高齢者機能評価+コミュニケーション支援が高齢がん治療の安全性を改善/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/14

 

 Webアプリを活用した高齢者機能評価(GA)に基づくマネジメントとコミュニケーション支援を組み合わせたプログラムが、高齢がん患者の健康アウトカムを改善した。同プログラムの有効性を評価する多施設共同無作為化比較試験について、国立がん研究センターがん対策研究所の松岡 歩氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した(2025年米国臨床腫瘍学会・発表演題の再報告)。

 高齢がん患者では、栄養状態の低下、抑うつ、社会的孤立、身体機能低下といった加齢に伴う問題が、治療の安全性に大きく影響する。この問題は診療現場で十分に把握・共有されないまま治療が開始されることが多い。米国では、GAを用いて加齢に伴う問題を評価し、医師に共有することで副作用が減少すると報告されている。日本においてはGAの臨床アウトカムへの影響を検証した無作為化試験はなかった。

・対象:GAで問題を有する70歳以上の進行・再発消化器がん患者215例
・介入群:Webアプリ上でGAを実施し、GAサマリーとGAに基づくマネジメントの提案を提示。質問促進リストを用いたコミュニケーション支援を実施した上で、医師に結果をフィードバック
・通常診療群:GAは実施するが結果は患者にも主治医にも共有しない
・評価項目:
[主要評価項目]:診察時の加齢に関する懸念事項の会話数
[副次評価項目]:GAに基づくマネジメント(GAM)実施率、Grade3以上の有害事象、医療利用、QOL、身体機能、生存など

 主な結果は以下のとおり。

・主要評価項目である診察時の加齢に関する懸念事項の会話数は、介入群2.95回、通常診療群1.90回で、介入群で有意に増加した(p<0.001)。
・GAMの実施率も、介入群34.7%、通常診療群19.5%と、介入群で有意に増加した(p<0.001)。
・治療開始後3ヵ月以内のGrade3以上の有害事象発現率は、介入群50.9%、通常診療群66.4%と、介入群で有意な減少を認めた(p<0.05)。

 当研究の結果から松岡氏は「高齢がん患者の“見えにくい脆弱性”を可視化して医療者と共有することで、より安全な治療につながる可能性がある。今後はデジタル技術を活用してこのプログラムを自動化することで、全国の医療機関で利用できる仕組みを目指していく」と述べた。

(ケアネット 細田 雅之)