小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

インフルエンザでも後遺症が起こり得る

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状、いわゆるlong COVIDでは、さまざまな症状が、数週間や数カ月間、時には何年もの間、続く可能性があることは広く知られている。こうした中、季節性インフルエンザ(以下、インフルエンザ)でも長期間にわたって症状が持続する「long Flu(ロング・フルー)」が起こり得ることが、米セントルイス・ワシントン大学の臨床疫学者Ziyad Al-Aly氏らが実施した研究で示された。詳細は、「Lancet Infectious Diseases」に12月14日掲載された。

若年期のテレビ視聴時間が45歳時のメタボリックシンドロームと関連

 小児期から青年期にかけてテレビの平均視聴時間が長い人は、45歳時点でメタボリックシンドローム(MS)を有している確率が高まるという研究結果が、「Pediatrics」8月1日号に掲載された。  オタゴ大学ダニーデン校医学部(ニュージーランド)のNathan MacDonell氏とRobert J. Hancox氏は、1972年および1973年に、ニュージーランドのダニーデンで生まれた住民ベースの出生コホートデータを用い、小児期から青年期のテレビ視聴時間と45歳時点のMSとの関連を調べた。対象者が5歳、7歳、9歳、11歳、13歳、15歳および32歳になった時点で、対象者の親または対象者自身から平日のテレビ視聴時間を尋ねた。

高校生のがん患者に必要な教育支援とは? 1月13日セミナー開催

 神奈川県立こども医療センターが、同センターの小児がん相談支援室主催にて、高校生のがん患者の教育支援に関するセミナーを開催する。  「長期治療が必要な高校生の教育保障を考える2023~好事例から考える、それぞれの支援者ができること~」と題した本セミナーでは、高校生の教育保障をテーマに、医師、神奈川県教育委員会、高等学校教諭、高等学校学校長がそれぞれの立場から、事例や具体的な取り組みなどについて説明する。

抗ウイルス薬が1型糖尿病患児のインスリン分泌能低下を抑制する可能性

 1型糖尿病を発症してからあまり時間が経過しておらず、インスリン分泌がまだ残存している小児に対して抗ウイルス薬を投与すると、インスリンを産生する膵臓のβ細胞の保護につながる可能性のあることが報告された。オスロ大学病院(ノルウェー)のIda Maria Mynarek氏らの研究によるもので、第59回欧州糖尿病学会(EASD2023、10月2~6日、ドイツ・ハンブルク)で発表されるとともに、「Nature Medicine」に10月4日掲載された。  1型糖尿病は、インスリンを産生する膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンを分泌できなくなり、インスリン療法の絶対的適応となる病気。ウイルス感染を契機に異常な自己免疫反応が生じて、β細胞が破壊されることが発症の一因と考えられている。例えば、エンテロウイルスというウイルスの感染と1型糖尿病発症の関連などが報告されている。Mynarek氏らは、エンテロウイルス感染症の治療薬として開発されている抗ウイルス薬(pleconaril)と、ウイルス性肝炎の治療などに実用化されているリバビリンとの併用により、診断後間もない1型糖尿病患児のβ細胞機能を保護できるか否かを検討した。

テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。  主な結果は以下のとおり。

麻疹患者が世界的に急増、2022年の死者数は13万6,000人に

 麻疹(はしか)の予防接種率が数年にわたり低下し続けた結果、2021年と比較して、2022年には麻疹の患者数が18%、死亡者数が43%増加したことが、世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)が「Morbidity and Mortality Weekly Report」11月17日号に発表した報告書で明らかにされた。この報告書によると、2022年の麻疹患者数は900万人、死亡者数は13万6,000人と推定され、そのほとんどは小児であったという。  CDCの世界予防接種部門のディレクターであるJohn Vertefeuille氏は、「麻疹のアウトブレイク(突発的な発生)と死亡者数の増加は驚異的であるが、残念ながら、ここ数年の麻疹ワクチンの接種率の低下に鑑みると、予想された結果ではある」とCDCのニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「場所を問わず、麻疹患者の発生は、ワクチン接種が不十分なあらゆる国や地域社会に危険をもたらす。麻疹の発生と死亡を予防するためには、緊急かつ的確な取り組みが重要となる」と語る。

手袋をしたままのアルコール擦式消毒、効果は?

