「売れなければ閉じればいい…」、閉院にいくらかかるかご存じですか?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第21回

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公開日:2021/07/12

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第21回 「売れなければ閉じればいい…」、閉院にいくらかかるかご存じですか?

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

診療所承継の相談を受けていると「まあ、売れなければ閉じますよ」とおっしゃる方がいます。ですが、実際のところ閉院というのは、そんなに簡単にできるものではありません。私たちも「閉院しようと思ったが、費用や労力がかかるので承継に切り替えたい」という逆の立場の方から相談を受けることがあります。

閉院作業の何が大変なのでしょうか。まずは、今の患者さんを他院へ引き継ぐことです。通い慣れた患者さんを、それぞれの状況に見合った医療機関に紹介するのは手間暇のかかる仕事です。患者のレセプトは5年間保管する必要があり、その管理方法も決めなければなりません。テナントで開業していた場合、不動産の契約次第ですが、多くの場合は退去時に内装を原状復帰する必要があります。医療機器を廃棄するにも費用がかかりますし、とくにテナントをスケルトンに戻すのには300~600万円程度といった多額の費用を要するため、注意が必要です。

医業承継と閉院で、かかる費用を比較してみましょう。

<医業承継の場合>

  • (1)譲渡金:2,000万円(仮)
  • (2)医業承継の仲介手数料:▲520万円
  • (3)テナントのスケルトン費用:▲0円(そのまま買い手が利用)
  • (4)その他諸経費:▲50万円 ※テナント仲介契約費など
  •  計:1,430万円

<閉院する場合>

  • (1)テナントのスケルトン費用:▲300万円
  • (2)その他諸経費:▲100万円 ※医療機器廃棄費など
  •  計:▲400万円

上記のとおり、金銭的なメリットは医業承継が勝ることがわかります。閉院を検討する際にも医業承継などその他の方法と、労力、費用、得られる対価などを比較し、そのうえで判断することをお勧めします。

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師22万人(2023年10月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

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