純生存率(net survival)は2000~14年に全体的に改善し、その改善は高齢患者よりも若年患者においてより顕著であったことが、世界的ながん生存率調査を目的としたCONCORD-3プログラムの日本人データを用いた分析により示された。国立病院機構 四国がんセンターの吉田 功氏らがJapanese Journal of Clinical Oncology誌2026年3月号で報告した。 本研究では、国内16の地域がん登録データから2000~14年に骨髄系またはリンパ球系悪性腫瘍と診断され、2014年12月31日まで追跡された成人患者(15~99歳)のデータを分析した。Pohar-Perme法を用いて年齢層および形態学的サブタイプごとの5年純生存率を推定し、International Cancer Survival Standard(ICSS)の重み付けを用いて年齢を調整した。 主な結果は以下のとおり。・骨髄系腫瘍の5年純生存率は、15~44歳の患者では2000~04年の57.3%から2010~14年の72.3%へ、45~54歳の患者では同期間に41.9%から61.3%へ有意な改善が認められた。・リンパ球系腫瘍では全年齢層で5年純生存率が改善したが、高齢患者における改善はそれほど顕著ではなかった。・骨髄増殖性腫瘍、古典的ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫では、5年純生存率が10%以上改善した。びまん性B細胞リンパ腫および急性骨髄性白血病では、中程度の改善が認められた。

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再発・難治性濾胞性リンパ腫へのエプコリタマブ+R2併用療法のEPCORE FL-1試験、日本人解析を含む最新データ/日本臨床腫瘍学会

 1ライン以上の治療歴を持つ濾胞性リンパ腫に対するエプコリタマブ+R2(レナリドミド+リツキシマブ)療法とR2療法を比較した国際第III相試験であるEPCORE FL-1試験において、規定された2回目の中間解析から得られた、日本人データを含む最新版のデータについて、がん研究会有明病院の丸山 大氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した。エプコリタマブ+R2療法群はR2療法群に比べ、有意に高い全奏効割合(ORR)と無増悪生存期間(PFS)の延長が認められ、日本人集団の追跡期間は短いものの全体集団の結果と一貫していることが示唆された。 本試験は、国際共同第III相無作為化非盲検試験で日本を含む30ヵ国189施設で実施された。1ライン以上の治療歴のあるCD20陽性の再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人患者を対象に、エプコリタマブ+R2群とR2群に無作為に割り付け、最大12サイクル投与した。エプコリタマブは2または3ステップの漸増投与(SUD)レジメンで初期誘導し、その後全量48mgを投与した。サイクル1~3は毎週、サイクル4~12は4週ごとに皮下投与した。主要評価項目はORRおよびPFS、主な副次評価項目は完全奏効割合(CRR)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)および安全性を設定した。データカットオフ時点(2025年3月24日)での追跡期間中央値は14.8ヵ月であった。 主な結果は以下のとおり。・2022年9月~2025年1月に、エプコリタマブ+R2群に243例、R2群に245例が無作為に割り付けられた。そのうち日本人はそれぞれ11例、17例であった。・人口統計学的特性および疾患特性は全体集団、日本人集団とも概ね均衡していた。年齢中央値は日本人集団が全体集団より高く、65歳以上の割合が高かった。全体集団において、2年以内の疾患進行(POD24)が約40%、抗CD20抗体とアルキル化剤の両方に抵抗性を示す患者が37%であった。日本人集団では、エプコリタマブ+R2群のPOD24が73%と高かった。・PFSは、エプコリタマブ+R2群がR2群に比べて有意に良好で、全体集団においてハザード比(HR)は0.21(95%信頼区間[CI]:0.14~0.31、p<0.0001)であり、日本人集団においても追跡期間は短いが全体集団と同様の傾向を示した。サブグループ解析でも、予後良好な背景を持つ患者も含め、エプコリタマブ+R2群が良好であった。・ORRは、エプコリタマブ+R2群95%、R2群79%、CRRはエプコリタマブ+R2群83%、R2群50%と、どちらもエプコリタマブ+R2群が有意に(p<0.0001)高かった。日本人集団においてもエプコリタマブ+R2群が良好であり、ORRとCRRのいずれも100%に達した。・DOR中央値は、エプコリタマブ+R2群は未到達で、R2群と比較したHRは0.19(95%CI:0.12~0.30、p<0.0001)であった。・次治療までの期間(TTNLT)の中央値は、エプコリタマブ+R2群では未到達、R2群では24.3ヵ月であった。・OS中央値は両群で未到達であり、16ヵ月時点の推定OS率はエプコリタマブ+R2群で95.8%、R2群で88.8%であった。・日本人集団における有害事象は、エプコリタマブ+R2群で感染症と好中球減少症の発現率が高かったが、エプコリタマブ中止例はなく、発熱性好中球減少症や致死的な有害事象は報告されなかった。・サイトカイン放出症候群(CRS)は、全体集団において3SUDを受けた133例のうち26%で発現したが、すべて低Gradeで、その後すべて回復した。CRSおよび免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)による中止例はなかった。 丸山氏は、「エプコリタマブ+R2療法は外来投与に適した新しい化学療法フリーの治療であり、本レジメンが2次治療以降の濾胞性リンパ腫における新たな標準治療となることが示唆された」と展望を述べた。

