小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

働き方改革スタートから1年、「変化を感じる」は35%/ウォルターズ・クルワー調査

 医師の働き方改革がスタートして1年。医療業界向けの情報サービス事業のウォルターズ・クルワー・ヘルスは医師を対象に「『医師の働き方改革』に関する調査」と題したアンケートを行い、その結果を発表した。 「自身の勤務先の働き方改革の取り組み」を聞いた設問には、「取り組んでいる」との回答が83%だったが、その中で自身の働き方にも「変化を感じる」と答えた人は35%に留まった。

双極症とADHD併発患者における認知機能/心理社会的機能の特徴

 双極症や注意欠如多動症(ADHD)は、神経認知および心理社会的機能に重大な影響を及ぼす慢性的な神経精神疾患である。双極症とADHDの併発は、特有の臨床的課題を呈し、認知機能および機能障害をさらに悪化させる可能性がある。スペイン・Vall d'Hebron Research InstituteのSilvia Amoretti氏らは、双極症またはADHD患者および併発した患者と健康対照者における神経認知機能および心理社会的機能の違いを明らかにするため、最新情報を統合したシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2025年4月号の報告。

5価髄膜炎菌ワクチン、単回接種で良好な免疫応答/Lancet

 生後9~15ヵ月の乳幼児における通常小児ワクチンに併用接種する髄膜炎菌ワクチンについて、血清型A、C、Y、W、Xを標的とする5価髄膜炎菌結合ワクチン(NmCV-5)の併用接種は、承認済みの4価髄膜炎菌結合ワクチン(MenACWY-TT)の併用接種と比較して安全性に問題はなく、非劣性の免疫応答が惹起されたことが、マリ・Centre pour le Developpement des Vaccins-MaliのFatoumata Diallo氏らNmCV-5 EPI study teamによる第III相単施設二重盲検無作為化対照非劣性試験の結果で示された。侵襲性髄膜炎菌感染症は、アフリカのセネガルからエチオピアにかけて広がるmeningitis belt(髄膜炎ベルト)と呼ばれる国々において、壊滅的な被害をもたらす公衆衛生上の問題となっている。

母乳育児は子どもの血圧低下に関連

 母乳育児には、子どもの血圧を下げる効果があるようだ。最新の研究で、生後1週間と1カ月時点で腸内細菌の多様性が高く、特にビフィズス菌に代表されるBifidobacterium属が多く存在する場合、6カ月以上にわたる母乳育児が6歳時の血圧に対して保護的に働く可能性のあることが明らかになった。米コロラド大学アンシュッツメディカルキャンパスのNoel Mueller氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American Heart Association」に2月27日掲載された。Mueller氏は、「われわれの研究結果は、幼児期の腸内細菌叢が小児期の心血管の健康に潜在的に重要な意味を持つことを示唆している」と話している。

世界初!デューク大学の医師らが生体ドナーからの僧帽弁移植に成功

 米デューク・ヘルスの医師らが、世界で初めて心臓ドナーから提供された僧帽弁を用いた移植手術を成功させたことを、2月27日報告した。この画期的な手術により、米ノースカロライナ州の3人の少女の命が救われたという。  この手術は、ノースカロライナ州ウィルソン在住のJourni Kellyさん(11歳)が、デューク大学で心臓移植手術を受けたことで可能になった。医師らは、彼女の元の心臓から健康な弁を二つ取り出し、他の子どもに移植したのだ。  弁の一つは、ノースカロライナ州シャーロット在住のクロスカントリーランナー、Margaret Van Bruggenさん(14歳)に移植された。Margaretさんは重度の細菌感染により緊急に僧帽弁置換術を必要としていた。もう一つの弁は、ノースカロライナ州ペンブローク在住の9歳のKensley Frizzellさんに移植された。Kensleyさんは、先天性の染色体異常であるターナー症候群で生まれ、心臓に構造的な異常が認められたため、生後2カ月を迎える前に、すでに2回の心臓手術を受けていた。

小児・青年期の肥満の有病率は上昇傾向で今後も増加が予想される。対策が急務だが、経済発展の背景にある格差拡大が問題ではないか(解説:名郷直樹氏)

