「えっ!こんなに高く売れるの!?」、専任契約前の「見せ値」に注意【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第24回

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公開日:2021/08/23

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第24回 「えっ!こんなに高く売れるの!?」、専任契約前の「見せ値」に注意

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

医業承継案件を仲介する仕事は、不動産の仲介と似ている部分があります。それは、まず売り手から「専任契約」を獲得するための営業に注力する、という点においてです。

専任契約は、医業承継の仲介業者を1社に絞って買い手探しを行うことです。仲介業者にとってはこの専任契約によって他社に先を越される可能性がなくなり、営業的に大きなメリットがあります。

一方、売り手から見ると、この専任契約にはメリットとデメリットの双方があります。

【メリット】

専任契約を結んだ仲介業者が自院の案件に注力する。他社に成約される可能性がなくなって成約率が上がるため、非専任契約の案件よりも優先して取り組む。

【デメリット】

専任契約中は他社に依頼ができない。専任契約をした仲介業者の力量が低い場合には、承継が失敗に終わるリスクがある。

そして、この専任契約を締結するために、多くの仲介業者が行っているのが「最初に設定する売却額を高くする」という手法です。売り手は「そんなに高い値段で売ってくれるのか!」と期待するあまり、仲介業者を選択する際のほかの重要な比較軸を忘れてしまうのです。こうした点も不動産の売買と似ているのではないでしょうか。

こうしたいわゆる「見せ値」で専任契約を獲得した仲介業者は、その後に「もう少し売却額を下げましょう」と提案をします。もちろん、相場並みの売却額に設定していたものの相手が見つからないので売却額を下げる、という提案は仲介業者の通常業務の範囲であり、問題はありません。注意すべきは、契約前にあり得ないような高額な売却額を設定しておいて、専任契約を結んだ後から大きく下げる、という悪質なケースです。

売り手の方には、ぜひとも「売却額以外」の仲介業者を選ぶ基準を知っていただきたいと思います。

私たちは、医業承継の仲介において、最も重要な点は「成約率」だと考えています。適切な価格を提示し、適切な買い手を紹介するからこそ、成約率が向上するのです。専任契約を持ち掛けられた際は、ぜひこうした多角的な視点をもって、業者を比較検討してください。

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師22万人(2023年10月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

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