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モスネツズマブとポラツズマブ ベドチン併用療法、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の適応追加/中外

 中外製薬は2026年3月23日、抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体モスネツズマブ(遺伝子組換え)(商品名:ルンスミオ)および微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)(商品名:ポライビー)の併用療法について、「再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫」に対する適応追加の承認を取得したことを発表した。 本承認は、自家造血幹細胞移植の適応とならない再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫に対するモスネツズマブとポラツズマブ ベドチンの併用療法の有効性・安全性を、リツキシマブ、ゲムシタビンおよびオキサリプラチンの併用(R-GemOx)療法(国内未承認)と比較する多施設共同無作為化国際共同第III相試験(SUNMO試験)の成績に基づいている。本試験の中間解析における奏効割合は、R-GemOx群44.1%に対して69.7%、主要解析時における無増悪生存期間は、R-GemOx群3.8ヵ月に対して11.5ヵ月であった。<電子化された添付文書情報の抜粋> ※下線は変更箇所・販売名:ルンスミオ皮下注5mg、ルンスミオ皮下注45mg ・一般名:モスネツズマブ(遺伝子組換え) ・効能又は効果:○以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 高悪性度B細胞リンパ腫○再発又は難治性の濾胞性リンパ腫・用法及び用量:〈再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade3B)〉ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはモスネツズマブ(遺伝子組換え)として、21日間を1サイクルとし、1サイクル目は1日目に5mg、8日目及び15日目に45mg、2サイクル目以降は1日目に45mgを8サイクルまで皮下投与する。・販売名:ポライビー点滴静注用30mg、ポライビー点滴静注用140mg・一般名:ポラツズマブ べドチン(遺伝子組換え) ・効能又は効果:○以下の大細胞型B細胞リンパ腫 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 高悪性度B細胞リンパ腫○再発又は難治性の濾胞性リンパ腫・効能又は効果に関連する注意: 〈再発又は難治性の濾胞性リンパ腫〉十分な経験を有する病理医により、Grade 3Bと診断された患者に投与すること。・用法及び用量: 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)として、1回1.8mg/kg(体重)を3週間間隔で6回点滴静注する。初回投与時は90分かけて投与し、忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

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発熱・感染徴候のない好中球減少症【日常診療アップグレード】第52回

発熱・感染徴候のない好中球減少症問題72歳女性。6日前、尿路感染症に対してトリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)を3日間内服した。全身状態は良好で新たな症状はない。既往歴は鉄欠乏性貧血、高血圧である。内服薬はカンデサルタンのみ。身体診察では、バイタルサインは正常である。その他の所見に異常はない。貧血の経過観察のため、全血球計算(CBC)を実施したところ、白血球減少を認め、WBC 3,000/μL、好中球数 900/μLであった。6日前のCBCでは異常がなかった。原因検索を目的に骨髄穿刺を施行した。

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ロミプロスチムがCITによる化学療法の減量・延期を回避/NEJM