180ヵ国の5~24歳の小児・青年期の男女を対象として、1990年から2021年にかけての過体重、肥満の有病率データから、2022年から2050年にわたる過体重、肥満の有病率を予想した論文である。いずれの年代、いずれの地域においても、1990年から2021年までの過体重、肥満の有病率が上昇している。南北アメリカ、ヨーロッパで有病率が高く、アジア、アフリカでは有病率は前者ほど高くはないが、高い増加率が認められる。実際の数字を見てみると、全体の集計の青年期では1990年の過体重が8.0%、肥満が1.9%、2021年にそれぞれ13.7%、6.6%へと増加。小児期でも過体重が6.7%から11.2%、肥満が2.0%から6.9%に増加している。日本が含まれる東南アジア、東アジア、オセアニアでは、青年期の過体重が5.2%から11.6%、肥満が0.8%から4.7%に増加、小児期では過体重が4.6%から9.7%、肥満が1.2%から5.9%にそれぞれ増加している。絶対値で見ればアジアの肥満の有病率は西欧より低いものの、30年間の増加率でみると西欧を上回り、青年期の肥満が470%、小児期では404%の増加である。

帝王切開は子どもの成長に影響しない?

 帝王切開(CD)で生まれた子どもと、長期的な健康や発達における悪影響との間には有意な関連はないとする研究結果が報告された。0.5~9歳までの全原因入院、肥満、発達マイルストーン(発達がどこまで進んでいるかという指標)といったさまざまな評価項目で有意な関連は認められなかったという。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野の松本尚美氏らによるこの研究結果は、「Scientific Reports」に1月20日掲載された。  出産方法は長期的に見た場合、子どもの健康と発達に影響を及ぼすことが示唆されてきた。CDは、母子の安全確保のため、ある特定の臨床的状態のときに実施される。しかしながら、この外科的介入が子どもの身体的成長、認知発達、慢性疾患のリスクなどさまざまな側面に及ぼす潜在的な影響については現在も議論が続いている。松本氏らは、「日本産科婦人科学会周産期登録(PRN)データベース」にリンクされた「21世紀出生児縦断調査」を利用して、CDと子どもの健康および発達との関連を調査した。

たった1時間のスクリーンタイムの増加で近視リスクが上昇

 目を細めながらスマートフォン(以下、スマホ)を見つめたり、タブレットやテレビなどのスクリーンを凝視したりする時間が長くなるほど、近視になるリスクも高まることが、新たなエビデンスレビューで明らかになった。1日当たりのデジタル機器のスクリーンを見る時間(スクリーンタイム)が1時間増えるごとに近視のリスクが高まり、近視になりやすい傾向(近視のオッズ)が21%上昇する可能性が示されたという。ソウル国立大学校(韓国)医学部眼科学准教授のYoung Kook Kim氏らによるこのレビューの詳細は、「JAMA Network Open」に2月21日掲載された。

5~24歳の肥満者数、この30年で3倍に/Lancet

 1990~2021年にかけて世界のあらゆる地域で過体重と肥満が大幅に増加しており、増加を抑制するための現行の対策が小児期・青年期の世代で失敗していることが、オーストラリア・Murdoch Children 's Research InstituteのJessica A. Kerr氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2021 Adolescent BMI Collaboratorsの解析で明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「2021年以降も、小児期・青年期の過体重の有病率は高いままで、将来的に肥満集団はさらに増加すると予測される。世界のすべての地域、すべての人口集団で増加が続き、2022~30年に大きな変化が起こると予測されるため、この公衆衛生上の危機に対処するため早急な行動が必要である」と述べている。Lancet誌2025年3月8日号掲載の報告。

25年度の「骨太の方針」に要望する3つの事項/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例の記者会見を3月5日に開催した。会見では、先般衆議院を通過した令和7(2025)年度の予算案について内容に言及するとともに、5月31日の「世界禁煙デー」での取り組みなどが説明された。  はじめに松本氏が、「令和7年度予算案の衆議院通過を受けて」をテーマに、今回の予算内容や医療全般、医師会とのかかわり、今後さらに要望していくべき事項などを説明した。