小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

チームスポーツは子どもの脳に大きな効果をもたらす

 小児期のチームスポーツへの参加には、子どもの頭脳に明晰さをもたらす特別な力があるかもしれない。サッカーやバレーボールのチームに所属している子どもは、スポーツをしない子どもや個人スポーツしかしない子どもに比べて、実行機能のテストスコアが高いことが新たな研究で示された。実行機能とは、組織化や物事の記憶、決断、集中力の維持に必要な思考スキルのことをいう。フローニンゲン大学医療センター(オランダ)のLu Yang氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に12月17日掲載された。

「小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療GL」第2版が発刊

 日本癌治療学会編『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版』が12月20日に発刊された。本書は、「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2017年版」をMinds診療ガイドライン作成マニュアル2020に準拠して、7年ぶりに全面改訂された。  2024年版は、女性生殖器、乳腺、泌尿器、小児、造血器、骨軟部、消化器、脳の8つの領域に、新たに肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病が加わり11領域をカバーしている。また、従来の性腺毒性分類は、2003年のASCOの分類表以降の国際的な報告を元に最新のJSCO分類として生まれ変わっている。

1歳半までの受傷歴がある子どもは、ケガの再発リスクが高い―国内縦断研究

 生後18カ月(1歳半)までにケガを負ったことのある子どもは、7歳に至るまでに再度、ケガを負いやすいことが、国内で行われた縦断研究から明らかになった。岡山大学学術研究院医歯薬学域地域救急・災害医療学講座の小原隆史氏らの研究であり、詳細が「Scientific Reports」に10月21日掲載された。  子どもはさまざまな場面でケガを負いやすく、その一部は致命的となり得る。これまでに法医学的な剖検例から、頭部外傷で死亡した子どもには以前の受傷を示唆する所見が多いことなどが報告されている。ただし、子どものケガの再発リスクに関する多くの研究は後方視的なデザインで行われたものであり、かつ限られた部位の外傷に焦点を当てたものだった。これを背景として小原氏らは、厚生労働省が行っている「21世紀出生児縦断調査」のデータを用いた縦断的な解析により、1歳半までの受傷歴がその後の受傷リスクと関連しているかを検討した。

診療所のマイナ保険証利用率は10%未満の施設が約7割/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、年末年始の感染症対策ならびに診療所における医療DXに係る緊急調査の結果について説明を行った。  はじめに松本氏が、会員医療機関の経営逼迫に対し政府などへの要望、医師偏在対策への提案など、この1年の医師会のさまざまな事業を振り返った。続いて「年末年始の感染症対策等について」として釜萢 敏副会長(小泉小児科医院 院長)が、この数週間で急増しているインフルエンザ流行への対策、同時に新型コロナウイルス感染症への対応について説明した。とくにインフルエンザの迅速診断キットが外来などの現場で不足していることに触れ、医師会として厚生労働省に要望を出していること、臨床現場では特定のメーカーのキットだけでなく、融通できるキットを使用して診断を行ってもらいたいと語った。また、予防対策として「『マスク着用、手指衛生とうがい、換気の実施』は、従来通り行ってもらいたい」と述べた。

抗菌薬と手術、小児の虫垂炎に最善の治療法はどちら?

 過去数十年にわたり、小児の虫垂炎(いわゆる盲腸)に対しては、手術による虫垂の切除が一般的な治療とされてきた。しかし、新たな研究で、手術ではなく抗菌薬を使う治療が、ほとんどの症例で最善のアプローチであることが示唆された。この研究では、合併症のない虫垂炎(単純性虫垂炎)の治療に抗菌薬を使用することで、痛みが軽減し、学校を休む日数も減ることが示されたという。米ネムール小児医療センターのPeter Minneci氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に11月19日掲載された。

鉄剤処方や検査・問診のポイント~「鉄欠乏性貧血の診療指針」発刊

 貧血の7割を占めるといわれる鉄欠乏性貧血。これに関し『鉄欠乏性貧血の診療指針』が2024年7月に発刊された。これまでに「鉄剤の適正使用による貧血治療指針」が2004年から2015年にわたり3回発刊されてきたが、近年では高用量の静注鉄剤をはじめとした新たな鉄剤が普及しつつあることから、鉄欠乏性貧血の診療の改訂が必要と判断され、このたび、タイトルを刷新して発刊に至った。そこで今回、診療指針作成のためのワーキンググループのメンバーである生田 克哉氏(北海道赤十字血液センター)に鉄欠乏性貧血を診断、治療するうえで知っておくべきポイントなどを聞いた。なお、本書は発刊1年後を目処に学会ウェブサイトへPDFとして掲載される予定だ。

うつ病、不安症、ADHD患者における双極症への移行率の比較

 一般的にみられる双極症の診断遅延は、アウトカム不良につながる可能性がある。ほとんどの研究では、主な前駆症状としてうつ病に焦点を当てているが、不安症や注意欠如多動症(ADHD)も、診断初期に高頻度で認められる。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のKevin Li氏らは、これらの前駆症状から双極症への移行率を調査し、相関関係を定量化するため、大規模な電子健康記録(EHR)を用いて、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年11月13日号の報告。

急性呼吸器感染症が2025年4月から5類感染症に/厚労省

 厚生労働省は、2025(令和7)年4月7日から感染症法施行規則改正により急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)を感染症法上の5類感染症に位置付け、定点サーベイランスの対象とすることを発表した。  ARIは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)または下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群の総称で、インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナなどが含まれる。

ベースアップ評価料のさらなる算定を政府に要望/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、「令和6年度補正予算案におけるベースアップ評価料のさらなる算定と各地方公共団体への積極的な働きかけについて」をテーマに松本氏が医師会から政府などへの要望提出について説明を行った。  「ベースアップ評価料」とは、2024年6月の診療報酬改定で新設された医療関係職種(医師・歯科医師、事務職員除く)の賃上げを目的にした点数で、各地域の厚生局への届け出により算定が可能になる。

幼少期の教師との関係は子どもの学習や発達に影響する

 幼児期から小学3年生までにかけての子どもと教師の関係が良好であると、子どもの学習や発達に大きな利益をもたらす可能性のあることが、米オハイオ州立大学教育学・人間生態学准教授のArya Ansari氏らの研究で示された。Ansari氏は、「このような早期からのつながりは、学業成績だけでなく社会的および情緒的な発達や、教育の成功に重要な実行機能能力にも大きく影響する」と話している。この研究結果は、「Child Development」に11月20日掲載された。  Ansari氏らはこの研究で、2010~2011年に幼稚園児約1万4,370人を対象に開始された進行中の研究(Early Childhood Longitudinal Study)のデータを用いて、幼児期から小学3年生までにかけての子どもと教師との関係の質が、子どもの教育に及ぼす影響について検討した。この研究データには、5年生までの子どもの家庭および学校での経験に関するデータも含まれていたが、4・5年生時の子どもと教師との関係性についての報告がなかったため、今回の研究では3年生までの期間が対象とされた。子どもと教師との関係の質は、STRS(Student-Teacher Relationship Scale)の短縮版を用いて、親密さとコンフリクト(葛藤)の観点から評価し、両者の関係が子どもの学業成績、欠席率、実行機能、社会的行動の発達に与える影響を検討した。