 化学療法を受けた患者で多くみられる化学療法誘発性血小板減少症(CIT)を有する患者に、ロミプロスチムが有効であることが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のHanny Al-Samkari氏らが、14ヵ国で実施した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「RECITE試験」の結果を報告した。CITは出血や相対用量強度の低下と関連し、予後の悪化につながる可能性があるが、広く利用可能な承認薬は存在していなかった。NEJM誌2026年3月12・19日合併号掲載の報告。消化器がん治療中のCIT、ロミプロスチムvs.プラセボの有効性と安全性を検証 RECITE試験の対象は、大腸がん、胃食道がんまたは膵がんに対し病期や治療ラインを問わずオキサリプラチンを含む多剤併用化学療法を受けており、持続性CIT(前サイクルの最低値からの回復期間にかかわらず、試験1日目の血小板数が85×109/L以下)を有し、かつ3サイクル以上の化学療法が予定されている患者であった。 研究グループは、適格患者をロミプロスチム群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けた。ベースラインの血小板数(<50×109/L vs.≧50×109/L)およびがん種で層別化も行った。 主要評価項目は、予定された化学療法の第2および第3サイクルにおいて、CITによる化学療法の用量変更(減量、遅延、休薬または中止)がなかった患者の割合であった。 2019年9月30日~2023年10月24日に165例が登録され無作為化された。主要解析のデータカットオフ日は2024年1月25日、追跡調査の最終来院日は2025年1月9日であった。化学療法の用量変更なし、ロミプロスチム群84%vs.プラセボ群36% 165例(ロミプロスチム群109例、プラセボ群56例)の患者背景は、大腸がん75%、胃食道がん13%、膵がん12%で、ロミプロスチム群の72%、プラセボ群の61%がStageIVであった。 CITによる化学療法の用量変更がなかった患者の割合は、ロミプロスチム群84%(92/109例)、プラセボ群36%(20/56例)で、オッズ比は10.16(95%信頼区間[CI]:4.44~23.72、p<0.001)、リスク比は2.77(95%CI:1.78~4.30、p<0.001)であった。 Grade3以上の有害事象はロミプロスチム群で37%、プラセボ群で22%に、治験責任医師がロミプロスチムまたはプラセボに関連すると判断した有害事象(副作用)はそれぞれ12%および7%に発現した。 主な副作用は悪心(両群とも2%)、頭痛(ロミプロスチム群2%、プラセボ群0%)であった。重篤な副作用、ロミプロスチム、プラセボまたは化学療法の中止に至った副作用、および死亡に至った副作用は認められなかった。ロミプロスチム群でのみ、2例(2%)に血栓塞栓症が発現した。

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再発・難治性の濾胞性リンパ腫治療薬タファシタマブを発売/インサイト・ジャパン

 インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応で、タファシタマブ(遺伝子組換え)(商品名:ミンジュビ)を2026年3月18日に発売したことを発表した。タファシタマブとリツキシマブおよびレナリドミドの併用療法は、再発・難治性のFLに対する日本初のCD19およびCD20の両方を標的とした免疫療法となる。 濾胞性リンパ腫(FL)はわが国で2番目に多いB細胞性非ホジキンリンパ腫の緩徐進行型であるが、根治が困難で初回治療後も再発を繰り返すことが多く、再発のたびに予後が不良となり、約20%が治療開始後2年以内に病勢進行もしくは再発する。タファシタマブは、CD19を標的としたフラグメント結晶化可能領域(Fc)改変ヒト化モノクローナル抗体で、B細胞性腫瘍の細胞膜上に発現するCD19に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性およびアポトーシスを誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。<製品概要>・販売名:ミンジュビ点滴静注用200mg・一般名:タファシタマブ(遺伝子組換え)・効能又は効果:再発又は難治性の濾胞性リンパ腫・用法及び用量:リツキシマブ(遺伝子組換え)及びレナリドミドとの併用において、通常、成人にはタファシタマブ(遺伝子組換え)として12mg/kg(体重)を1日1回点滴静注する。28日間を1サイクルとして、最初の3サイクルは1週間間隔で4回(1、8、15及び22日目)、4サイクル以降は2週間間隔で2回(1及び15日目)投与する。最大12サイクルまで投与を継続する。・薬価:200mg1瓶125,201円・製造販売承認日:2025年12月22日・薬価基準収載日:2026年3月18日・発売日:2026年3月18日・製造販売元:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社

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再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬ベランタマブ マホドチンを発売/GSK