 世界保健機関(WHO)が推奨する5つのタイミング(患者に触れる前、清潔/無菌操作の前、体液に曝露された可能性のある場合、患者に触れた後、患者周辺の環境や物品に触れた後)で手袋をしたままアルコール擦式消毒を行うことは、ゴールドスタンダードである手袋の交換と比較すると効果は劣ったが、試験参加者が通常行っている対応と比較すると大幅に汚染を減少させた。米国・メリーランド大学のKerri A. Thom氏らによるInfection Control & Hospital Epidemiology誌オンライン版2023年11月23日号の報告。  著者らは、成人および小児の外科、中間治療、救急治療ユニットを有する4つの病院の医療従事者を対象に、混合研究法を用いた多施設共同無作為化比較試験を実施した。参加者は介入群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋の上からアルコール消毒し、手をこする)、ゴールドスタンダード(GS)群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋を外し、手指衛生を実施し、新しい手袋を着用する)、通常対応群(参加者が通常行っているとおりに手指衛生・手袋の交換を行う)の3群に無作為に割り付けられ、総コロニー数および病原性細菌の有無を評価。GS群と介入群および通常対応群と介入群が比較された。

幼児期初期の自閉症をAIが高精度で診断

 米ルイビル大学の研究グループが、特殊なMRI画像から生後24カ月から48カ月の幼児の自閉症を98.5%の精度で診断する人工知能(AI)システムを開発したと発表した。同大学神経学教授で米ノートン小児自閉症センター所長のGregory N. Barnes氏らによるこの研究結果は、北米放射線学会年次総会(RSNA 2023、11月26〜30日、米シカゴ)で発表された。  この研究グループの一員である同大学のMohamed Khudri氏は、「われわれの開発したアルゴリズムは、自閉症の子どもと正常に発達している子どもの脳のパターンを比べて異なるところを見つけ出すように訓練されており、その結果に基づいて自閉症かどうかを診断するものだ」と述べている。

小児期の不十分なケアや過保護が成人後の糖尿病に関連

 子どもの頃に両親から十分なケアを受けていなかったり、過保護な環境で育てられたりすることと、成人期の糖尿病リスクとの関連を示唆する研究結果が報告された。九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の柴田舞欧氏らが、久山町研究参加者のデータを横断的に解析した結果であり、詳細は「BMC Endocrine Disorders」に10月12日掲載された。  十分でないケアまたは過保護といった「不適切な養育」が、成人後の肥満などと関連のあることが既に報告されている。ただし、不適切な養育と糖尿病の関連の有無はよく分かっていない。柴田氏らはこの点について、日本を代表する地域住民対象疫学研究である「久山町研究」のデータを用いて検討した。

18歳未満の家族性高コレステロール血症への診断アプローチは?/Lancet

 世界では毎年約45万例の子供が家族性高コレステロール血症を患って誕生しているが、家族性高コレステロール血症の成人患者のうち、現行の診断アプローチ(成人で観察される臨床的特徴に基づく)により18歳未満で診断されるのは2.1%にすぎないという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKanika Inamdar Dharmayat氏らの研究グループ「European Atherosclerosis Society Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration」らは、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)の小児・思春期患者の臨床的特性を明らかにする検討を行い、成人で観察される臨床的特徴が小児・思春期患者ではまれで、検出には低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値測定と遺伝子検査に依存せざるを得ないことを明らかにした。しかし、世界の医療水準は画一ではないことを踏まえて、「遺伝子検査が利用できない場合は、生後数年間のLDL-C値測定の機会とその数値の使用率を高められれば、現在の有病率と検出率のギャップを縮めることができ、脂質低下薬の併用使用を増やして推奨されるLDL-C目標値を早期に達成できるようになるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年12月12日号掲載の報告。