 グラクソ・スミスクラインは、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の適応で、抗BCMA(B細胞成熟抗原)抗体薬物複合体(ADC)であるベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)(商品名:ブーレンレップ)を2026年3月18日に発売したことを発表した。 本剤は骨髄腫細胞の表面にあるBCMAを標的とする日本初のADCで、BCMAに特異的に結合する低フコース化したヒト化IgG1抗体にペイロードとして微小管阻害薬であるモノメチルアウリスタチンFを、プロテアーゼ耐性マレイミドカプロイルリンカーで結合している。わが国では2024年8月に厚生労働省により希少疾病用医薬品に指定され、2025年5月に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を適応として承認された。点滴静注用70mgも2026年2月25日に承認を取得し、発売準備中である。<製品概要>・販売名:ブーレンレップ点滴静注用100mg・一般名:ベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)・効能又は効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫・用法及び用量:ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用投与: 通常、成人にはベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)として、2.5mg/kgを30分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。ポマリドミド及びデキサメタゾン併用投与: 通常、成人にはベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)として、初回は2.5mg/kg、2回目は1.9mg/kgを30分以上かけて4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。・薬価:100mg1瓶1,284,052円・製造販売承認日:2025年5月19日・薬価基準収載日:2026年3月18日・発売日:2026年3月18日・製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社

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高リスクくすぶり型多発性骨髄腫への治療がもたらすベネフィット/J&J

 抗CD38抗体ダラツムマブ(商品名:ダラキューロ)において、2025年11月に高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)における進行遅延の適応が追加され、多発性骨髄腫の診断指標であるCRAB症状(高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨病変)が確認される前に治療を開始することが可能となった。これを受け、2026年2月25日に開催されたJohnson & Johnson(ヤンセンファーマ)の記者説明会において、福岡大学の高松 泰氏がSMMの治療開始基準とその課題を、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏がSMM治療の意義とAQUILA試験の結果を解説した。SMMの診断基準と治療開始時期 多発性骨髄腫は、形質細胞への初期遺伝子異常によって前がん状態であるMGUS(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)になり、2次的な遺伝子異常によりSMMへ、さらに遺伝子異常が重なることで多発性骨髄腫に進展すると考えられている。 かつてMP療法で治療していた時代の試験において、CRAB症状の出現前に治療しても生存期間を延長しなかったことから、CRAB症状の有無でSMMと多発性骨髄腫に分けられ、CRAB症状の出現後(多発性骨髄腫に進行後)に治療開始することが標準治療になった。その後、2014年にIMWG(International Myeloma Working Group)の診断基準が改訂され、CRAB症状がなくとも、進行リスクがきわめて高いバイオマーカー(SLiM:骨髄形質細胞割合≧60%、血清遊離軽鎖[FLC]比≧100、MRIで局所性骨病変2ヵ所以上のいずれか)を満たす患者は、2年以内に80%以上が多発性骨髄腫に進行する可能性が高いため、多発性骨髄腫として治療を開始することになった。 高松氏は、「SMMと診断された場合、その後つらい症状が出現することがわかっているなら、症状出現前に治療を開始して出現しないようにしてほしいと思うのではないか」と述べ、早期の治療開始の意義を強調した。高リスクSMMの適切な抽出のためのリスク層別化の課題 早期の治療介入が適切なSMM患者を選ぶためには、急速に進行する患者を精度高く抽出することが重要になる。これまでMayo Clinic基準(M蛋白量、FLC比、骨髄形質細胞割合の3因子)やPETHEMA基準(骨髄中の異常形質細胞の割合、M蛋白以外のγグロブリン値の2因子)などが提唱されてきたが、両基準でリスク評価が一致する割合は28.6%に留まり、Mayo Clinic基準で低リスクと診断された患者が、PETHEMA基準で高リスクに分類されてしまう例もあったという。 また、次世代シーケンサーによるゲノム解析(MAPK経路、DNA修復経路、MYC変異)によるリスク層別化も可能となっているが、高松氏は、リスク因子として抽出されているゲノム変異の種類が異なる点や実臨床では高額過ぎることを課題として指摘した。現在、世界で主流の分類は、2020年にIMWGで提唱された「血清M蛋白量」「血清FLC比」「骨髄形質細胞割合」「細胞遺伝学的異常」の4因子を用いたリスク分類である。 高松氏は、「CRAB症状出現前に治療を開始したほうが副作用を軽減でき、より安全に治療できる可能性が高くなると考えられるため、早期の進行が予測される患者には、早期に治療介入することは妥当な方法ではないか。ただし、高リスク患者を精度高く抽出する方法を見つけることが今後の課題」とまとめて、講演を終えた。SMM治療におけるShared Decision Makingの重要性 鈴木氏は、症状がないときに治療を開始することについて、副作用と効果、通院回数を考慮し、開始を待つ患者もいるが、IMWG 2020モデルの高リスク患者の多発性骨髄腫への2年進展率が72.5%であると伝えると治療を希望する患者が多いと述べ、治療に際しては、治療選択肢とエビデンス、メリットとデメリットについて患者・家族と共通の理解を持ち、十分に話し合って決めていく「Shared Decision Making(SDM)」が重要であることを強調した。ダラツムマブによる進展抑制効果~第III相AQUILA試験 鈴木氏は、SMM治療におけるダラツムマブの承認の根拠となった国際共同第III相AQUILA試験の結果を紹介した。同試験は高リスクSMM 390例を対象に、ダラツムマブ単独投与(皮下投与、サイクル1~2:週1回、サイクル3~6:2週に1回、サイクル7~:4週に1回)群と経過観察群を比較したものである。高リスクの基準は(1)血清M蛋白30g/L以上、(2)IgA型、(3)IgA、IgM、IgGのうち2種類のuninvolved Ig減少を伴う免疫不全、(4)involved/uninvolved血清遊離軽鎖比が8以上100未満、(5)クローナルな骨髄形質細胞が50%超かつ60%未満で測定可能病変を有する、のうち1つ以上満たす場合としている。この条件について、鈴木氏は「免疫不全の有無をみているのが注目すべき点」と指摘した。 主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)において、ダラツムマブ群は有意な延長を示した(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.36~0.67、p<0.0001)。また、CRAB症状出現を疾患進行(PD)イベントとしたときのPFSも明らかに差が認められた(HR:0.29、95%CI:0.16~0.52)。有害事象は、ダラツムマブ群で肺炎(3.6%)、COVID-19(1.6%)など、経過観察群で敗血症や発熱などが認められた。 日本人集団の5年PFS解析では、ダラツムマブ群が63.1%、経過観察群で40.8%であった(HR:0.25、95%CI:0.10~0.65)。全体集団より日本人集団のほうでHRが小さいことについて、鈴木氏は「体重の違いや患者の治療に対する真面目さもあるのだろう」と考察している。 最後に鈴木氏は、「多発性骨髄腫に対する新薬が次々と開発され、初発例に使用可能になり、MRD陰性も達成し治癒も期待されるようになってきた。さらに機能的治癒だけではなく、発症を遅らせ、場合によっては予防も期待されるようになるまで進んできた」と治療の進歩を振り返り、「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.」(早く行きたければひとりで行け、遠くへ行きたければみんなで行け)という、協力とチームワークの重要性を説くアフリカのことわざを紹介し、「医師、患者、製薬業界の連携によりここまで来れた」と結んだ。

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若年成人のがん、唯一死亡率が増えているのは?

 若年成人におけるがん罹患率の増加を報告する研究は多数存在するが、検出バイアスの影響を受けにくい死亡率ではどうか。50歳未満の人々における主要5大がんの死亡率の変化を検証した研究結果が、JAMA誌2026年2月17日号「Research Letter」に掲載された。 米国がん協会(アトランタ)のRebecca L. Siegel氏らは、米国健康統計センター(NCHS)の死亡証明データから、1990〜2023年に50歳未満でがん死に至った約約127万例を解析した。主要5大がん(大腸がん、肺がん、乳がん、白血病、脳腫瘍)を中心に、年間死亡数および10万人当たりの年齢調整死亡率の推移を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1990~2023年に、米国における50歳未満のがん死亡数は計126万7,520例(女性53%)で、年齢調整死亡率は10万人当たり25.5から14.2へと、44%減少した。・2014~23年の年間平均死亡率増減の平均は、脳腫瘍-0.3%(95%信頼区間[CI]:-0.6%~0.0%)、乳がん-1.4%(-1.7%~-1.1%)、白血病-2.3%(-2.3%~-2.2%)、肺がん-5.7%(-7.2%~-4.2%)であった。・大腸がん死亡率のみが2005年以降、年率1.1%(95%CI:0.9%~1.3%)増加しており、1990~94年のがん死因の5位から、2023年には1位となった。・一方、肺がんは1位から4位、白血病は3位から5位に順位を下げた。乳がんは全体では2位、女性では1位のままであった。子宮頸がんは研究期間を通じて減少を続けたものの、1990年と2023年ともに女性のがん死因の3位であった。・男性の順位は全体の傾向を反映していたが、乳がんに代わって1990年には非ホジキンリンパ腫(4位)、2023年には膵臓がん(5位)が入った。 研究者らは、「米国における50歳未満の人々のがん関連死因の上位では、大腸がんを除くすべてのがんで死亡率が低下した。乳がんと白血病は罹患率が増加しているにもかかわらず、死亡率は減少した。大腸がんのみ死亡率が増加している原因はさらなる研究が必要だが、過去の大腸がん検診の推奨開始年齢が50歳だったため、若年者の受診率が低いことは問題だ。若年発症大腸がんは約4分の3が進行期で診断されており、早期発見の重要性が一段と高まっている。現在、検診の推奨開始年齢は45歳に引き下げられたが、遺伝などのリスク要因がある場合や、血便や腹痛などの自覚症状がある場合は、さらに若い年齢からの受診を考慮すべきだ」としている。

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持効性注射剤ART、HIV患者の服薬アドヒアランス向上に寄与/NEJM

 服薬アドヒアランスに課題のあるHIV感染者において、持効性注射剤カボテグラビル・リルピビリンの月1回投与は、標準的な経口抗レトロウイルス療法(ART)よりもレジメン失敗リスクの低減に関して優れることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のAadia I. Rana氏らACTG A5359 LATITUDE Trial Teamによる非盲検無作為化試験の結果で示された。経口薬の服薬アドヒアランスに課題のあるHIV感染者における、持効性注射剤ARTの無作為化試験は不足していた。NEJM誌2026年2月26日号掲載の報告。ARTへの順守が不十分なHIV感染者を対象に、持効性注射剤ARTと経口ARTを比較 本試験の対象は、ARTへの順守が不十分(HIV-1 RNA値が持続的に200コピー/mL超または追跡不能)なHIV感染者であった。 被験者は、最長24週間のアドヒアランスサポート、条件付き経済的インセンティブ、および経口ARTによる標準治療を受けた(step1)。step1で、HIV-1 RNA値が200コピー/mL以下であった被験者は、経口導入療法の有無にかかわらず、標準治療を継続する群(標準治療群)または持効性注射剤カボテグラビル・リルピビリンの月1回投与に切り替える群(持効性注射剤ART群)に1対1の割合で無作為に割り付けられた(step2)。 主要アウトカムはレジメン失敗で、ウイルス学的失敗(HIV-1 RNA測定値が2回連続して200コピー/mL超)またはstep2の期間中における治療中止と定義した。48週までの累積レジメン失敗率、22.8%vs.41.2%で有意な差 2019年3月28日~2024年2月12日に、米国内33施設で適格患者453例がstep1に登録された。年齢中央値は40歳、29%が出生時女性で、63%が黒人だった。14%が注射剤を現在または過去に使用していたことを報告した。 step2にはstep1を完遂した306例が登録され、152例が持効性注射剤ART群に、154例が標準治療群に無作為化された。 追跡期間中央値48週後の事前規定の解析が行われた時点での副次アウトカムにおいて、持効性注射剤ART群の標準治療群に対する優越性が示されたため、step2の無作為化は早期に中止された。 48週までの累積レジメン失敗率は、持効性注射剤ART群22.8%、標準治療群41.2%であった(群間差:-18.4%ポイント、98.4%信頼区間[CI]:-32.4~-4.3、p=0.002)。 有害事象の累積発現率は、持効性注射剤ART群43.5%、標準治療群42.4%であった(群間差:1.1%ポイント、95%CI:-12.7~15.0)。耐性関連変異の発現は、ウイルス学的失敗が確認された各群2例で報告された。

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濾胞性リンパ腫、R-CHOP療法の15年PFS(SWOG S0016)/JAMA Oncol

 濾胞性リンパ腫(FL)に対する、CHOP(シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン/ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン/プレドニゾロン)ベースの化学免疫療法後の長期寛解および治癒の可能性を評価したSWOG S0016試験の15年間の追跡データを、米国・Fred Hutch Cancer CenterのMazyar Shadman氏らが報告した。この2次解析の結果、進行期FL患者の一部がリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)により治癒を達成可能であり、再発率が時間経過とともに低下することが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2026年2月26日号に掲載。 本試験は、全米の大学病院および地域医療機関で実施された多施設共同試験で、未治療の進行期FL患者が登録された。治癒モデリング(治癒した患者の割合を推定するモデル化)は、S0016試験期間中のFL治癒率を推定するため背景死亡率を組み込んで実施した。患者登録は2001年5月~2008年10月、追跡期間中央値は15.5年(四分位範囲:13.6~16.9)、2025年6月に解析した。患者をリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)群またはCHOP後に放射免疫療法(RIT)を追加するCHOP-RIT群に無作為に割り付けた。主要評価項目は15年無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)、副次評価項目は治癒モデリングなど。 主な結果は以下のとおり。・最終解析には適格患者531例(女性46%、年齢中央値53歳)が組み入れられ、R-CHOP群267例、CHOP-RIT群264例であった。・15年OSは70%で両群間に有意差はなく、15年PFSは40%(95%信頼区間:36.0~44.7)であった。・15年PFSはCHOP-RIT群が47%でR-CHOP群の34%と比較して優越性を示した(p=0.004)。・治癒モデルでは全体治癒率が42%と推定され、FL国際予後指標スコアが低く、β2ミクログロブリン値が正常な症例で最も高い治癒率が観察された。・再発率は、最初の5年間では6.8%、15~20年では0.6%と、時間経過とともに大幅に減少した。 著者らは、「この知見はFLの理解と治療アプローチにおけるパラダイムシフトを表し、患者との初回相談や将来の研究戦略に影響を与えるもの」としている。

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CAR-T liso-cel、再発・難治性辺縁帯リンパ腫に有効/Lancet

 再発または難治性の辺縁帯リンパ腫(MZL)患者において、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、商品名:ブレヤンジ)は持続的な高い奏効率を示し、安全性プロファイルは管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのM. Lia Palomba氏らが、米国、カナダ、欧州、日本の30施設で実施した国際共同第II相試験「TRANSCEND FL試験」におけるMZLコホートの主要解析結果を報告した。再発または難治性のMZLに対する持続的で深い奏効を示す有効な治療法は、いまだ確立されていない。著者は、「今回の結果は、再発または難治性MZLに対する新たな治療選択肢としてリソカブタゲン マラルユーセルを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年2月12日号掲載の報告。2レジメン以上の治療歴がある再発・難治性MZL患者が対象 研究グループは、少なくとも1レジメンの抗CD20抗体とアルキル化剤による併用療法を含む2レジメン以上の全身療法を受けた再発または難治性のMZL(スクリーニング前6ヵ月以内に組織学的に確認)成人患者に、リソカブタゲン マラルユーセル(CAR発現生T細胞100×106個)を投与した。 リソカブタゲン マラルユーセルの製造中は、必要に応じて病勢コントロールのためのブリッジング療法は可とした。ブリッジング療法を実施した場合は、リンパ球除去化学療法開始前にCTによる測定可能病変の再評価を必須とした。 主要エンドポイントは、Lugano分類(2014)に基づきCTにより独立評価委員会が判定した奏効率(ORR)で、帰無仮説は≦50%とした。ORRは95%、24ヵ月奏効持続割合は89% 2020年11月11日~2023年8月24日に77例が登録され、白血球アフェレーシスが実施された。このうち67例にリソカブタゲン マラルユーセルが投与され、ブリッジング療法後のCTによる再評価がなかった1例を除く66例が有効性解析対象集団となった。 67例の患者背景は、年齢中央値が62歳(四分位範囲[IQR]:57~71)で、MZLのサブタイプは節性MZLが32例(48%)、脾MZLが18例(27%)、節外性-粘膜関連リンパ組織MZLが17例(25%)であり、前治療レジメン数中央値は3(IQR:2~4)であった。 追跡期間中央値24.1ヵ月において、ORRは95%(63例)(95%信頼区間[CI]:87.3~99.1)であり、主要エンドポイントは達成された(片側p<0.0001)。 副次エンドポイントである奏効期間は、中央値に未到達で、24ヵ月奏効持続割合は89%(95%CI:72.4~95.6)であった。 治療中に発現した有害事象は、67例全例に認められた。Grade3のサイトカイン放出症候群ならびに神経学的イベントはそれぞれ3例(4%)に発現が認められた(両群ともGrade4~5の事象はなし)。Grade3以上の感染症は11例(16%)にみられ、6例(9%)は投与終了後90日以内の発症で、7例(10%)は同90日後以降の発症であった。

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がん研究、約10%が不正な「ペーパーミル製論文」か/BMJ

 ペーパーミル(論文工場)は、がん研究論文において深刻かつ拡大する問題であり、低インパクトファクターの雑誌に限った問題ではないことが、フランス・L'Institut AgroのBaptiste Scancar氏らが行った機械学習モデルの構築・検証およびスクリーニングの結果で示された。著者は、「ペーパーミルの問題に対処するためには、関係者全体でこの課題を共有し行動を起こすことが不可欠である」とまとめている。BMJ誌2026年1月29日号掲載の報告。ペーパーミル製論文2,202報を用いて機械学習モデルを開発 研究グループは、撤回論文のデータベースであるRetraction Watchにおいて「ペーパーミル」と分類された撤回済み論文2,202報を用い、論文タイトルと抄録を入力したBERT(bidirectional encoder representations from transformers)ベースのテキスト分類モデルを学習させた。内部検証の後、画像整合性に関する専門家が収集した独立データによる外部検証を実施し、PubMedに収載された1999~2024年のがん研究原著論文264万7,471報を対象にスクリーニングを行った。 主要アウトカムはモデルの分類精度で、撤回されたペーパーミル出版物と類似すると判定された論文(フラグ付き論文)の割合とその95%信頼区間(CI)を評価した。また、時系列・国別・出版社別・がん種別・研究領域別の分布、ならびに高インパクトファクターの雑誌(上位10%)における割合も調べた。1999~2024年のがん研究原著論文の約10%がペーパーミル、最も多いのは中国 モデルの精度は内部検証で0.91、外部検証で0.93、感度はいずれも0.87、特異度はそれぞれ0.96、0.99を達成した。 がん研究原著論文に適用したところ、264万7,471報中26万1,245報がフラグ付けされ、この数は全がん研究原著論文の9.87%(95%CI:9.83~9.90)に相当した。 フラグ付き論文数は、1999~2024年に全体およびインパクトファクター上位10%の雑誌の両方で著明かつ急速に増加し、年間フラグ付き論文数は1999~2022年に指数関数的増加傾向を示した。フラグ付き論文の割合は2000年代初頭には約1%で推移したが、2020年代初頭までに年間がん研究論文総数の15%超(2万6,457/17万1,656報)まで増加した。 国別の解析では、フラグ付き論文の割合が最も高かったのは中国で、同国のがん研究論文全体の36%を占めた(17万7,907/49万7,672報)。 出版社別の解析では、フラグ付き論文の割合が最も高かったのは、Verduci Editore発行のEuropean Review for Medical and Pharmacological Sciences誌で約67%(2,834/4,199報)に上った。大手出版社(Springer Nature、Elsevier、John Wiley and Sonsなど)はフラグ付き論文の割合は比較的低い(約10%)ものの、絶対数は多かった。 がん種別・研究領域別では、フラグ付き論文の割合は胃がんが最も多く(22%)、骨がん(21%)、肝がん(20%)の順で続き、研究領域としてはがん生物学・基礎研究分野が13%超と最も高く、治療開発・評価ならびに診断・予後領域で10%を超えていた。

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リツキサン、自己免疫性溶血性貧血の適応追加/全薬工業・中外

 全薬工業および中外製薬は、共同販売を行っている抗CD20モノクローナル抗体のリツキサン点滴静注100mg/同500mg(一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え))について、2026年2月19日、「自己免疫性溶血性貧血」の適応追加の承認を取得したことを発表した。 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)に対する適応追加は、日本血液学会および日本小児血液・がん学会より開発要望が提出され、2025年7月4日の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の評価を経て、同年7月31日の薬事審議会医薬品第一部会で公知申請を行って差し支えないと正式に決定された。これを受け、全薬工業が同年8月29日に公知申請を行い、今回の承認取得に至った。なお、第一部会で決定された7月31日付けで薬事承認を待たずに保険適用となっている。 AIHAは、自己抗体が体温(37℃)近くで反応する温式AIHAと、体温以下の低温条件で反応する冷式AIHA(寒冷凝集素症および発作性寒冷ヘモグロビン尿症)に大別される。温式AIHAでは約80%で副腎皮質ステロイド薬で改善がみられるが、再発が多く、長期投与が必要であり、再発・難治例では脾臓摘出術が行われている。また、寒冷凝集素症では保温が最も基本的な治療法だが、貧血症状、輸血依存、末梢循環障害などの重篤な症状を伴う場合もある。これらの患者に対する治療選択肢の1つとして、国内外の診療ガイドラインではリツキシマブによる治療が推奨されている。 リツキシマブは、造血幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するCD20抗原に特異的に結合する抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を免疫系を用いて攻撃し細胞を傷害する。AIHAでの自己反応性B細胞の活性化や自己抗体の出現に至る病因は十分に解明されていないが、温式AIHAおよび冷式AIHAのいずれも自己抗体の出現が共通して認められることから、リツキシマブによるB細胞除去を介した治療効果が期待されるという。

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